【会報】ハーネスながの第28号


ハーネスながの 2008年 8月 第28号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3  TEL・FAX(0263)46-9611 
第28号 目次
《報告》
 『2008年度総会終わる』
《ハーネス基金》
  『2007年度盲導犬・引退犬疾病治療費助成報告』
《デビュー》
  『谷口さんとデミー』
《盲導犬ミニ知識》
 『盲導犬頭数Q&A』
《お知らせ》
『ハーネス研修交流会のお知らせと参加申し込みについて
《事務局から》
『平成20(2008)年度会費納入のお願い』
『2008年度前期疾病治療費助成金の申請について』
 目次終わり
《報告》
『2008年度総会終わる』
平成20年度の長野県ハーネスの会総会は6月1日(日)午後1時30分から松本市県の森文化会館で会員25名の出席を得て開かれました。会場となった旧制松高の教室では、13頭の盲導犬がそれぞれの使用者の足下に静かに伏せている姿が壮観でした。
総会では平成19年度の取り組みと一般およびハーネス基金のそれぞれの会計決算報告の後、平成20年度の取り組み案と一般会計およびハーネス基金会計の予算案の審議が行われ、全員の賛成で承認されました。
休憩時間後の研修交流会では日ごろの盲導犬使用について個々の使用者の体験や実践を出し合い、相互に参考にできるようにピアカウンセリング形式の懇談会が行われました。
また、会の終わりには中澤医さんにマンドリンの演奏(サンサーンスの「白鳥」)を披露していただき、参会者みんなで「ふるさと」を歌うなど始終和やかな雰囲気で会が進められました。
〈承認された本年度の主な取り組み〉
1「地域交流会(拡大役員会)の開催」
10月に長野市で主に東北信の会員を中心とする交流会を計画しています。ハーネスの会運営についての意見交換にとどまらず、拡大役員会として今後の取り組みについての方針も決定したいと考えています。
2「市町村に対して補助犬飼育管理費助成事業実施の要請」
使用者会員が地元の市町村に対して補助犬飼育管理費助成事業の実施を希望する場合はハーネスの会として積極的に支援します。また、長野市に対しては助成額の増額を要望していきたいと考えています。
3「ハーネス基金による疾病治療費助成などの支援」
これまでの疾病治療費、諸検査費用の他に、混合ワクチン接種、ワクチン接種に関わる抗体検査の費用を助成対象に加えました。助成額は対象処置にかかった費用の半額です。健康管理費助成金はこれまでと同額の1頭5,000円です。フィラリア予防薬への助成はこの健康管理費助成金に含まれます。
また、盲導犬および引退犬の死亡時の香料(死亡見舞金)を1頭10,000円に改訂します。
4「会報の発行とHPの運営」
会報“ハーネスながの”を年4回発行します。また、ホームページを随時更新して新しい情報を発信したいと思います。
5「県障害福祉課と補助犬相談窓口の運営についての連絡会の開催」
4月から県庁の障害福祉課や各地方事務所、長野市など県内11カ所に「補助犬相談窓口」が開設されました。09年1月に窓口担当者や使用者による連絡会を持ち、窓口に寄せられた相談内容や事例について検討を行います。
6「新規会員を増やす取り組み」
新規会員を20名増やし、会員160名を目標としたいと思います。使用者会員は1人当たり新会員1名の発掘をお願いします。
《ハーネス基金》
『2007年度盲導犬・引退犬疾病治療費助成報告』
昨年度からハーネス基金による盲導犬と引退犬の疾病治療費助成額の割合が改訂されました。診察料、疾病治療費、治療に関わる諸検査料の支払った費用の半額を助成することになりました。
〈総額344,139円を助成〉
07年度は15頭(盲導犬12頭、引退犬3頭)の使用者および飼育者から「疾病治療費助成」の申請(疾病治療費支払い報告)が獣医師の領収書を添えてありました。申請額(支払い疾病治療費)の総額は688,281円。その結果、ハーネス基金からの助成額の総額は344,139円となりました。
〈現役盲導犬への最高助成額は82,085円〉
