会報 「ハーネスながの 第57号」


      『ハーネスながの』第57号 (2019年9月) 
発行:長野県ハーネスの会 会長 池田純 編集 前野弘美 片山幸子
〒381-0043 長野市吉田3-16-13 (株)Jハート内 Tel. 026-214-0802

振込み:ゆうちょ銀行 00570-7-17991 「長野県ハーネスの会」
     ーーーー ーーーー 本号の内容 ーーー ーーー
《報告》 2019年度長野県ハーネスの会定期総会
《文芸/単価》 天使と歩く四季の歌 ③
《ブック》 本ほどステキなものはない! ⑤
《デビュー》 『初めまして、ループです』
《デビュー》 『もう少しゆっくり行こうよ』
《デビュー》 『家族とスマイルで』
《お知らせ》 ハローアニマルのドッグドック事業について
《事務局から》 ■ 「ユーザーとワンちゃんの近況」
    ■ 「メーリングリストの引越しについて」
    ■ 「会費納入のお願い」
《編集後記》 ことしの夏は ・・・ ・・・ 
     ーーー ーーー それではお楽しみ下さい ーーー ーーー
『2019年度長野県ハーネスの会定期総会』
◆ 長野市障害者福祉センターにて2019年度定期総会開催   広沢里枝子
日時 平成31年6月2日10:00~12:00
会場 長野市障害者福祉センター 201
参加 14名・盲導犬9頭
来賓 長野県障害者支援課
  補助犬担当 近藤優香様
 皆様、ハーネスの会総会へのご参加、ご協力をありがとうございました。おかげさ
まで総会の議案は、すべて承認されました。
 総会で話し合われた内容の概略を報告いたします。ハーネスの会の活動状況など、
会員の皆様にお伝えしたいことを中心にまとめました。詳細について知りたい方は、
総会資料を確認するか、会長へお問い合わせください。
昼食をはさんで、午後には、イスラエルのオーカム・テクノロジーズが開発した「オ
ーカムマイアイ2」などの福祉機器の体験会をおこないました。
《写真掲載》
1. 会長あいさつ
2. 2018年度事業報告
◆ 事務局・運営委員会
①総会の開催
②運営委員会の開催 3回
③メーリングリストの運用
④サイトの管理
⑤名簿の管理
⑥寄付金の受け入れ
⑦その他
◆ 編集チーム
①会報“ハーネスながの”の発行 3回
◆ ウエルカムチーム
①東御市へのミニ旅行の実施
②募金箱の設置・集金。盲導犬のストラップの販売等
◆ 対策チーム
①京都国立近代美術館で行われた「新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業実行委員
会」主催『美術のみかた、みせかた、さわりかた』ツアーに参加
②長野県信濃美術館主催『触れる美術展2018 手から始めよう 西村陽平×光島貴 
之』に参加。
③信濃美術館の実施設計の最終案の説明会に出席
④上田市天神の歩車分離信号の問題について取り組む
 ※盲導犬ユーザーからの相談はありませんでした。
◆ ハーネス基金チーム
①健康管理費 125,000円(25頭)を助成。
②疾病治療費助成金 187,664円(2名)を助成。
③弔慰金 30,000円(3名)を支援。
 ※2018年度会員数 112名。
【呼びかけ】 会長から、引退犬ボランティアの方々から、ユーザーの皆さんへ、日
頃から歯石のケアを丁寧にしてほしいという要望があったことが伝えられました。歯
石がひどくなると、全身麻酔をして手術しなければならない場合もあるそうです。
 また、引退犬ボランティアの方々からは、日ごろから盲導犬の健康情報を記録して
、引退するときに伝えてほしいという要望もあったそうです。
 ユーザーの皆さんは、心がけましょう。
【呼びかけ】 ダニ退治の薬で、犬が体調を崩した事例があったそうです。注意しま
しょう。犬の体に草が触れる所を歩かないようにしたり、ダニが付いたときには、ひ
っぱって取らないようにすることも必要です。
3. 2018年度決算報告 (ここでは省略)
4. 監査報告 (ここでは省略)
5. 2019年度事業計画
◆ 事務局・運営委員会
①総会の開催
②運営委員会の開催 3回
③メーリングリストの運用
④サイトの管理
⑤会員名簿の管理
⑥寄付金の受け入れ
⑦その他
 会員への情報伝達(メーリングリスト・電話・郵送など)
 ハローアニマルドッグドック(補助犬健康診断)への対応
 一般への情報発信(啓発活動・講演依頼への対応など)
 行政などへの訪問・懇談での啓発活動
【呼びかけ】 会長から、呼びかけがありました。ハローアニマルの健康診断は、無
料で受けられるので、ユーザーの皆さんは、進んで受けましょう。
【呼びかけ】 事務局から呼びかけがありました。ハーネスの会のリーフレットは、
