ハーネスながの 2010年 8月 第32号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304
松本市大村492-3 TEL・FAX(0263)46-9611
第32号 目次
《定期総会》
『2010年度定期総会終わる』
『これからの会組織改編の方向』
《リタイヤ&デビュー》
『ありがとう、ユース、さようなら』
『2代目パートナーはザグ』
『大沢さんの4代目パートナー、パトリック引退』
《レクイエム》
『頼られ、愛され、穏やかに旅立ったパートナーたち』
「アイーダのこと」
「マックスとアルスターのこと」
「ゼーダーのこと」
「アルタのこと」
「ジギィのこと」
《連載 ~犬と歩けば~ 第1回》
『旅支度』
《報告》
『2009年ハーネスサミット(ハーネス交流会)報告』
『参加者の感想』
『会計報告(長野会計)』
《案内》
『平成22年ハーネスサミット参加者募集』
《ハーネス基金》
『支援内容は昨年と同じ』
『盲導犬使用者サポートクラブから寄付』
《事務局から》
『2010(平成22)年度会費納入のお願い』
『平成21年度決算報告書を同封しました』
《編集後記》
目次終わり
これより本文
《定期総会》
『2010年度定期総会終わる』
去る5月30日(日)午後、松本市元町のふくふくらいずで本年度の長野県ハーネスの会総会が行われました。盲導犬同伴者13名を含む会員25名の出席がありました。平成21年度の取り組みと会計報告、同22年度取り組み案と一般会計とハーネス基金会計の予算案が承認されました。本年度は会活動を活性化するための組織改編について活発な意見交換が行われました。できるだけ多くの会員に会活動に参加していただけるように専門部と運営委員会のあり方を改革していくことで出席者の共通理解が確認されました。ハーネス基金の運営については、支援の対象と金額とも平成21年度と同様に実施することが承認されました。
『これからの会組織改編の方向』 運営委員会
本年度総会では、諸報告の承認や事業案と予算案の承認といった恒例の議題の他に、「会組織再編の方向性」についても議論を進めることができました。 本会は1998年に発足して13年間も活動を続けることができました。活動の大きな柱であるハーネス基金による盲導犬と引退犬の高額医療費を中心とした支援と会報“ハーネスながの”の発行を続けております。しかし、会活動を推進する役員の顔ぶれが固定化されたり活動内容がマンネリ化したりして、発足のころの活力は感じられません。そこで本年度から来年度(平成23年度)にかけて、「できるだけ多くの会員に直接ハーネスの会活動に関わってもらうこと」を目標に会組織と役員選出方法の再検討(=会規約の改正)を行うことになりました。議論を深めて平成23年度総会では会規約改正を行うと共に新しい組織と役員体制をスタートさせたいと考えています。 そして総会での議論を受けて第3回運営委員会(7月17日)で現段階での問題項目と内容について検討と整理をしました。それらについてQ&A形式で説明します。
Q1 どのような形で会活動に関わるのですか?
A1.会員はどこかの専門部に属していただき、その人ができる範囲で専門部の活動に参加し、支えていただくことです。意見やアイディアを出していただくだけでも関わり方の一つですし、計画にしたがって実際に業務を推進していただくことも関わり方の一つです。意見交換や連絡調整は会合だけでなく電話や電子メールで行えるようにします。
Q2.どんな専門部ができるのですか?
A2.これまでも会規約では定められていた専門部もありましたが、次のようなものが考えられます。
①情報・研修部
・インターネットおよびHPによる情報発信。
・HPの管理と運営。
・研修・啓発行事の計画と推進。
・他団体との連携推進。
②問題対策部
・身体障害者補助犬法に基づく社会環境の改善。
・ハーネスの会独自の相談窓口を設けて盲導犬同伴時のトラブルに対応する。
・県の補助犬相談窓口との連携。
③サポーター部
・会員および会員外ボランティアの集約。
・個々の会員が必要とする支援の把握。
・会行事や活動に必要な人材の配置。
・個人および会行事の人的応援。
・盲導犬と引退犬の必要物品の斡旋。
④編集部
・会報“ハーネスながの”の発行
・会員と会活動の紹介。
⑤ハーネス基金部
・ハーネス基金の運営計画の作成。
・ハーネス基金助成申し込みの審査と決定。
・基金による盲導犬と引退犬の支援。
⑥事務局
・会員名簿の登録と管理。
・会費と寄付金(カンパ)の受け容れと管理。
・会報の発送。
Q3.専門部のチーフ(まとめ役=部長)はどのように選ぶのですか?