現役の盲導犬使用者12名から申請がありました。盲導犬使用者の1年間の支払い疾病治療費の最高額は164,168円で、ハーネス基金からは82,085円を助成しました。
この事例は、3才になるオスで肝炎による入院治療が主な治療内容となっています。
申請のあった盲導犬12頭に支払った助成金総額は176,576円、1頭当たり平均助成額は14,714円でした。
〈引退犬への最高助成額は96,448円〉
引退犬飼育者からは3頭の引退犬の事例について助成の申請がありました。支払い疾病治療費の最高額は192,895円でハーネス基金からはその半額を助成しました。この事例は13才になる雄で、加齢に伴う悪性腫瘍に対して薬物治療を続けていいます。
引退犬3頭への助成総額は167,563円、1頭当たり平均助成額は55,854円でした。(田中)
《デビュー》
『谷口さんとデミー』
松本市に住む谷口和男さんは5月から念願の盲導犬歩行を始めました。パートナーの名前はデミー。ラブラドールリトリーバの雄で体毛はイエロー。現在2才で体重は27㎏。人ずきで誰にたいしてもとても愛想がよいそうです。
谷口さんは松本市内の在宅マッサージ会社に勤める30代のマッサージ師です。視力は残っているものの視野狭窄が進み、歩行中に物に当たったり足下の段差に躓いたりすることが多くなり、盲導犬歩行を考えるようになりました。
デミーとの共同訓練は4月に大阪の日本ライトハウス行動訓練所と松本市内の谷口さんの生活通勤エリアを中心に約4週間行われました。
谷口さんは、「デミーとの生活も4ヶ月がすぎて少しずつお互いのことを分かり始めたような気がする」と話しています。外出時の歩行では、これまでの白杖歩行にはつきものの全身の緊張感も抜けて、歩くこと自体が楽しくなってきたそうです。
《盲導犬ミニ知識》
『盲導犬頭数Q&A』
  Q1:「長野県には何頭の盲導犬が働いていますか?」
  A1:「現在、県内では26頭が働いており、使用している視覚障害者は27名です。」
  Q2:なぜ「盲導犬が26頭で使用者が27名なんですか?」
  A2:「それは1頭の盲導犬を夫婦でそれぞれ必要なときに共用しているケースがあるからです。このような使い方をタンデムユース(2人乗り自転車から由来)と言います。と言っても1頭の盲導犬が2人の視覚障害者を決して同時に案内するわけではありません。相手が使わないときに他の1人が使用する、ドックシェアリング(犬の使い分け)ですね。県内の地域別の使用者数と盲導犬頭数は以下の通りです。」
  市町村別使用者数と盲導犬頭数【2008年6月現在】
  安曇野市 男性使用者 1人  女性使用者 0人  盲導犬頭数 1頭
  伊那市 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  上田市 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  岡谷市 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  千曲市 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  東御市 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  長野市 男性使用者 4人  女性使用者 3人  盲導犬頭数 7頭
  松本市 男性使用者 7人  女性使用者 2人  盲導犬頭数 8頭
  坂城町 男性使用者 1人  女性使用者 0人  盲導犬頭数 1頭
  佐久穂町 男性使用者 0人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  下諏訪町 男性使用者 1人  女性使用者 1人  盲導犬頭数 1頭
  立科町 男性使用者 1人  女性使用者 0人  盲導犬頭数 1頭
  宮田村 男性使用者 1人  女性使用者 0人  盲導犬頭数 1頭
  合計 男性使用者 16人  女性使用者 11人  盲導犬頭数 26頭
  Q3:「日本国内では何頭の盲導犬が働いていますか?」
  A3:「2008年3月末現在で996頭が稼働しています。」
  Q4:「盲導犬を使っている視覚障害者は何名ですか。」
