【会報】ハーネスながの第37号


ハーネスながの 2012年 5月 第37号
発行:長野県ハーネスの会会長 前野 弘美
TEL 0263(35)7938  携帯 080-1043-7315
事務局:〒390-0304 松本市大村492-3
http://www.harness-nagano.com
第37号 目次
《運営委員会報告》
 『2011年度第3回運営委員会開かれる』
《ごあいさつ》
《定期総会のお知らせ》
《連載/信州こんなところ、こんな話》
 『国指定重要文化財「ももすけ橋」と南木曽町「山の歴史館」・「福沢ももすけ記念館」』
《県内トピックス》
 『上田市が盲導犬貸与 ~ 立科の男性、共に歩く ~』
《ハーネス基金》
 『平成23年度ハーネス基金による支援事業の実施報告』
《会員の声》
 『お元気ですか』
《感謝録》
 『ご寄付・カンパありがとうございました』
《事務局から》
 『平成24年度会費納入のお願い』
 これより本文
《運営委員会報告》
『2011年度第3回運営委員会開かれる』
3月4日(日)午前10時から長野市障害者福祉センターで第3回運営委員会が行われました。出席者は正副会長、各チームからチーフおよびサブリーダーを中心に12名と盲導犬6頭でした。昨年6月の総会で規約改正が行われ運営委員会の持ち方も大きく変わりました。年間3回の運営委員会は長野市と松本市で交互に開き、出席者は役員だけでなく出席を希望する会員は誰でも出席し会議に参加することができるようになりました。第3回運営委員会では次の議題について意見交換しました。
(1)平成23年度に実施した事業について
問題対策チームからは7月に実施した盲導犬ユーザー対象の「アンケート調査」の集計状況が報告されました。まだ集約が終わっておらずもう暫くの時間が欲しいとのことでした。ウェルカムチームは9月に参加した神奈川県での“ハーネスサミット”についての報告がありました。長野県、山梨県、神奈川県などから盲導犬ユーザーや引退犬飼育者など多数が集まり有意義な研修と楽しい交流ができたとの報告でした。詳しくは会報36号に参加者のリポートが掲載されています。ハーネス基金チームからは平成23年度に行った健康管理費助成と疾病治療費助成の支援状況が報告されました。広報・編集チームからは平成23年度に発行した会報“ハーネスながの”について報告がありました。第36号で「長野市給食センターでの盲導犬同伴拒否」の記事に関連した感想や意見も出されました。事務局チームからは会費納入状況と他団体から寄付があったことが報告されました。
(2)平成24年度に行いたい事業について
前野会長から平成24年度には何かイベントを計画して会員の交流を兼ねて本会のPRにつながるような取り組みを考えたいとの発言がありました。
具体的には県内のどこか自然遊歩道などが整備された場所でのウォーキングはどうだろうかとの意見も出されました。正式な決定ではなく出席者それぞれが思いついたアイディアを出し合う段階で終わりました。平成24年度総会までに意見集約をし、総会で決定する予定です。また、平成24年度総会の期日と場所を決定しました。
(3)その他
問題対策チームリーダーの池田純さんから「長野県障害者差別禁止条例(仮称)」の制定に向けての差別事例に感するアンケート調査の集計状況についてお話しがありました。
《ごあいさつ》
会長 前野弘美
皆様お変わり有りませんでしょうか。なかなか暖かくならなかった4月ですが、春が急にやってきました。梅も桜もいろいろな花が一斉に咲いてあっという間に盛りを過ぎてしまいました。とても綺麗な花の共演を見られたのではないでしょうか。今日は夏を思わせる暑さの松本です。皆様体調にはくれぐれもお気を付け下さい。さて日頃は会の運営にご協力とご支援を頂きまして、誠にありがとうございます。心よりお礼申し上げます。新しい体制になりスタートをした平成23年度は大きな震災と原子力発電所に秘められた危険が広く取り上げられた一年でした。長野県も栄村・松本市に震災がありました。被災された皆様にお見舞い申し上げます。人は助け合い協力することにより困難を乗り越えたり孤独を癒やしたりして遠い過去から今日まで活きてきたのだと改めて思いました。昨年見られた助け合い支え合う姿が今後も続いて行く事を願っています。新年度になりました、今後とも長野県ハーネスの会へのご支援をお願い申し上げます。