A3.各専門部に属する会員の自薦、他薦で選んでいただきます。自ら手を挙げて下さることを歓迎します。
Q4.これまでの役員会(運営委員会)のようなものも置くのですか?
A4.はい。各専門部のチーフ(部長)で構成する役員会(運営委員会)です。
・専門部は実質的に事業を計画し、推進していく中心です。
・役員会は会全体に関わる調整や決定を行います。
・年間事業の確認と調整、予算案づくりと決算報告書の作成、定期総会の計画などです。
・役員会の開催回数はできるだけ少なくしたいと思います。
Q5 どのようにして正副会長を選びますか。
A5.役員会(運営委員会)が会長候補1名、副会長候補1名を推薦します。
・総会の場で運営委員会の推薦に基づき正副会長を承認します。
・もちろん、運営委員についても総会で承認を受けます。
Q6.その他に改めようとしている点はあるのですか?
A6.そうですね。役員、特に正副会長の任期と再選の回数についても検討したいと思います。 目的はできるだけ役員の固定化を避けて、だれでも代表を受けやすくするためです。 他にも、会員の意見やアイディアを聴いて取り入れていきたいと思います。
Q7.意見やアイディアはどこに伝えたらいいでしょうか。
A7.電子メール、ファックス、電話でお寄せ下さい。
email:harate492@nifty.com電話ファックス: 0263-46-9611
携帯:090-5527-7931
※寄せられた意見やアイデアは次号会報にも掲載させていただきます。
《リタイヤ&デビュー》
『ありがとう、ユース、さようなら』
坂城町の中沢医(おさむ)さんの初代パートナーのユースが3月14日に引退しました。中沢さんとは8年3ヶ月の間生活を共にし歩いてきました。雄の黒ラブで年齢は10才。大阪の日本ライトハウス行動訓練所で育てられ、上田市(石井基金)から貸与されました。 リタイヤ後のユースは、幼犬時代に生活を共にした京都市内のパピーウォーカーさんの家庭で余生を送ることになりました。 中沢さんは、「ユースに出会え、心の支えとなり、歩く楽しさ・勇気・希望、生きる喜びを与えられ、様々なことに挑戦することにより、人の輪を広げることが出来ました。パピーさんの元でのんびりと過ごして欲しいです。」と話していました。 ユースとの別れに先立ち、2月20日に「盲導犬ユース お別れコンサート」が開かれました。プログラム最後の演奏では、ユースへのメッセージ2点が朗読され、涙が流れるシーンがある感無量のコンサートとなりました。 そのひとつ、ユースの「絵」に添えた姪(小学2年生)からのメッセージを紹介します。
「ユース君へ」
もう、3月になったら長野にあそびに行ってもいないからさみしいな。
でも、かいぬしのところへ行っても元気でね。
またあえるといいね。
みんなのこともわすれないでね。 ゆきのより
『2代目パートナーはザグ』
上田市(石井基金)は3月29日、坂城町の中沢医さんに2代目パートナーとしてラブラドルレトリバーの盲導犬「ザグ」を貸与しました。ザグは大阪の日本行動訓練所で育成された1才6ヶ月(3月現在)の雄の黒ラブ。体重は21.3kgとかなり小振りです。とても活発なワンチャンだそうです。ザグとともに中沢さんが益々ご活躍されることを期待しております。
『大沢さんの4代目パートナー、パトリック引退』
長野市の大沢本吉さんの4代目のパートナー、パトリックが3月30日に引退しました。引退後は松本市の茅野永伯さんの家庭で余生を送っています。 パトリックは2000年5月生まれで引退時は9才10ヶ月。大阪の日本ライトハウス行動訓練所で育てられました。2才1ヶ月になった2002年6月から大沢さんとの生活が始まりました。 大沢さんは3頭目までは東京のアイメイト協会で訓練された盲導犬を使っていました。協会に引き続き盲導犬歩行を希望したいと4頭目の共同訓練を申し込みましたが、大沢さんの73才という年齢を理由に希望が認められませんでした。そのため4頭目は日本ライトハウスから貸与を受けることになりました。 パトリックと歩き始めたころは、協会の違いによって犬の訓練方法が異なるためか主人の命令に対するパトリックの反応や歩き方が前の犬たちと異なることに戸惑ったそうです。