  A4:「全国の盲導犬使用者数は1018名です。その内タンデムユースをしている方々が22組あります。ですから盲導犬996頭に対して使用者は1018名ということになります。」
  Q5:「日本には盲導犬訓練所はいくつありますか?」
  A5:「北海道から九州まで9施設あります。現在働いている盲導犬996頭はそれらの何処かで育成された卒業犬です。」
  Q6:「盲導犬は毎年何頭ぐらいが育成されているのですか?」
  A6:「2007年度は全国の盲導犬協会(訓練施設)で合計151頭が育成され、視覚障害者と歩き始めました。毎年、130~140頭ぐらいが社会にデビューしています。一方、老齢化に伴って毎年100頭ぐらいがリタイヤしています。」
  Q7:「使用者は盲導犬育成施設を自由に選ぶことができますか?」
  A7:「はい。長野県では使用者が自由に選択することを認めています。都道府県が予め指定しているところもあります。」
  盲導犬協会別の育成頭数と現在の稼働数 【2008年3月】
  北海道盲導犬協会(札幌市) 07年度育成数 11頭  稼働頭数 97頭  
県内稼働数 1頭
  栃木盲導犬センター(栃木県) 07年度育成数 10頭  稼働頭数 37頭  
県内稼働数 0頭
  アイメイト協会(東京都) 07年度育成数 43頭  稼働頭数 307頭  
県内稼働数 7頭
  日本盲導犬協会(横浜市) 07年度育成数 35頭  稼働頭数 160頭  
県内稼働数 4頭
  中部盲導犬協会(愛知県) 07年度育成数 8頭  稼働頭数 63頭  
県内稼働数 0頭
  関西盲導犬協会(京都府) 07年度育成数 11頭  稼働頭数 78頭  
県内稼働数 0頭
  日本ライトハウス(大阪府) 07年度育成数 22頭  稼働頭数 189頭  
県内稼働数 14頭
  兵庫盲導犬協会(兵庫県) 07年度育成数 3頭  稼働頭数 16頭  
県内稼働数 0頭
  九州盲導犬協会(福岡県) 07年度育成数 8頭  稼働頭数 49頭  
県内稼働数 0頭
  合計 07年度育成数 151頭  稼働頭数 996頭  県内稼働数 26頭
《お知らせ》
『ハーネス研修交流会のお知らせと参加申し込みについて』
盲導犬と一緒に一日を過ごして目の不自由な人・盲導犬の事をもっと知ってください。
また、皆で話をして疑問・不安など少しでも減らしましょう。
楽しい体験や会話と懇親のイベントとしてご参加下さい。(前野)
【交流会の概要】
  1 期日:8月30日(土)・31日(日)
  2 場所:白樺湖周辺(長野県 長和町・上田市)
  3 宿泊先:姫木少年自然の家(八王子市の施設)
  4 集合と移動方法(2つの選択肢があります)
  方法1→中央線茅野駅に10:30頃集合し、バスにて目的地へ。
  方法2→松本駅西口に9:50頃集合し、バスにて信濃鉄道大屋駅を11:00頃経由して目的地へ。
  ※目的地(和紙の里)到着は11:30頃です。各人都合の良い集合場所を選んでください。合流して交流会をスタートします。
  5 参加費: バス乗車から帰り迄を10,500円
※初日の昼食と懇親食事および翌日の朝食と昼のバーベキューを含みます。
研修会での飲み物の追加および部屋での飲食の費用は個々でお願いします。
  6 日程
〈8月30日〉
・中央線茅野駅10:30バスに乗車し和紙の里へ又は、中央線松本駅9:50バスに乗車し大屋駅を経て和紙の里へ
・昼食は全員でそばを頂きます。 12時頃 和紙の里
※そばが食べられない方はうどんなどにします。
・上田城の見学(ガイド依頼予定)14時頃 (無言館などの見学に変更される場合も有ります。)
・温泉経由班と宿舎直行班に分かれバス乗車
※温泉経由班→宿舎到着予定時刻 17:30頃
宿舎直行班→宿泊先到着予定時刻 16:00頃 到着後入浴など
・会場にて懇親食事会 18時~20時
・研修会 食堂にて 20時15分~22時
聞きたいこと・疑問・皆の対応を聞くなど気軽に意見交換をします。
・22時以後は各部屋にて個々に適宜お願いします。
※宿泊先の入浴時間は21時までです。
途中で温泉に寄り入浴をする方と宿舎で入浴をする方を希望で分けます。
