【会報】ハーネスながの第24号


ハーネスながの 2007年 3月 第24号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3  TEL・FAX(0263)46-9611 
第24号 目次
《現状報告》
  『2006年度 長野県内の盲導犬使用動向』
《報告》
  『長野・山梨ハーネス交流会終わる』
《コメンタリー》
  『2006年度長野県の補助犬貸与事業を振り返る』
《デビュー》
  『タンデム犬は、かすがい』
 『ゼーダーからビルボへバトンタッチ』
《盲導犬ミニ知識》
  『盲導犬誕生編(4)共同訓練』
《新聞記事》
  『優秀な盲導犬を増やすため』
《お手紙》
  『「補助犬法改正」署名にご協力いただいた皆様へ』
《お知らせ》
  『2007年度長野県ハーネスの会総会・研修交流会』
《事務局より》
  『2006年度ハーネス基金健康助成金について』
《編集後記》
《現状報告》
『2006年度長野県内の盲導犬使用動向』
運営委員会
2006年度長野県内の盲導犬使用動向を報告します。
2007年3月末現在、県内で実働している盲導犬は25頭、使用者は26名となっています。盲導犬頭数より使用者数が1名多いのは1頭を使用者2名で共用しているタンデム使用が1組あるためです。
前年と比べて見ますと、盲導犬実働数は25頭で1頭増えました。また、使用者数は、盲導犬使用を止めた人が1名、新たに使用を始めた人が2名あり、合計では26名(プラス1名)となっています。
尚、盲導犬25頭と使用者26名の内、本会「長野県ハーネスの会」に登録している数は盲導犬24頭、使用者25名です。
2006年度動向で特筆したい点は、「久しぶりに新しいユーザーが誕生したこと」と、「盲導犬の若返りが進んだこと」です。
1.「久しぶりに新しいユーザーが誕生する」
2006年5月に安曇野市の男性(68才)が、更に2007年3月には伊那市の女性(35)がそれぞれ初めての盲導犬と歩き始めました。県内での新規の盲導犬使用者の誕生は5年ぶりのことでした。新規の盲導犬使用者が1年に2名も誕生したことになります。
2.「盲導犬の若返りが進む」
2006年度は長野県内で実働する盲導犬24頭のうち、7頭が加齢または病気により盲導犬の仕事からリタイヤしました。そして、それらの代替えとして6頭の若い犬たちが使用者と共に歩き始めました。1年間に7頭もの盲導犬が引退して世代交代することは珍しく、県内の盲導犬の平均年齢も一気に若返ったことになります。
【県内の盲導犬実働数】(2007年3月末現在)
市町村名 実働数 使用者数(男/女) 2006年の動き
安曇野市 1 1 / 0 新規
伊那市 1 0 / 1 新規
上田市 1 1 / 0
岡谷市 1 0 / 1 代替え(加齢)
千曲市 1 0 / 1
東御市 1 0 / 1
長野市 6 3 / 3 代替え2(加齢)
松本市 8 7 / 2 代替え2(加齢)
坂城市 1 1 / 0
佐久穂町 1 0 / 1
下諏訪町 1 1 / 0
立科町 1 1 / 0 代替え(病気)
宮田村 1 1 / 0
合計 25 16 / 10 新規2/代替え6
《報告》
『長野・山梨ハーネス交流会終わる』
昨年10月21日、22日に、山梨ハーネス友の会(参加者19名、盲導犬7頭)と長野県ハーネスの会(参加者13名、盲導犬4頭)、そして特別参加して下さった北海道盲導犬協会の加藤指導員を加えて、交流会が行われました。初めての試みであり、期待と不安の入り混じる気分で当日を迎えました。遅くなりましたが、概要をご報告いたします。
交流会1日目。大王わさび農場で散策を楽しみ、参加者の皆さんが、だいぶ打ち解けられた様子で宿泊場所のアスティかたおかに到着しました。夜はテーブル席の宴会場で大宴会が催されました。大変個性的で興味深い全員の自己紹介の後、一杯入ったことも手伝ってか両県が交代で歌や特技の披露。(ちなみに長野県からは「木曽節」「信濃の国」「木遣り歌」などが飛び出しました。)