一番もどかしかった歩く速度の遅さも気長に褒めながら少しずつ速く歩くように修正していきました。 この8年間で大沢さんにとって楽しかった思い出は趣味の尺八演奏の定期発表会に毎年パトリックと一緒にステージに上がったことだそうです。しかし、昨年3月にパトリックに白内障の進行が見つかり引退時期を考えるようになりました。専門の鍼治療で白内障はかなり改善されましたが10才という節目に決断したそうです。 大沢さんは今年80才。30年近い間に4頭の盲導犬と生活を共にしてきました。「盲導犬がいたからこそ80才まで健康で長生きできた」と言います。三輪の自宅から善光寺や長野駅まで2時間近くのウォーキングを日課にしていたこともあったと懐かしそうに話して下さいました。大沢さんはパトリックとの別れを機会に盲導犬歩行を卒業されました。
《レクイエム》
『頼られ、愛され、穏やかに旅立ったパートナーたち』
昨年12月から本年7月にかけて2頭の盲導犬と4頭のリタイヤ犬たちがそれぞれの家族に看取られながら旅立ちました。何れのワンチャンたちも同じ時期にそれぞれのユーザーの心強いパートナーとして日常生活の中や社会参加のために視覚に障害のあるユーザーに希望と勇気を与えてくれました。盲導犬のまま老犬となり、そのまま主人の家族と過ごしていたワンチャン。仕事を退いた後はリタイヤ犬ウォーカーの家庭に迎えられ優しい家族に愛されながらのんびりとした余生を送っていたワンチャン。
本号では立派に犬生を全うした6頭を紹介します。
★ アイーダ(盲導犬、15才、ラブラドール、雌) H21年12月7日 宮田村 牧田さん
★ マックス(引退犬、17才、ラブラドール、雄) 同 12月27日 松本市 茅野さん
★ ゼーダー(引退犬、13才、ラブラドール、雄) H22年1月1日 伊那市 馬場さん
★ アルスター(引退犬、14才、ラブラドール、雄) 同 1月20日 松本市 茅野さん
★ アルタ(盲導犬、13才10ヶ月、ラブラドール、雌) 同7月10日 長野市 竹内さん
★ ジギィ (引退犬 15才 ゴールデンリトリーバ 雄) 同7月6日 松本市 小林さん
「アイーダのこと」牧田 恒平(談)
平成7年生まれ。東京のアイメイト協会で盲導犬として育てられました。満2才の少し前から宮田村の牧田恒平さんとの生活が始まりました。 アイーダはイエローの雌のラブラドールレトリバーで、体重は20㎏弱で盲導犬としてはやや小振りの犬でした。牧田さんとは10才過ぎごろまで盲導犬として歩きました。宮田村内と周辺地域が中心で、地区の会合、役場や老人福祉センター、そして病院や理髪店など日常生活に密着した場所へのガイドには牧田さんは全幅の信頼を置いていました。 アイーダも10才を過ぎて老齢になり、盲導犬としての仕事は徐々に厳しくなりました。牧田さんと家族の希望で最期まで自宅で面倒をみることにしました。そのためアイーダは盲導犬としては珍しく、いつまでが現役盲導犬でいつからがリタイヤ犬か明確な区切りがなく老いの進行にまかせて余生を送るようになりました。 アイーダは高齢犬になっても健康に恵まれ、亡くなる2,3ヶ月前まで特別な病気には無縁だったとのことです。しかし、右後ろ足の指の間にできた腫瘍が大きくなり、その切除手術の数日後に家族に看取られて15年の犬生を閉じたそうです。
「マックスとアルスターのこと」 茅野 永伯
マックスは我が家に来て6年半、昨年12月27日に17歳5ヶ月の生涯を閉じました。紳士然とし頑固で、川に落ちても、穴に落ちても声を出さなかったのに、亡くなる前は鳴いて意思表示をしてくれた事は、本当に甘えてくれたと思える瞬間でした。妻と二人で3日3晩の付き添い、最後は私の腕の中で息を引き取りました。 アルスターは、マックスより3年4ヶ月後に我が家に来て、今年1月20日に14歳7ヶ月、マックスの最後を見届けてから、静かにまるで眠るように息を引き取りました。やんちゃ坊主でユーモアに富み、かわいらしく、気遣いができ、亡くなる前日まで庭で用を足し、私達の姿を見ると安心しきった眼差しを見せてくれたことが、救いとなりました。 他愛ない出来事、家族旅行等々たくさんありますが、昨年のテレビ東京「ポチたま」への出演は、私達へのマックスとアルスターの最後の贈り物であったように思います。マックスとアルスター、沢山の思い出と豊かな心を、ありがとう。