《定期総会のお知らせ》
平成24年度長野県ハーネスの会の定期総会が近づいて参りました。ご都合を付けて頂き多くの皆さんの参加をお願い致します。本年度の開催地は松本です。
【期日】 平成24年6月3日(日)
【とき】 10:30~12:30
【場所】 松本市あがたの森文化会館 部屋番号1-5
一階の一番奥の突き当たりです。
【連絡】 ・当日はレストランの南側より出入り出来ます。
・総会の後、チーム会議の時間を取ります。
・懇親会を開催予定です。
・参加の連絡は前野までお願いします。
(hmaeno@avis.ne.jp)(080-1043-7315)
《連載/信州こんなところ、こんな話》
『国指定重要文化財「ももすけ橋」と南木曽町「山の歴史館」・「福沢ももすけ記念館」』 
今回は長野県の西端、南木曽町にあり、地元の人々に「ももすけ橋」という愛称で親しまれている、日本最大級の木製吊り橋の紹介をします。南木曽駅から徒歩5分、木曾川対岸に天白公園という自然豊かな公園があります。その公園へ行くまでの、木曾川に架かっている大きな吊り橋が、「ももすけ橋」です。木曾川の豊かな水を利用した水力発電は、大正時代に福沢ももすけによって開発がスタートしました。福沢ももすけは、福沢諭吉の娘婿として、福沢家の人となりましたが、実業家としても有能な人で、彼は水力発電による電力を普及させた電力王でもありました。ももすけが作った発電所は、特に木曾川に集中していますが、そのひとつが、南木曽町に作られた読書(よみかき)発電所でした。その発電所建設のための資材運搬用に架けられた橋が、現在「ももすけ橋」と呼ばれている吊り橋なのです。全長247M、橋の幅は、2.7Mあり、トロッコ用のレールも敷かれている大変珍しい吊り橋です。これだけの大きな吊り橋を支えるワイヤーですから、触ってみるとその太さは、思わず声をあげてしまうほどの迫力でした。橋を渡るときには、橋を吊り下げているワイヤーだけではなく、手すりのワイヤーロープ、橋の床板の厚さ、トロッコのレールなども触ってみると、ももすけの発電所建設にかけた情熱が、五感を通じて伝わってくることでしょう。そして、吊り橋を訪れる人には、ぜひ、天白公園内にある「山の歴史館」と「福沢ももすけ記念館」にも立ち寄ることをお勧めします。ふたつの建物は渡り廊下で接続されています。※写真は、ももすけ橋を天白公園側から撮影しています。 「山の歴史館」は営林署として明治時代に建造され、長野県に残っている13棟の洋館のひとつでもあり貴重な文化財です。一方、「ももすけ記念館」は、大正時代に電力会社の社宅として建てられ、ももすけ自身も別荘として使っていたこともあるモダンな洋館です。実は、この記念館には、軽い気持ちで立ち寄ったのですが、記念館の案内をして下さった職員さんの説明が素晴らしく、彼女の郷土愛にあふれた語り口に聞き入ってしまい、時間の経つのも忘れてしまうほどでした。林業と水力発電で栄えた木曾地方は、その繁栄の陰で、木曾に暮らす人々にとって哀しい秘話、歴史があったことを、このふたつの記念館を訪れたことで、初めて知りました。 木造の吊り橋として日本で最大級のものという珍しさで訪ねてみた「ももすけ橋」でしたが、記念館に立ち寄ったことで、別の角度から、信州の自然と歴史について考えさせられたひとときでもありました。
※南木曽町は、観光名所妻籠、馬篭への玄関口でもあります。中央西線南木曽駅横ロータリーに、バスの発着所があります。
※南木曽駅には、多目的トイレの設備はありませんが、天白公園内には多目的トイレの設備があります。
※吊り橋は、完全な歩行者専用(もちろん愛犬も!)自家用車利用の場合、天白公園に駐車場があります。
※山の歴史館と、ももすけ記念館の入場料は、セット料金300円(障害者本人150円)です。
※文中で、桃介の名称を、ひらがなで表記していますが、視覚障害者が使っている音声読み上げソフトでは、桃介を(とうかい)と読み上げてしまうため、視覚障害者に聞きやすくなるように、ひらがなで表記しました。
〔取材にあたって、思ったこと〕