おおいに食べ、笑い、騒ぎ、大変な盛り上がりでした。
2日目は、朝食後に意見交換会を行いました。日頃感じている諸問題、疑問点、工夫していること、世の中に思うこと…などなど非常に活発で貴重な意見交換がなされ、あっという間に予定の2時間が経過してしまいました。(もう少し長時間の予定にしておくべきだったと反省いたしました。)その後全員で信州のそば打ちを体験。はじめは尻込みしている方も見受けられましたが、皆さんだんだんのってまいりまして、捏ねて伸ばして巨大包丁で切る、という難しいそば打ちを楽しみました。(俺の切ったそばのほうが細い!!などという諍いも勃発!皆さん燃えてました…。)昼食はうったそばをいただきましたが、とても美味しくて驚きました。
飛ぶように過ぎた2日間でしたが、とても充実しており、初めての試みは「大成功」だったのではないかと思います。
毎年このような交流会や意見交換会が続けられるよう、心から願っております。今回参加できなかった方々も、是非次回は参加してみてください。(宇田理絵)
《コメンタリー》
『2006年度長野県の補助犬貸与事業を振り返る』
会長 原哲夫
2006年度長野県内では8頭の新しい盲導犬がデビューした。そのうちの6頭は代替え犬と言われ、加齢や病気にともない仕事から退いた引退盲導犬に替わって、それらの使用者と歩き始めた犬である。そして他の2頭は新規の使用者と歩き始めた盲導犬である。
長野県では身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)貸与事業を行っており、本年度も3頭分が予算化されていた。しかし、年度当初から加齢にともなう盲導犬の代替え希望が相次ぎ、既に年度半ばには3名(3頭分)の代替え希望者が決まり、当初の予算が全て使われてしまった。最終的には、更に3名(3頭)の緊急性が認められ、代替え犬予算追加が行われた。
このように本年度の補助犬貸与事業では県が盲導犬を使用している視覚障害者の日常生活を理解し、要望に大変柔軟に対応してくれたことがうかがえる。
盲導犬は満2才前後から使用者と歩き始め、10才から11才ぐらいまでに仕事から引退させる。盲導犬訓練所も使用者も、引退させ次の犬に代替えさせる時期は予め予想したり希望することはできる。しかし、高齢期に近づくと、予想より早く体調不良や急激に足腰に不調が現れて、盲導犬としての仕事が困難になることがある。また、生き物であるが故に不慮の死ということも希にある。そのような場合には、盲導犬歩行を長年続けた視覚障害者は、日常や社会生活を維持する上で、急に深刻な問題に直面することになる。盲導犬の病気や加齢にともなう引退とその代替え犬の頭数は、予想できない場合も多い。年によって予算化した頭数より少ないときもあれば多くなることもある。県の補助犬貸与事業の運用に当たっては、当初の予算枠を理由に切り捨てることなく、これからも補助犬を使用する障害者の生活の実情をふまえて柔軟な対応をお願いしたい。
尚、本年度は加齢や病気による代替え希望者だけでも6名(6頭)と例年になく多数になったため、長期に渡って待機していた新規希望者2名(2頭)は県の貸与事業の対象からは外れ、民間基金によって貸与が実現した。今後は新規希望者にも県による早期貸与が実現できるようになることも要望したい。
《デビュー》
『タンデム犬は、かすがい』
松本市 丸山訓代
昨年11月、我家にタンデム使用の盲導犬ラピートがやって来た。ラブラドールとゴールデンの血をひくF1、1才7ヶ月の雄で、訓練は自宅周辺で行われた。夫は3頭目、私は5頭目の代替えに際して今回は犬の世話を簡略にするため、夫と共用の盲導犬を持つ事にした。
タンデムとはペダルが二ヶ所付いた二人乗りの自転車のこと。今から12年程前、1頭を二人で使いたいという使用者の要望により、関西盲導犬協会(京都)で、世界初の二人用の盲導犬が誕生し、「タンデム使用の盲導犬」と命名された。以来、夫婦・親子など同一家庭内に二人の使用者が居る場合に使われるようになった。今日では、先の関西盲導犬協会の他にも、日本盲導犬協会(横浜)と日本ライトハウス(大阪)の2ヶ所でも訓練が行われている。現在全国で14頭程のタンデム犬が活動しているようだ。