「ゼーダーのこと」
〈ゼーダー飼育者・馬場さんからの手紙〉
長野県ハーネスの会 様
春めいた毎日が続き、気持ちも少しずつ明るくなっていくような気がします。 1月にはゼーダーのことで、大変御気遣いいただきお礼を申し上げます。2月22日に、富士ハーネスの方に伺い、ゼーダーの遺骨を埋葬してまいりました。ゼーダーと共に生活を始めてから、本当に楽しく3年間とは思えない程のものでした。 その間、ハーネスの会から示していただいた(お便り等を通して)御親切に感謝をしております。 これは、本当に気持ちだけですが、何かに役立てていただければと思います。これからも益々この会を発展されることを願いお礼の一言とさせていただきます。 3月4日 馬場 壮
〈元ユーザー北澤さんからの手紙〉
ゼーダー ラブラドールレトリーバ ブラック オス
平成22年 1月1日に、永眠いたしました。 享年 13才2ヶ月でした。 10才1ヶ月で、盲導犬を引退し、伊那市 高遠の馬場壮さん宅で、余生を送っていました。 現役時代よりも、若々しくキビキビと行動していましたが、13才の誕生日の直後、急に体調が変化したそうです。その後、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、新しい年が明けた直後に、馬場さんご夫妻に見守られながら、息を引き取ったとのことです。 ゼーダーは、多くの方たちからかわいがられ、忠実に役目も果たし、幸福な一生を送った犬だったと思います。生前、皆様方から賜りましたご厚情に心より感謝申し上げます。 岡谷市 北澤とも江
「アルタのこと」竹内かつ(談)
アルタは1996年10月4日に東京のアイメイト協会で生まれ盲導犬として育てられました。雌のラブラドールで色はイエロー。長野市の竹内かつさんの3頭目のパートナーとして12年前に長野市に来ました。 アルタは健康な犬で12才を過ぎるころまでは大きな病気はほとんどしなかったそうです。しかし1年半前ごろから右後ろ脚の付け根あたりに痛みを感じるのか、右足を引きづって歩くようになりました。また、動物病院の検査では膀胱辺りに腫瘍のような影もあったそうです。しかし、亡くなる数日前まで食欲もあり普通の生活を送っていました。急に食欲がなくなったため2日間だけ入院して点滴治療を受けて帰宅しました。主治医の先生は、「高齢でもあるのでこれ以上の治療は控えた方がよい」と話されたようです。亡くなるその日(7月10日)の朝もトイレは自力で家の外に出て済ませたそうです。明らかに容態に変化が現れたのはその後のこと。急にベッドから起きあがらなくなり好物さえも口にしなくなりました。午後3時ごろ、竹内さんや家族に見守られ、微かに訴えるような鳴き声を数回絞り出すように上げて逝ったそうです。 アルタ、お疲れ様。天国にはお前の仲間が待っているよ!ありがとう。 ところで、竹内さんが初めて盲導犬と歩き始めたのは昭和61年(1986年)でした。以来、24年間(途中3年間ほど盲導犬から離れる)、盲導犬と共に歩いてきました。ハーネスの会のユーザーの中でも大先輩格です。竹内さん自身も高齢になりアルタを最期に盲導犬歩行を卒業されるとのことでした。
「ジギィのこと」 松本市 小林妙子
ハーネスの会からジギィへの香料をいただきました。ご丁寧にありがとうございました。ジギィは先月に15歳の誕生日を元気に迎えましたので、まだまだいろいろなことを一緒に楽しめると思っていましたが、月末に急に立てなくなり、嘔吐や下痢をして・・・治療の甲斐もなく、7月4日に亡くなってしまいました。本当にあっという間だったので、信じられないです。とても穏やかな顔をして安らかに眠っていました。 私がジギィと暮らし始めたのは、平成19年10月13日からでした。我が家にとって最初のリタイヤ犬であったピートがその前年の7月に亡くなり、気持ちの整理がつき始めていた頃、ライトハウスから長野県内に引退犬がいるとの連絡が入りました。