「ももすけ橋」を訪れた4月29日のこと、こんなことがありました。南木曽駅近くには飲食店がなく、天白公園内の蕎麦屋さんもあいにく休業中。午後2時も過ぎて、お腹もペコペコ。食事できる店を探しましたがなかなか見つからず、隣の大桑村へ。一軒の蕎麦屋さんを発見。入店すると、お店の人の明るい声が迎えてくれました。その途端、私は体から緊張の力が抜けていくのを感じていました。もし、この日、ももすけ橋の取材中に、何らかの盲導犬同伴に関して、入店や同伴の問題が起きていたなら、私は、この記事を晴れ晴れとした気持ちでは紹介出来なかったことでしょう。それを思うと、食べたいときに食事したり、行きたい場所に自由に行かれることが、いかに大切なことかがわかってきます。前号の“ハーネスながの”に掲載された「長野市給食センターでの、盲導犬同伴拒否」を、皆さんはどのように考えられたでしょうか?一度でも入店や同伴を断られた経験があるユーザーなら、どなたも、新しい場所へ行くとき、どこかで、盲導犬のことで何か言われるのではないか、嫌な気持ちになりはしないか、心配と緊張を持って行動しているのではないでしょうか?私自身も昨年は2回、嫌な場面を経験し、しかし、県の相談窓口にはそのことを報告していません。相談窓口に報告し、何らかの動きがあったとしても、入店や同伴を断った相手方にとって、行政から聞き取りや調整を受けることが、「盲人が言いつけた・・・。」という不快な感情につながり、必ずしも訴えたユーザーが、満足する解決につながらないということを過去の自分の体験から恐れたからです。入店や同伴拒否を受けたとき、ユーザーは、怒りではなく、まず悲しみを感じます。断られたのは犬ではなく、自分だからです。視力を失ったことにより、人として認められていない、そのように悲しむのです。私は、給食センターでの、加藤さんの孤立した状態の記事を読み、私自身が同じ拒絶を受けている悲しさを感じました。もし、私だったら、加藤さんのように辛抱強く交渉が出来たのだろうか?とも考えました。加藤さんは自分だけのことだったら、別の行動をしたかも知れません。しかし、彼女は、次に子供の保護者として、給食センターに研修に来るかも知れない 、盲導犬ユーザーのためにも、自分が簡単に妥協という前例を作ってはいけないと強い意思を持ち続けたのです。それは、どんなにか辛い時間だったことでしょう。大桑村の「おんたけ」という、蕎麦屋さんでは、何事もなく入店できたうれしさのあまり、つい、お蕎麦だけではなく、大えびの天ぷらも注文してしまいました。そして、空腹を満たせることのありがたさを思いました。帰り道、前号の会報に掲載された加藤さんの記事について、様々な思いがこみ上げてきたことを、この紹介記事に付け加えずにはいられませんでした。この紹介記事を読み、実際に南木曽町に行かれるユーザーさんがいるとして、そのおりには、どうか良い出会いに恵まれますようにと祈念しております。(担当 北澤)
《県内トピックス》
『上田市が盲導犬貸与 ~ 立科の男性、共に歩く ~』 
上田市は1日、視覚障害のある青井貴世志(きよし)さん(62)=北佐久郡立科町芦田八ケ野(はっかの)=に盲導犬のラブラドルレトリバー「ロージー」を貸し出した。県障害者支援課によると、上田市は県内の市町村で唯一、視覚障害者に盲導犬を無償貸与している。本年度は市民から申請がなかったため、市外に貸し出すことにした。青井さんは「家族以上の家族として、一緒に歩んでいきたい」と喜んでいる。青井さんは病気のため40代前半で両目を失明して以来、盲導犬と暮らしている。県から借りて5年半ほど一緒に暮らした盲導犬のラブラドルレトリバー「ジョー」が昨年10月に病気と高齢のため引退し、後継を探していた。ロージーは2歳の雌。上田市が昨年、大阪府の社会福祉法人から約200万円で購入した。青井さんへの貸与が決まった後、先月27日まで2週間、同法人の訓練所で青井さんと一緒に歩き方などの訓練を受けた。青井さんは、バスで30分ほどかけて町内の障害者施設に通っている。「家族に迷惑を掛けず外出できる。(ロージーに)立科は寒くて大変だが早く慣れようね」と話した。上田市は1981(昭和56)年、市内の元眼科医の寄付でつくった基金で盲導犬の貸与制度を創設。年に1頭程度貸し出しており、今回で18頭目。市民から申請がない場合は県内全域に貸し出している。 〈信濃毎日新聞2月2日〉
 # この文書は 信濃毎日新聞の許可を得て掲載しました。
《ハーネス基金》
『平成23年度ハーネス基金による支援事業の実施報告』
平成23年度のハーネス基金による健康支援と疾病治療費支援は下記の通り行いました。疾病治療費支援については、2月26日にハーネス基金チームの齊藤、田中、原が会合を持ち、申請者の報告書の内容を点検し支援額を決定しました。