できるだけカラー印刷できるように、検討することになりました。盲導犬の啓発のた
めに、リーフレットが必要な方は、事務局へご連絡ください。
◆ 編集チーム
①会報“ハーネスながの”の発行 3回
【呼びかけ】 編集チームから呼びかけがありました。原稿の寄稿などご協力をお願
いします。身近な情報を伝えてください。
◆ ウエルカムチーム
①イベントの実施と参加
【呼びかけ】 ウエルカムチームから呼びかけがありました。
①昨年度のミニ旅行は、参加者が少なくなってしまい残念でしたので、今年度は、多
くの方に参加していただきたいと思います。
②ストラップの販売と募金箱の設置と集金
◆ 対策チーム
①盲導犬ユーザーの相談に対応
②「長野県障がい者共生社会づくり条例」の検討委員会に参加
③東京オリンピック・パラリンピックに関連した駅前整備事業に参加
【呼びかけ】 対策チームから呼びかけがありました。県の「障害者差別禁止条例」
などに反映させるために障害当事者の体験の事例集を作りたいと考えています。その
ときは、ご協力をお願いします。
◆ ハーネス基金チーム
①健康管理費支援:1頭につき一律、5,000円の支援を行う
②疾病治療費支援:申請者に対し、支払った疾病治療費の半額を支援する
③死亡弔慰金 会員の盲導犬および引退犬が死亡した場合、1万円を贈る。
【呼びかけ】 ハーネス基金チームから呼びかけがありました。疾病治療費に関して
:爪切り、シャンプー、フィラリア予防費用等、支援の対象にならないものを除いて
請求してください。病名がよくわからないので、記入忘れのないようにお願いいたし
ます。請求は1月20日締め切り(治療費は12月末までに支払ったものを対象とします

【意見】 会員から、監査役は、二人いたほうがいいのではないかという意見があり
、検討することになりました。
【意見】 ミニ旅行は、予算に明細を出したほうがいいのではないかという意見があ
り、ウエルカムチームが答えました。ミニ旅行にかかる経費は、原則として参加者の
個人負担で、予算化はしません。昨年度のミニ旅行は急に参加者が減りバス代金など
が不足したため、予備費から補助してもらいました。
【意見】 歩車分離式信号が、視覚障害者にとってなぜ危険なのかということについ
て、意見交換がおこなわれました。その結果、これは個人では解決できない重要な問
題なので各地で実態を把握して、地域の警察署等に要望するなど、これからも力を入
れて解決していく必要があることを申し合わせました。
【情報】 盲導犬が、胃腸炎をおこし、その原因がドッグフードだったことがわかり
ました。ドッグフードには、質の良いものと、悪いものがあり、犬にあったものを選
ぶ必要があります。ドッグフードの質を評価したホームページもあるとのことで、参
考になりました。
【意見】 ハーネスの会の事務局は、こまかな仕事がたくさんあって、大変な状況で
す。もっと手分けをしないと、事務局の負担が大きいので、皆さん協力してください

【意見】 寄付に対して会の対応が遅かった。このご意見に対しては、会長からお詫
びの言葉とともに、今後は迅速な対応を心がけますという回答がありました。
《文芸》 天使と歩む四季の歌 ③  東御市  広沢里枝子
◆ 「青ですよ」と 声かけくれる 人のあり 盲導犬と 交差路渡る
◆ 四頭の 引退犬を 看取りくれし この真心に いかにむくいん
◆ われは花 夫は骨壺 胸に抱き アイメイト眠る 墓へとのぼる 
◆ この夜は 春一番の 嵐とて 盲導犬も おののきており
◆ 視力無き 目にも朝陽は 明るくて 盲導犬と 春の野を行く
《ブック》 本ほどステキなものはない! ⑤ 『不屈』 長野市  池田 純
 今回は、中国の視覚障害のある人権活動家の陳光誠(チェン・グアンチェン)の「
不屈」を紹介します。
 この本は、白水社から2017年5月に出版されましたが、陳光誠の活動については、2
000年代初頭より度々報道されており、特に2012年5月にアメリカに亡命する際は、
新聞やテレビで大きく取り上げられました。
 本の冒頭は、数十人の監視員が交替で監視する、生家から脱出するという緊迫の場
面から始まります。
陳光誠は、1971年、山東省の貧農の家に生まれ、高熱のために失明。18歳の時に盲学
校に入学、その後青島《チンタオ》の盲学校に転校し、1998年に卒業。さらに南京《
ナンキン》中医薬大学で鍼術と按摩を学び、2001年に卒業。
 とは言え、故郷から遠く離れた学校での寮生活は、困窮をきわめ、栄養失調のため
何度も健康を害するという悲惨な体験をしながらの勉学だったものの、苦心の末に入
手した短波ラジオで、VOAなどの外国の放送も聴くようになり、人権活動家としての