始めは、ピートの死から「別れがつらすぎる」との思いがありましたが、周りの方から「新しい出会いがあるよ」と励まされていました。 8月にジギィの主人の丸子町の上原弘三さん宅に会いに行きました。そして一緒に暮らそうと決めました。 ジギィが我が家に来る日、「引退前に、美しい自然をみせてあげたい」との上原さんの想いから、一緒に上高地へ行きました。紅葉の木立の中を思う存分散策して、そのまま我が家の一員となりました。 ジギィは私の「良き相棒」でした。仕事から帰ってくるのが遅くなると、玄関から飛び出してきて、あおむけになって手足をぐるぐるまわしました。思いきり甘えてくれることが、仕事の疲れを癒してくれました。何といっても、ジギィとのゆったりと散歩をするときが幸せ感を感じるひと時でした。長いときは2時間近くも歩くこともありました。 ジギィは普段はあまり感情を出す子ではないのですが、私の気持ちをいつも見守ってくれていました。三人の子どもたちのこともいつも心配してくれていました。何かあるときには、いつも傍に寄り添っていてくれました。ジギィがいてくれたから、頑張ってここまで生きてこれたような気がします。本当に感謝しています。 天国では、仲の良かった猫の「れおちゃん」が待っていてくれるよ。ゆっくり休んでね。2年9ヶ月間、本当にありがとう。
《連載 ~犬と歩けば~ 第1回》
本号から盲導犬同伴での旅行体験記を連載します。仕事での出張、研修。または休暇を使っての旅。独り旅、家族や仲間との旅。更に、団体やツアーに参加しての旅行など。いろいろな形があると思います。盲導犬同伴の旅の楽しさや難しさはどんなところにあるのでしょうか。 “旅の達人”と思われる方々に登場していただきます。どんな体験が飛び出すか?乞うご期待です。
『旅支度』前野弘美
さて、盲導犬同伴で旅をするときに持って行く物に焦点を当てて私の場合について書かせて頂きます。本題に入る前に私のパートナー「クール」についてその食事とトイレについてお伝えします。食事は朝晩の2回、昼にクッキーの副食を与えています。排便は出かける前と戻ったときと朝・昼・夕・寝る前に行っています。トイレと食事に関しては忘れられない所です。 普段「クール」の為に背負っているものはトイレセット・タオル数枚・新聞紙・ビニール袋・着替えコート・敷物です。トイレセットとはベルトと袋・凝固剤です。日帰りは特に持ち物に変化はありません。雨とか雪の場合は着替えコートとタオルの数を増やします。一泊の旅では、食料(ドッグフード・クッキー)、食器が増える事になります。日数が増すと持ちきれない様になることがあり荷物を送る事をします。数日に渡る旅行では櫛・ブラシなどの手入れ用具も荷物に入れます。最近はビニールシートやコロコロの粘着シートも持ってゆく事があります。 旅先で心配となるのがまずはトイレです。何処でさせるのが良いか宿泊先で尋ねる事が多いですが、排便は袋を使い大小とも取るので周辺や下を汚すことはまずありませんので多目的トイレなどスペースのあるトイレで済ませられると便も直ぐに処理出来て便利です。屋外でする場合は雨などの降水のあるときが大変です。犬も人も濡れてしまいます。便を捨てる所が無い場合は凝固剤を使い固めて袋に入れチャックのある密閉袋に入れてそれを更に袋に詰めて荷物に入れて捨てられるまで持ち歩くことになります。食事は部屋や洗面所で与えるのが普通ですが、屋外を移動するばかりの時は屋外で水と一緒に与える事もあります。 旅行中は食事など早め早めに与えトイレも機会があるとさせるようにします、これで失敗をする事を極力避けます。宿泊が数日に渡る時は二日目の朝以降は朝早くに屋外でブラッシングと櫛を入れます。旅行の時は疲れるらしく夜はよく寝ている事が多い様です。最近は宿泊先で犬の為の敷物などを用意して頂ける事が増えてきました。旅行に出るときは「クール」の荷物がかなりの体積になります。楽しく失敗のない旅行をするためにこれらの荷物は減らせないと思っています。コートやタオルは旅行先で洗う事ができますが、食事は指定の物を与えなければならないので用意して行かなければなりません。以上が私が旅行に持って行く「クール」の荷物です。 ただ並べただけで面白みの無い文になってしまいましたがお許し下さい。 それではこれにて失礼致します。