二人で同じ場所へ出掛ける場合、一人がハーネスを左手に持ち、右手でもう一人の手引きをし、盲導犬は二人分の幅をとりながら歩く。一人で歩く場合は普通の盲導犬と同じである。
ラピートは足が長いせいか単独で歩くと結構早足だが、二人を案内するときは電柱や看板などの障害物に気をつかって、慎重に歩いてくれる。家に帰ってハーネスをはずせば甘えん坊で、直ぐ人のそばに寄ってデンタルコットンをくわえて遊んだり、おねだりをしたりするような犬である。
タンデムになってから気が付いた事は、盲導犬とは歩く時のためだけではなかったという事。
私が盲導犬と一日出掛けている場合、夫は落ち着かないらしい。盲導犬が居ていつでも出掛けられるという安心感が無いためである。アニマルセラピーの部分が大きかった事を改めて感じた。同時にそれぞれの場所に行けない、という不自由さはあるが、エサやり・トイレ出し・手入れなどの世話の軽減のように、メリットを多く感じている。
二人で交替で世話をしている関係で夫婦の会話が多くなった。「エサをやった」とか「トイレ出しした」とか伝えておかなければならないからだ。
その日の運動量で、排泄の量や質が変わってくる。子の無い夫婦に子ができたようなもので、昔から「子はかすがい」とよく言われるが、「タンデム犬は夫婦のかすがい」といったところかもしれない。
『ゼーダーからビルボへバトンタッチ』
岡谷市 北澤とも江
昨年12月に、ゼーダーが引退し、新しいパートナーとなったビルボ(オス・黒ラブ)との生活が始まりました。1才8ヶ月で盲導犬になったビルボも、3月には2才になります。ゼーダーの引退前後からこれまでのあれこれなど、私の経験をふりかえって書いてみます。
ユーザーが所属している盲導犬協会の方針で、盲導犬の引退時期は異なるようですが、私が訓練を受けた日本盲導犬協会では、犬の年齢が10才になったときか、使用期間8年を推奨しています。もちろん原則としてなので、個々の事情で差はあります。ゼーダーの場合は年齢で決めました。さて、そうなると心配なのは、ゼーダーの引退先についてです。協会には、引退犬飼育ボランティアとして登録している家庭もありますし、昨年秋には、富士宮に盲導犬総合施設「富士ハーネス」がオープンして、その中に老犬ホームも出来ています。私は自分でゼーダーの引退先を探したいと希望しました。ゼーダーには、長野県内に居てほしかったからです。
ユーザーが最初のパートナーに対して思い入れが強くなるのは、いたしかたないことではないでしょうか。しかし、自分でパートナーの引退先を探すのは実際には困難なことでした。
隣町に、以前から「こちらのお宅で、ゼーダーが余生を送れたらいいのになあ。」と自分勝手に思っていた家がありました。なんと、相談してみたところ「ほかに良い引き受け先が無かった時には、是非我が家へ。」と言ってくださったのです。私も家族も大喜びで、すぐに協会へ連絡しました。すると、思いがけない見解が返ってきました。近すぎると言うのです。私のにおいがすることで、ゼーダーが落ち着かず、混乱するのではないかとのことでした。もうひとつ、そのお宅では、他にもペットが何匹かいるので、負担ではないかとも言われました。そして、ユーザーの親しい友人・知人との間で引退先を決めた場合、トラブルが多いことも注意されました。ユーザーの中には、一度渡した犬をまた返してもらったという人もいると聞いては、心おだやかではいられません。人間の起こしたトラブルによって一番被害をこうむるのは犬です。
慎重に考えなくてはなりません。
訓練士さんの話を参考にしながら、それでも期限を決めたうえで自分で探すことにしました。
9月末までに探すことが出来なかったときには協会にお任せすることにしました。かかりつけの動物病院の先生にもお願いして、院内に掲示していただきながら心の中は焦っていました。