基礎を身に付けます。
 また、ラジオの番組のキャスターをしている男性とコンタクトを取ることで、社会
活動の経済的支援を得たり、聴取者の相談コーナーに登場した、袁偉静(ユエン・ウ
ェイジン)に自ら電話をすることで、様々な相談にのるようになり、その女性が後に
陳光誠の活動を献身的に支える妻となります。
 学生時代から社会活動に取り組み、1994年には障害者である自身に不当な課税がな
されていることに抗議し、2000年には郷里の村民を組織し、製紙工場の水質汚染に反
対する嘆願を行い、卒業後は地元である臨沂(りんぎ)市沂南県に戻り、マッサージ
師として働き始める一方で、法律的な相談を行ったり、農民工や障害者、女性の権利
擁護に取り組みました。
 特に厳しい闘いになったのが、2005年6月、人口抑制関連法(一人っ子政策)をめ
ぐって、強制的な中絶、卵巣の摘出術を受けさせられた山東省内の女性たちの訴えを
録音し、それを文書にまとめ、集団訴訟を起こした事件です。
 この訴えに対して当局は、陳光誠を自由に行動させないため、ささいな理由で2006
年3月から、臨沂市の施設に拘禁し、裁判を経て、2010年9月まで拘束します。拘置所
・刑務所の環境は、劣悪をきわめ、一つの房内に20人以上が詰めこまれ、横になるこ
ともできなかったり、小さな容器に排尿をするため、それが漏れて床をぬらしている
ような有様でした。
 刑期を終え、刑務所を出所したものの、自宅での軟禁生活は19カ月に及び、この間
、本人のみならず、妻、母も自由に外出することはできず、長男も小学校に通うこと
は許されず、それどころか、度々、本人や妻に暴力がふるわれ、家宅捜索を繰り返し
、本人と外の世界がつながることに対して徹底的な取り締まりがなされます。
 そのような生家での軟禁生活から脱出するため、妻と長い間計画を練り、本の冒頭
の脱出となります。とは言え、目の見えない者が一人で投亡するわけで、手さぐりと
音だけが頼りの逃避行です。途中、足を骨折し、泥だらけになってやっとの思いで隣
りの村までたどり着きます。そして、様々な人々の助けによって北京のアメリカ大使
館まで逃げます。
 ところが、アメリカは、中国政府との交渉で、彼を保護するのではなく、北京市内
の病院に入院させ、再び中国政府の管理下に戻させてしまいます。しかし、アメリカ
の上院議員等に対して必死に呼びかけ、妻子と共にアメリカに出国することができま
した。
 陳光誠は、アメリカの大学の特別研究員としての生活が始まったものの、中国に残
った親戚や支援してくれた弁護士に対する中国政府の締め付けは苛烈をきわめ、何人
もが命を失ってしまうことになります。
《デビュー》 『初めまして、ループです』 上田市  松尾寿美子
 皆さん、こんにちは。6月に共同訓練を終えて新しいパートナーと歩き始めました
。名前は「ループ」です。「輪」という意味で関わった人々と輪ができるようにと名
付けられたそうです。ラブラドール・イエロー・23.8kg、4月生まれの2歳です。
 お仕事ぶりは順調です。たまに一度も入ったこともないコンビニのドアを教えては
くれますが、いつも利用しているバス停やスーパーのドアを覚えるのは早いです。普
段はとても甘えん坊さんで私にくっついてきます。
どうやら私は家の中でループに四六時中見張られているようです。ちょっと立ち上が
っただけでも一緒に立ち上がってついてきます。狭いキッチンで、私がお鍋やフライ
パン
を目の前にして料理をしている時に足元に寝そべってしまいます。危ないったらない
です。ですが、色白の可愛い子なのでピンクのお洋服がよく似合います。これからル
ープといろいろな所に出掛けるのが楽しみです。
どうぞこれからも皆様よろしくお願い致します。
《ループと松尾さんの写真》
《デビュー》 『もう少しゆっくり行こうよ』 飯田市  井原通雄
「井原さんしっかり歩くから、少々歩いてもへこたれない犬を選びました」。
今回共同訓練に入る前に訓練師の方から伺ってはいたのですが、私もコノ半年、殆ど
家から出かけることが無い生活を送っていましたのでちょっと不安ではありました。
 ナギという名前を頂いた、ゴールデンとラヴの混合ですが、確かに背が高く、手足
の肘から先、膝から先がすっと伸びています。コノ身体で「さあ着いておいで」とぐ
いぐい歩きます。私も古希を目前にした齢ですから、そうは簡単について行くことが
できません。「ステディー」、コマンドを伝えると、私を振り返り「どうして」と見
るのですが、すぐに忘れてしまうようです。
 訓練師に相談すると、「繰り返し言うしかないですね、そのうちに慣れますよ」と
普通のお返事。困った私は、他の訓練師にも伺ってみました。そしたらある方が、「