《報 告》
『2009年ハーネスサミット(ハーネス交流会)報告』 前野弘美
昨年度は山梨ハーネス友の会の中嶋さんの企画による石和温泉と盲導犬センター見学の二日間でした。犬の排便に関して、獣医師の先生からの専門的なお話と参加者の皆さんの状況や工夫・困っていることなど意見や質問、先生のコメントなど、とても意味の有る研修会でした。 二日目の盲導犬センターは大きくすばらしい施設でした。交流会の実施報告を致します。
・実施日:平成21年9月5日(土)・6日(日)
・場所:山梨県石和温泉ホテル甲斐路、静岡県富士ハーネス・ミルクランド
・参加者:48名( 長野県より18名、盲導犬は8頭。 山梨県より30名、盲導犬は)
心配された天候にも恵まれ、坂田さんの運転によるバスを使っての二日間の研修・交流の旅でした。皆が無事に過ごせ有意義な時間を持てましたのもお手伝い頂いたボランティアの皆様、山梨の皆様のおかげと感謝しております。また、参加して頂きましたユーザーの皆様のご協力にお礼を申し上げます。ありがとうございました。 研修会の内容を録音しました。ご希望の方には配布致します。音楽CDに記録したもの、MP3データとしてパソコンで再生可能な物をダウンロードして頂くなどの方法にて対応いたします。CD送付の場合は送料とメディアの実費をご負担願います。ご希望は前野まで
今回の議事の中で、今後のハーネスサミットの企画および実施の方向について話されました。実行委員会形式により幹事として多くの立場の方々から参加して頂き企画・実施を進める事となります。当面はおのおのの会の協力を頂きながら進めますが、実行委員会独自で進められる体制を目指して行くことになりました。今後も皆さんのご協力をお願いいたします。
『参加者の感想』
☆先日は二日間たいへんお世話になりましてありがとうございました。今年初めて参加させていただき、皆さんのいろいろなご意見や参考になるお話を聞かせていただきました。いろいろと学ばせて頂きました。わんちゃんのトイレをさせる所が無い場所での対応の仕方や、家でのトイレのやり方が訓練所や、それぞれいろいろと工夫されておられることがわかりました。また山梨の動物病院の先生より参考になるお話を聞くことができ、勉強になりました。4時間も時間が有ったのですが、皆さんがいろいろな意見を活発にだされて、時間がもう少し有ればもっといろいろな意見が聞かれたと思いました。 来年も是非交流会が有れば参加してまいりたいと思いました。 2日目も、日本盲導犬協会富士ハーネス訓練所を見学させていただき、日本ライトハウスとは違う面もみることができ、充実した二日間を過ごさせて頂きました。(福崎直明)
☆今回初めて交流会に参加させていただきました。私は、盲導犬を持って、まだ一年半です。わからないことや、困ったこともありまして、こちらに参加させてもらえれば、ユーザーの方もたくさんいるようでしたので、いろんな話が聞ければと思い参加しました。 私のパートナー(デミ)と泊まりで出掛けたことが、まだなかったので、一抹の不安がありましたが思ったより大丈夫でよかったです。交流会では、いろんな話が聞けましたし、日本盲導犬協会富士ハーネスの施設では、訓練の様子や施設の様子がよくわかりましたし、施設をオープンにして外部に見せていくことは盲導犬を認知・理解してもらえる場所になると思います。それによって私たちユーザーは、今以上に社会で行動しやすくなると思います。 2日間でしたが、有意義な時間を過ごさせて頂きました。また、機会がありましたら、参加させて頂きたいと思います。(谷口和男)
※西山英敏さんからも感想をいただきましたが、データトラブルでここに掲載できないことをお詫びします。みなさん、ありがとうございました。
『会計報告(長野会計)』
【収入】
・参加費 277500円 17名×15500円+1名×14000円
・会助成 20000円 ハーネスの会事業助成
【支出】
・参加費 234000円 18名分実行事務局
・交通費 63000円
・資料等 500円
・支出計 297500円
《案内》
『平成22年ハーネスサミット参加者募集』