ユーザーが探すのは難しい理由に、こんなこともあります。引退先を探していると話したときに、「なぜ自分の家で面倒をみてやらないのか。かわいそう。」との意見があるからです。盲導犬が貸与された犬であることや、同じ家に引退した盲導犬と現役の盲導犬が生活したとしたらどんなことになるか、知らないのです。パートナーを自分で最後まで看取ったユーザーもいますが、誰にでも出来ることではありませんでした。ゼーダーと一緒にいたいのは私自身ですから、、気分が沈んでしまいました。
また、友人たちは「役に立てなくてごめんなさい。」と、すまなそうにしています。私がお願いするつもりが無くても相手はゼーダーの引退について自分をそこに当てはめて考えてしまうのでしょう。最初から、盲導犬は貸与されているので、万事、協会にお任せしてあります、と言ったほうが他人に迷惑がかからなかったのではないかと後悔しました。
9月になりました。1年前に愛犬を亡くした家があり、当たってみたらどうかと薦めてくれる人がいました。伊那市なので、協会が心配している距離もちょうど良いのではないかと思い、まずはゼーダーを見てもらうことにしました。亡くなった犬への愛情が深く、もう犬は飼わないと決心していると聞いていましたが、むしろそのように犬を大事にしていた家にゼーダーをお願い出来ればとの気持ちになりました。
薦めてくれた友人に連絡してもらってから、夫とふたりでゼーダーを連れて訪ねて行きました。数日後、先方のお宅から「家族で相談して、引き受けることにしました。」との電話をいただき、本当にほっとしました。その後、ご夫妻が私の家に2回来てくださり、ゼーダーも、おふたりにすっかりなついたようです。
協会からは、盲導犬の仕事に影響があってもいけないので、引退までは、新しく家族となる人と距離を置くほうがよいのではとアドバイスされていましたし、私も引退まではいつも通りに暮らしていきたいと思うようになりました。私とゼーダーは、秋から冬に変わっていく、いつもの散歩道を落ち葉や風とお別れのあいさつをしながらゆっくりと楽しみました。
ゼーダーの引渡しについては、私が協会に申し出て協会の職員として訓練士さんにも立ち会ってもらうことにしました。協会には、引退犬飼育に関しても、いくつか規定があり、ユーザーだけでは伝えきれないと感じたからです。そのため、ゼーダーはいったん横浜の訓練センターへ入り、私がビルボとの共同訓練を受けている間センターで過ごし、私がビルボと帰宅するときに、訓練士さんと一緒に新しい家族のもとへ行くことになりました。センターにいる間は、ゼーダーとは別れ別れになりました。というより、ゼーダーは、引退してしまったのです。私の居室に置かれていたエブリベッドには、さっきまでゼーダーが寝ていたのに、いつのまにかゼーダーによく似た黒いラブラドールのビルボが寝ています。それはそれは、静かに寝ていました。犬が入れ変わっていることがどうしても信じられません。あまりにも似ていました。そのビルボが、帰宅前夜に熱を出したため、私だけ先に帰宅することになり、同じ車にゼーダーと乗ることが出来ました。
伊那までの4時間ほどを、またゼーダーと過ごすことが出来て、とても幸せでした。伊那に着き、引退先のお宅で私たちが話をしている間、一人ひとりの足元に行って愛想をふりまいていたゼーダーが、最後に私の足元に来て、私の膝をあごで盛んにつつきました。何か言って欲しいのでしょうか。私はゼーダーの頭をさすりながら、ゼーダーにだけ聞こえるように顔を近づけて「ありがとうね。」と繰り返しささやきました。
ゼーダーについては、もう思い残すことは無さそうです。私を気遣って先方の奥様がゼーダーの様子を3日間知らせてくださいました。
ビルボが、我が家へやって来ました。ゼーダーよりも、ひとまわり大きくて胴長・足長で、まだ遊びたい盛りの若いビルボでした。ゼーダーのときと訓練法が変わり、指示語も違っているのでとまどいました。ゼーダーとは個性の違うビルボに合った訓練法だと考えれば納得が出来そうです。