コマンドを伝えても緩めなかったらハーネスを落としてごらん」。やってみましたら
その通り、即座に止まってリセットされますから、しばらくは大丈夫なのです。これ
を繰り返していましたら、今は「ステディー」と伝えることがなくなりました。
今度は「もう少し速く歩いてよ」というときもあります。「今日は気持ちが入ってい
ないのかな」、「ハップアップ」伝えてみてもなかなか。そうだこれも応用編でやっ
てみようかなと、私の位置を後ろに下げてみてハーネスにかかる負担を強めてみまし
た。そうしたら、面白いですね、ぐいぐいと引っ張り始めたのです。かくして私は2
頭目の犬と新しいチャレンジを始めました。
《デビュー》 『家族とスマイルで』 東御市  両角幾雄
3月に共同訓練を終了し、5ケ月が過ぎました。2頭目のスマイリーも我が家、家族に
も慣れた様子です。坂道の多い東御市を歩いているので、スマイリーの体格も筋肉質
になってきた感じ。私の体重は7kg減(笑)。
私の歩行をサポートするだけでなく、妻や娘にも良い影響を与えてくれている気がし
ます。家族がスマイルで過ごせたらと願っています。
《スマイルの写真》
《お知らせ》 ハローアニマルのドッグドック事業について
 長野県動物愛護センター(ハローアニマル)では、ドッグドック事業(補助犬支援)
として、盲導犬ユーザー宅を訪問し、盲導犬の健康診断・血液検査・検便・尿検査を
しています。
この事業は、無料で利用できますので、検診を希望される方は、会長までご一報くだ
さい。
 なお、自宅を訪問する時期は、11月から1月です。
《事務局から》 ユーザーとワンちゃんの近況
◆ユーザーの近況報告
盲導犬ユーザーの近況報告です。
飯田市の井原通雄さんが、5月に新しいパートナーを迎えられました。パートナーの
名前は「ナギ」。2歳の雄で、ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミ
ックスだそうです。
上田市の松尾寿美子さんのパートナー、ガーラが引退し、7月から新しいパートナー
を迎えられました。名前は「ループ」。ラブラドールレトリバーの雌で、2歳だそう
です。
◆メーリングリストの引越しをします
長野県ハーネスの会では、会員どうしの交流と情報交換・会からのお知らせをいち早
くお伝えすることを目的として、メーリングリストを運用しています。現在使用して
いる「freeml」のメーリングリストサービスが、今年12月で終了することになりま
した。そのため、別のメーリングリストサービスへの移行を検討しています。詳細に
つきましては、決まり次第メーリングリストでお知らせいたします。
現在、携帯電話会社のアドレスや一部のフリーメールアドレスで、メーリングリスト
からの配信がストップしてしまう事例が増えています。メーリングリストからのメー
ルをスパムメールと認識し、受信サーバー側で拒否されると、配信が止まってしまう
ようです。最近メールが届いていないという方は、受信設定の確認をお願いいたしま
す。メールの受信設定で、「freeml.com」を指定してください。その後、お名前とメ
ールアドレスを事務局までお知らせください。配信開始の手続きを行います。
また、新たにメーリングリストへの参加を希望される方も、お名前とメールアドレス
を事務局までお知らせください。
≪事務局メールアドレス≫
jimu@harness-nagano.com
◆会費の納入について
今年度分の会費を納入してくださった皆様ありがとうございました。会費の納入がま
だの方は、前号の会報とともにお送りした振替用紙にて、9月末日までにご入金いた
だきますように、お願い申し上げます。年会費は2000円です。会費以外のご入金の場
合は、通信欄に内容をご記入ください。ご協力よろしくお願い申し上げます。
編集後記
 夏休みにやってきた5歳の孫は、スイミングに行っているわけでもなく、誰が教え
たわけでもないが、ちゃんと息つぎもして25m泳げるという。娘いわく、「犬かき
みたいな、平泳ぎみたいな、とにかく不思議な泳ぎ」だそうだ。それはおばあちゃん
としては是非とも見なきゃ、ということで見に行った。確かに何とも言えない泳ぎで
25m泳いだ。しかし、「天才か!」と思える泳ぎではなかった。残念なことに。
 そのプールでのこと。車に帽子を忘れたので、サンダルも履かずに裸足でアスファ
ルトに足を踏み出したとたん、とても熱くてびっくり!盲導犬も含め、犬や猫はどう
歩いているんだろうと、改めてユーザーさんたちの大変さを思った夏のできごとでし
た。(片山)

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