皆さん是非ご参加下さい。今年は犬のケア・健康管理とかんてんぱぱガーデンでの講演他を下記のように企画致しました。
~長野伊那谷研修会~
1.日時:9月4日(土曜日)~5日(日曜日)
2.内容
4日「研修会:犬のケアについて」
懇親会:宮田観光ホテル
5日「伊那食品かんてんパパミュージアムにて見学・講演・食事他」
聴導犬、介助犬のデモンストレーションと講演 9時~10時
買い物・昼食
たくふく便(説明講演) 12時15分~
野村陽子さんよりお話し
解散:15時30分(予定)
3.連絡・問い合わせ・申し込み先
前野 弘美
4.参加費用(長野県バス利用の場合)
・大人 17,700円
・小学生 11,190円
・保育園児 6,850円
※上記はバスの費用・ホテル宿泊・懇親会・朝食を含んでおります。
4日と5日の昼食代は含まれておりません。
5.見学・研修・宿泊施設
・日本聴導犬協会
・かんてんぱぱガーデン
・野村陽子さん、細密画を描かれる方
・たくふく便 住民参加の生活支援サービス
・宮田観光ホテル 松雲閣
6.その他
長野県ハーネスの会では本年度一般会計にハーネスサミット研修参加助成として3万円を予算化しました。本会会員の参加者に助成します。
《ハーネス基金》
『支援内容は昨年と同じ』
本年度のハーネス基金による支援の内容をお知らせします。会員の使用している盲導犬と引退犬が支援の対象となります。支援内容は昨年と同様です。
(1)健康管理費助成金
1頭年間5000円(年度末実施)
(2)疾病治療費助成
動物病院で支払われた疾病治療費の半額を助成(年2回実施)
・「疾病治療費支払い報告書」に領収書を添付。
・領収書には疾病名、簡単な処置内容、投薬名、金額を明記。
※フィラリア予防薬は対象に含めません。
(3)死亡見舞金(香料)
死亡見舞金1万円(随時)
『盲導犬使用者サポートクラブから寄付』
東京都と神奈川県を中心に活動している「盲導犬使用者サポートクラブ(桑山直子代表=藤沢市)」から本会に対して6月に10万円が寄贈されました。本会ではいただいた寄付金をハーネス基金に入れ会員の盲導犬とリタイヤ犬の医療や健康管理などの支援に当てることにしました。 『盲導犬使用者サポートクラブ』は、アイメイト協会の後援会メンバーとして支援活動に参加していた桑山さんら3人が中心となって立ち上げられました。都内や神奈川県内で盲導犬関連グッズの製作と販売に取り組み、その収益金を原資として独自の支援活動を行っています。アイメイト協会の後援会やそのユーザーだけでなく、各地で地道な活動を行っている使用者グループや組織を支援したいとのことで、長野県ハーネスの会の他に静岡県と熊本県の盲導犬使用者グループにも助成したとのことでした。
多額なご支援をありがとうございました。
《事務局から》
『2010(平成22)年度会費納入のお願い』
本年度の会費2000円の納入をお願いします。同封の郵便振り込み用紙をご利用下さい。振り込み手数料は不要です。一部の会員には前号会報に同封させていただいていますので本号には入っていません。 よろしくお願いします。
『平成21年度決算報告書を同封しました』
2009(平成21)年度長野県ハーネスの会決算報告書(一般会計・ハーネス基金会計)を同封しました。5月30日の総会で承認されたものです。ご一読いただければ幸いです。
《編集後記》
今年は例年にない充実した梅雨でした。ユーザーさんやワンちゃんにとっても、外出が大変だったのではないでしょうか。そんな梅雨がようやく明けたかと思ったら次は猛暑の到来。じっとしていてもジワーッと汗がにじんできます。「夏は暑い方が夏らしくていい」とは思うものの、そんなこと言っていられないくらいの暑さです。熱中症やゲリラ豪雨などの報道もよく耳にします。気候の変化の振れ幅が大きくなっているように感じるこの頃です。会員の皆様そしてワンちゃんたち、暑い夏を元気で乗り切るよう、くれぐれもご慈愛下さい。
さて、久しぶりの「ハーネスながの」をお届けします。文字が多く読みにくい編集となり申し訳ありません。ハーネスの会の今後の運営についてみんなでアイディアを出し合って考えていけたらいいですね。