最近、ビルボは散歩道を歩くとき、私が指示している方向ではなく、ある方向へ行こうとしていることに気がつきました。それは、郵便局なのです。ビルボが家に来て、最初の訓練として教えた道にあり、その入口を探しあてて、私と訓練士さんに褒められた場所でした。毎日、何かしら私に注意されることの多いビルボにとって郵便局は、褒めてもらえるところなのです。ビルボは、きっと私に褒めて欲しかったのでしょう。そんなビルボの気持ちがわかるのに2ヶ月かかりました。それならば、これから毎日散歩コースのなかに郵便局へ必ず寄るということにしたらどうでしょう。いっそのこと、たとえ小銭でも良いから貯金でもしに行きましょうか。
捕らぬ狸の皮算用ということわざがありますが、ビルボと一緒にいる間に、いくら貯まるかな?なんて考えて思わずニンマリしてしまいました。
これからは、ビルボと歩いて行きます。応援よろしくお願いします。
《盲導犬ミニ知識》
『盲導犬誕生編(4)共同訓練』(最終回)
大阪府 亀山知生(元盲導犬歩行指導員)
いよいよ最終回です。盲導犬を必要とする視覚障害者との歩行訓練が始まります。そして新しい盲導犬歩行チーム(人プラス犬)が誕生します。
訓練が終了すると、いよいよ盲導犬となる為の最終段階に入ります。盲導犬取得希望者の方との相性やニーズに見合う犬を選別し、新規の方で約4週間、代替の方で約2週間の共同訓練に入ります。盲導犬使用者の方には、盲導犬との歩き方はもちろんですが、犬の個性や犬の扱い方、盲導犬使用者としてのマナー等を学んでもらいます。
あとは犬が、なるべく早く使用者に慣れる様に、訓練士が配慮する事が重要な事です。
共同訓練が終了すると晴れて盲導犬となるわけですが、その犬が盲導犬かどうかと言うのは、訓練士でもマスコミでも周りの人でもなく、盲導犬使用者本人が決める事だと思います。(マナーを守っていればの話ですが)盲導犬使用者と犬が楽しく過ごす事ができて、初めて盲導犬と言えるのだと思います。これからも、温かく盲導犬使用者と犬を見守っていて下さい。(完)
《新聞記事》
『優秀な盲導犬を増やすため
~遺伝子解析、精巣凍結保存なども~』
帯広畜産大の鈴木宏志教授(家畜生命科学)らのチームは4月から、犬の性格にかかわる遺伝子を解析し、盲導犬に適した犬の遺伝子情報などをデータベース化すると同時に、精巣や卵巣の組織を凍結保存する世界初の「バイオバンク」を始める。盲導犬候補の犬は訓練前に去勢されるため、優秀な盲導犬だと分かった時には子どもをつくることができない。そこで将来的には保存しておいた精子や卵子を使って繁殖させ、盲導犬不足の解消を目指したいという。
さいたま市で開催中の日本獣医師会学会年次大会で23日、発表された。
日本盲導犬協会によると06年3月現在、国内で働いている盲導犬は952匹。一方、日本財団の98年の調査では、盲導犬を求める人は将来的な希望も含めると約7800人いて、「現在も大幅に不足している」(同協会)。繁殖用の犬は全国に145匹で、年間の育成数は130匹前後だという。
盲導犬候補の雄は生後半年ごろ去勢、雌は8~11カ月ごろ不妊手術をする。1歳を過ぎたころ適性評価を受け、訓練が始まる。合格して実際に盲導犬になれる犬は、3~4割に過ぎないという。
鈴木教授のチームは、独立行政法人の理化学研究所と共同で、盲導犬の訓練を受けた「ラブラドルレトリーバー」約200匹の遺伝子を解析。性格を左右すると思われる五つのSNP(DNA配列のわずかな個体差)の型と、盲導犬合格率との間に密接な関連があることを発見した。
例えば、この五つのSNPをすべて持っている犬は合格率が82%だったのに対し、いずれか一つしか持っていない犬の合格率は6~7割、一つも持っていない犬は20%だった。一般に盲導犬には、人なつっこく集中力がある、ほえつかないなどの性格が向いているとされる。
鈴木教授らのチームは、盲導犬を繁殖・育成している全国9団体などに協力を依頼し、犬の遺伝子を解析。「優秀な遺伝子」を持つ犬の情報をデータベース化する。そのうえで精巣や卵巣を保存し、団体から希望があれば、精子や卵子を提供していきたい考えだ。