〈8月31日〉
・朝食 7時30分
・研修会8時30分~9時30分
前日の研修会の意見などを受けて話し合い
・ペンダント作り体験 10:30
・昼食・バーベキュー懇親 12時
※食事終了後は初日バス乗車場所へお送りします。
・茅野駅着 14:30
・大屋駅着 14:30、松本駅着 15:30
6 申込先
○前野弘美
メール maeno@harness-nagano.com  電話 0263-35-7938 080-1043-7315
18時以降21時30分頃まででお願いします。
○中嶋司郎 (山梨県)
メール pxh03774@nifty.ne.jp 電話 055-276-6670
※申し込む際には次の項目をお知らせください。
・申込者氏名
・参加者の氏名と性別および障害者手帳の有無、盲導犬同伴の有無
・初日の集合場所(茅野駅・松本駅)
※参加費は当日までにそれぞれの申込先で集金いたします。
《事務局から》
『平成20(2008)年度会費納入のお願い』
本年度の長野県ハーネスの会の会費2000円の納入をお願いします。同封しました
郵便振り込み用紙をご利用下さい。振り込み手数料は本会で負担します。
できるだけ9月30日までにお願いします。
『2008年度前期疾病治療費助成金の申請について』
ハーネス基金による本年度前期の盲導犬および引退犬の疾病治療費助成金の申請受付を行います。助成対象は4月1日から9月30日までの期間に支払った疾病治療費です。
助成対象となる治療内容は、診察、疾病治療、疾病治療に必要な検査、混合ワクチン接種、抗体検査です。フィラリア予防薬は対象となりません。「疾病治療報告書」の用紙を事務局から使用者および飼育者の会員にお送りします。助成を希望する場合は、受診した動物病院の領収書または支払い証明書を添付して疾病治療報告書を事務局までご返信下さい。
申請受付は10月10日までです。
尚、助成金の送金は10月31日までに行う予定です。
《謝辞》
『アンケート調査にご協力いただきましてありがとうございました』
長野県ハーネスの会ユーザーの皆様、麻布大学大学院の山本真理子です。
昨年の4月頃に行わせていただきました、補助犬とユーザーの皆様の関係に関するにアンケート調査の件では大変お世話になりました。
無事に調査を終え、結果をまとめることができましたので、大変遅くなりましたがご連絡させていただきました。
アンケートは47名という決して大人数によるものではありませんが、補助犬ユーザーの皆様が補助犬と生活する上で持つ困難について詳細に把握することができるものになったのではないかと考えております。
本結果は、わたくしの修士論文の一部で「ユーザーと補助犬の関係の現状把握」として用いさせていただきました。
アンケートの詳細につきましては、本メールに添付させていただきました。また、本調査を製本したものをお送りさせていただければと思っております。調査に関する質問等がございましたら、下記までご連絡いただければと思います。
このたびは、お忙しい中、調査にご協力いただきどうもありがとうございました。
麻布大学大学院 介在動物学研究室 山本真理子
※山本さんからは本会に研究論文をまとめた小冊子をいただきました。
研究論文の要約したものを次号で紹介する予定です。
《お知らせ》
『2008(平成20)年度総会と研修交流会』
運営委員会
長野県ハーネスの会の2008年度総会と研修交流会を6月1日(日)の午後1時30分から松本市県の森文化会館で行います。
多くの会員の皆様のご出席をお待ちしております。
今から予定に入れておいて下さいね。
《事務局より》
『会費納入ありがとうございました』
3月15日現在で149名の会員の方から平成19年度会費2,000円の納入を頂きました。
会活動とハーネス基金の運営を支えて下さいました事に心から感謝申し上げます。
『ハーネス基金健康管理費助成金』
本年度の健康管理費助成金として1頭当たり5000円を27名の盲導犬ユーザーと、引退犬9頭の飼育者7名の口座に送金いたしました。ご確認をお願いいたします。

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