会報「ハーネスながの 第50号」


ハーネスながの 2017年3月 第50号
発行:長野県ハーネスの会  前野弘美
〒390-0871 松本市桐2-4-44-1
Tel. 080-1043-7315 Fax. 0263-35-8024
http://www.harness-nagano.com
振込み:ゆうちょ銀行 00570-7-17991
   「長野県ハーネスの会」
『第3回運営委員会・街頭募金』
◆松本市のMウイングにて  第3回運営委員会開催 前野弘美
3月5日(日)に松本市Mウイングで本年度第3回運営委員会を行い、
午後は松本駅前でハーネスの会の広報活動として街頭募金をしました。
運営委員会には盲導犬9頭と会員19名が出席しました。
◆チーム活動の報告
【事務局チーム】
①総会、運営委員会
・総会 ’16年5月19日(日)
 松本市 会員22名盲導犬7頭
・第2回運営委員会 ’16年10月2日(日)
 長野市 会員10名盲導犬5頭
 午後は東急百貨店前で広報・募金活動
・第3回運営委員会 ’17年3月5日(日)
 松本市 会員19名盲導犬8頭
 午後は松本駅前で広報・募金活動
②ハローアニマルドッグドック(補助犬健康診断)に 協力
 10月~11月に盲導犬13頭が受診
③会費・寄付金受け入れ
④会報など発送、名簿管理
【ウェルカムチーム】
①松本市「てまり時計まつり」にブース出店し、啓発と募金活動。
5月28日(土)・29日(日)
松本地域の精神保健福祉を考える会・エクセラン高等学校と協力
②山梨県清里へミニ旅行 8月7日(日)
会員21名と盲導犬5頭参加
③松本市「まちゼミ」で補助犬(盲導犬)の啓発活動。
【問題対策チーム】
①全国の盲導犬育成施設に対して引退犬対応のアンケート実施
②東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、盲導犬使用者が、
ホームより転落して死亡した事故を受け、緊急記者会見を行う。
視覚障害者の安全移動についての「お願い」を伝える。
’16年8月24日
③駅ホームでの視覚障害者の安全移動について県内鉄道事業者と懇談。
’16年12月20日
④県内のテレビ局・ラジオ局からの取材に対応。
盲導犬歩行や視覚障碍者の安全移動について現場取材に協力。
【編集チーム】
①会報「ハーネスながの」の発行
 48号 8月発行
 49号 12月発行
 50号 3月発行予定
【ハーネス基金チーム】
①盲導犬と引退犬の疾病治療費の一部助成
②盲導犬と引退犬の健康管理費助成
 (詳細は別欄で報告)
◆第2回街頭募金活動の報告
 運営委員会終了後、松本駅前で2時間ほど、
ハーネスの会の啓発キャンペーンと募金活動を行いました。
(写真:街頭募金の様子)
 ハーネスの会が日頃取り組んでいる盲導犬ユーザーも暮らしやすい街作りへの理解や、盲導犬と引退犬の医療費支援のための募金への協力を呼び掛けました。
街頭キャンペーンには松本市内の高校生ボランティアの協力も得られ、
募金額は62,847円でした。
チラシを受け取っていただいた方々、募金に協力していただいた皆さま、
有難うございました。
参加された会員の皆さん、終わりの頃は寒いくらいになりましたが
風邪などひかれませんでしたか、お疲れさまでした。
◆新年度の予定
①ハーネスの会総会
 日時:5月14日(日)
10時30分~14時30分
 会場:長野市障害者福祉センター 201
 (長野市鶴賀七瀬中町276-10
        ? 026-226-4884)
②第2回運営委員会10月1日(日)松本市
③第3回運営委員会 ’18年3月 長野市
会報50号記念特集
『ハーネスの会』会員紹介
◆記念特集にあたって       編集チーム 北澤とも江
長野県ハーネスの会の会報「ハーネスながの」は、創刊から数えて、
このたび50号を迎えました。
ひとつの節目になるこの機会に、会報について、今までの経緯を書かせていただきます。
会報「ハーネスながの」は、1999年1月に創刊号が発行されています。
長野県ハーネスの会の設立はその前年、1998年10月のことでした。
会報の編集は当初、ユーザーの加藤久美さんが担当していました。
原稿の文字をひとつずつ丹念に数えながらの大変な作業だったと聞いています。
その後、加藤さんから引き継いだユーザーの原哲夫さんと、編集を引き受けてくださった池田康子さんが長い間会報を作り続け、3年前からは編集を池田さんから片山幸子さんが引き継いでくださっています。
このハーネスの会の特徴は、晴眼者の会員と視覚障害の会員がいることです。
そのため、会報は点字版、墨字版、録音テープ、メール版と会報を受け取る会員の希望に合わせて作成する必要があり、それぞれの作業を受け持っていただいている
多くの人の協力により発行されています。
点字印刷、墨字印刷、テープ録音製作と会報の発送作業は、松本市の
就労継続支援B型事業所「ふれっ手(しゅ)」が担ってくれています。
ちなみに、印刷された墨字版は12ページ位の仕上がりとなっていますが、
点字版の会報は50ページ前後の、かなり厚さのある冊子になります。