1 健康管理費支援
全員に対し、一律、1頭につき5,000円の支援を行ないました。
1月4日振込み
(1)現役盲導犬 22頭 110,000円
(2)引退犬    4頭  20,000円
* 小 計   26頭 130,000円
2 疾病治療費支援
申請者に対し、支払った疾病治療費の2分の1の支援を行ないました。3月10日振込み
① 盲導犬名: ジョー
疾病と治療内容:ケイレン発作、抗てんかん剤投与 《依田動物病院》
支払い助成額 6,500円 (治療請求額) 13,000円
② 盲導犬名: ハバネラ
疾病と治療内容:肝炎のため定期的に治療 《竹原動物診療所》
支払い助成額 66,859円 (治療請求額 133,718円)
③ 引退犬名: ジョー  ※引退犬飼育者家庭でも継続治療
疾病と治療内容:真性テンロン 《伊藤動物病院》
支払い助成額 12,429円 (治療請求額 24,857円)
④ 引退犬: パトリック
疾病と治療内容:パタンポナーゼ 《伊藤動物病院》
支払い助成額 101,947円 (治療請求額 203,894円)
* 疾病治療費支援小計  188,470円
3 死亡弔慰金  申請者なし
4 総額(1+2+3+送金手数料など)  321,095円
5 感想 疾病治療費報告書に関して次の点にご注意下さい。
①爪切りやシャンプー、フィラリア予防費用等は支援の対象になりません。これらを除いて請求して下さい。
②疾病名がよくわからない場合があるので、獣医さんにはっきりと記入してもらうようにお願いしてください。
③疾病治療費支援の申請締め切り期限(1月31日)を過ぎて申し込まれた方につきましては、次年度で扱わせていただきます。
(担当 齊藤慎一)
《会員の声》
『お元気ですか』
☆冬を目の前に、吹く風も身にしみます。皆々様、日々御苦労なさっていること本当に有り難く、心から感謝申し上げます。目の不自由な方々そして助けてくれる盲導犬達が、より幸せに安心してお暮らし下さる様に心から祈っています。(安曇野市 宮澤) 長野はまだまだ寒いと思いますが、皆様ご自愛下さい。福岡は梅の花が満開で春の訪れがとてもきもちいいです。
(福岡県糸島市 渡辺)
☆個々の活動にはなかなか参加できませんが、応援しています。 (長野市 寺島)
〈事務局 田中〉
《感謝録》
 『ご寄付・カンパありがとうございました』
平成23年度も大勢の会員の皆様と一般の皆様から励ましとご寄付をいただきました。また、動物病院内や治療院内の募金箱を通して心温まるカンパもいただきました。全額をハーネス基金として本会の盲導犬と引退犬の健康管理と疾病治療の支援に当てさせていただきます。ここにご芳名を紹介し厚くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。尚、会員の寄付は年会費2,000円を超えて送金して下さった場合です。
【会員より】 合計 156,800円
滝沢英樹 滝沢勝男 茅野永伯 清水純子 相場光子 明間健一 井川さゆり 今村和久 今村邦彦 大蔦吟与 奥原泰子 倉石千枝子 倉島憲代 黒澤美那子 小池フミ子 篠崎由起子 杉本宣子 鈴木眞沙子 関喜之助 多田艶子 田中淑子 寺島和音 藤川満希子 平林茂・道子 古内みづほ 松村敬 三村惇子 宮澤藤貴子 村嶋育子 山口宰四郎・裕子 弓田渉・香織 吉川敞子 渡辺実香 伊藤正幸
【一般の方より】 合計 181,000円
大井立子様(東京都) 1,000円 金井修司様(長野市) 10,000円
下伊那エリン応援団様 10,000円 (株)オフィス・ハラ様(千葉県)10,000円
盲導犬使用者サポートクラブ様(神奈川県) 100,000円
茶道裏千家淡交会善光寺平・北信青年部様(長野市) 50,000円
【募金箱より】 合計 19,433円
丸山治療院様 5,336円  伊藤動物病院様 14,097円
〈事務局 田中〉
《事務局から》
『平成24年度会費納入のお願い』  
本年度会費2,000円の納入をお願いします。同封の郵便振り込み用紙をご利用下さい。2,000円以上のお振り込みをしていただいた場合は2,000円を超えた金額を寄付金として会計処理し、会報の「感謝録」の欄にお名前だけ掲載させていただきます。よろしくお願いします。

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