同チームはこれまでに、凍結保存精子を雌の犬に人工授精し、出産させることに成功。現在は、凍結卵巣組織を別の雌犬に移植し、子犬が生まれるかどうかを経過観察しているという。
(2007年02月26日)
※この文書は朝日新聞社の著作物です。
無断転載は禁止されています。
本会報に掲載にあたり、朝日新聞社の許可を得てあります。
《お手紙》
『「補助犬法改正」署名にご協力いただいた皆様へ』
身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会
会長 竹前栄治
拝啓 時下ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。
日頃は、障害者福祉ならびに補助犬普及についてご尽力いただき感謝申し上げます。
さてこの度は、身体障害者補助犬法の改正を求める署名運動に多大なる御協力を賜り有り難うございました。
おかげさまで、署名数は「衆議院議長宛:120,012名、参議院議長宛:101,172名」となり、当初の予想を大きく上回りました。
皆様から頂いた署名は、11月14日に開かれた「身体障害者補助犬を推進する議員の会・総会」に出席し、提出いたしました。
再三、補助犬議連や厚生労働省・国土交通省と面会し、私たちの要望を伝えてまいりましたが、皆様の署名が大きな追い風となり、「1.相談窓口の設置」と「2.民間の職場での補助犬受入義務化」については、法改正の可能性が高くなりました。しかし、「3.民間の住居での補助犬受入義務化」については、調整しなければならない課題があるとのことで、先送りされそうな状況です。
当会は、今後も補助犬の改正に向けて活動を続けて参ります。
何卒、引き続き変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
末尾ながら、皆様の一層のご発展をお祈りいたします。
先ずは略儀ながら書中をもって御礼申し上げます。 敬具 (平成18年11月)
《お知らせ》
『2007年度長野県ハーネスの会総会・研修交流会』
運営委員会
2007(平成19)年度の本会総会と研修交流会を下記の通り開催します。研修交流会では、国際コンピュータビジネス専門学校ペットビジネス学科の専門スタッフによる「犬のシャンプー方法」についての講義を予定しています。多くの会員のご出席をお待ちしております。
【日時】6月10日(日)午後1時~4時
【会場】国際コンピュータビジネス専門学校
松本市渚2ー8ー5(JR松本駅西口から徒歩10分、国道19号線沿)
【内容】総会:18年度活動・決算報告、19年度活動・予算案承認、等。
交流研修会:犬のシャンプー方法の講義と使用者ピアカウンセリング。
尚、詳細は次号会報でご案内します。
《事務局から》
『2006年度ハーネス基金健康助成金について』
今年度の健康助成金を、該当の方の指定の口座へ振り込みました。確認していただき、不明の点はご連絡下さい。
今年度は、昨年同様の一頭当たり5000円を、25名のユーザーの方に25頭分と、6名の引退犬飼育者に8頭分を助成いたしました。ありがとうございました。
尚、年間4万円を超える病気等治療費を支払った場合の疾病治療支援に該当する方がおられましたら、4月中に事務局までご連絡お願いします。(田中)
《編集後記》
例年にない暖冬だった今年の冬、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか?このまま、ますぐに春になるのかと思いきや急に寒くなったり。三寒四温とはいかないまでも、寒さが行きつ戻りつの今日この頃です。お身体にはくれぐれもお気をつけ下さい。塩尻市では、春を告げるセツブンソウが可憐な花を咲かせています。春はもう、そこまでです。
今年度もハーネスの会の運営にご協力いただき、ありがとうございました。(池田)
(編集係 原)

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