発行までの流れを思いうかべますと、多くの人のネットワークの暖かみを感じます。
さて、今回の50号の記念に企画した「会員紹介」について説明します。
これまで「ユーザーと盲導犬」については、「デビュー」「近況報告」といったかたちで紹介できました。
「引退盲導犬の飼育をされている会員」についても、それぞれの方のご協力を得て紹介することができました。
しかし、そのほかの会員の紹介はなかなか実現できませんでした。
それは、どなたが会員なのかがわからないからでした。
そこで、ハーネスの会のメーリングリストに参加してくださっている会員を対象に、
こちらで用意した質問様式をメール配信し、協力いただける会員から
返信していただく方法での原稿集めをお願いすることとしました。
ユーザーにも仲介等の協力をいただき、おかげさまで多くの回答が寄せられました。
心より感謝申し上げます。
質問は三つ用意しました。
Q①お名前、お住まいの市町村等、性別、年齢(年代)
Q②あなたはペットを飼っていますか。
飼っている方は、ペットについてのコメント。
(写真があれば写真説明もお願いします。

Q③あなたの趣味、日頃の活動、家族の近況、長野県ハーネスの会に対する感想など。
なぜ、ペットや、趣味を書いていただきたかったかというと、このような質問であれば、どなたでも気楽に回答していただけるのではないかと考えたからです。
原稿の募集期間は、2017年2月3日から2月28日までとしました。
(その後、3月20日まで延長)
今回は、会のメーリングリストを使いましたので、そこに参加されていない会員には連絡できなかったことをお詫び申し上げます。
会員でなくても、会の集まりの折に、ボランティアとしてサポートしてくださっている方にもご協力いただきました。
併せて感謝申し上げます。
会報を通じて、ハーネスの会を身近に感じていただければ幸いに存じます。
【紹介内容】
◎氏名(敬称略)
①居住市町村等・性別・年代
②飼っているペットについて
③趣味・日頃の活動・家族の状況・ハーネスの会に対する感想など。
紹介順不同です。
池田康子
①塩尻市、女性、50代
②猫:「トラ」雄3歳、「チビトラ」雄2歳、勝手口に住みついています。
穏やかな性格で、孫が触ってもされるがままです。
③趣味:野菜・花作り、もの作り。
日頃の活動:春から秋にかけては紫外線対策をして、いざ畑へ。
冬は家に眠っている物を利用して、リメイクや機織りなど家の中でマッタリ。
目指すはシンプルで心地よい暮らし…です。
前川えりか
①大阪府、女性、50代
②犬:黒ラブ(引退盲導犬、雄6歳)、ゴールデンレトリバー(家庭犬、雌、2月で6ヶ月)
③趣味:パッチワーク&犬服製作。
2頭パピーウォーカーをしました。
1頭目が「ビンカ」、2頭目は四国に盲導犬としてお仕事に行きました。
手放すときが寂しくて家庭犬を飼うことにしました。
そして2ヶ月後に、近くのパピーウォーカーさんの引退犬と縁があり、我が家の家族になりました。
急に多頭飼いで賑やかに? 後は2頭引退した時に備えて
私達が健康で待っていたいと思っています。
長野県ハーネスの会は、「ビンカ」が長野に行った時に初めて知りました。
少しでも応援出来たらと思っています。
(写真:前川さん宅犬2頭)
   宮秋智子
①東御市、女性、61歳
②犬:柴犬4頭、10~13歳の高齢犬ですがみんな元気です。
③趣味:読書、昔話の語り。
日頃の活動:「FMとうみ」パーソナリティ、日本語教師、ドッグトレーナー。
ハーネスの会は他の県にもあるのでしょうか?とても良い活動だと思います。
有賀久美子
①長野市、女性、30代
②飼っていません。
③これから趣味をみつけたいです。
日頃の活動:主婦です。
私には3歳の娘がいます。
4月から幼稚園に入園予定で現在はその準備中です。
何年かぶりにミシンを出し、布と糸と格闘していますが、世に出しても恥ずかしくないものに仕上がるか不安です。
ハーネスの会では多くの人と出会い、自分の知識や経験を増やしていきたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
   渡辺楫子(かじこ)
①東御市、女性、70代。
22年前東京から東御市に転居しました。
すぐに、社会福祉協議会の窓口で「りらの会」(朗読・音訳の会)に入会して、広報などの読み入れ、読み書き支援を始めました。
②ペット:息子ふたりと金魚、亀を育て、蝶々は青虫から育てました。
猫3匹、犬1頭とも暮らしましたが、現在は「とこたん」と名づけたオス猫と一緒です。
メッチャやんちゃで、出窓から落ちてしまう、ずっこけな子です。
③絵手紙を描くことが大好き。
ドライブが大好き。
庭に来る小鳥が大好き。
餌をついばみ、水浴びし、羽づくろいをする。
「かわいい!!」です。
ずっと、いろんなボランティアに関わってきたわたしは、年齢を重ね
自分のために何かを、と考えています。
声を出すことが良いとのこと、唱歌童謡を唄う会に入りたい。
手指を使うことが良いとのこと、陶芸を始めたいと思っています。
ハーネスの会のメールは 皆さんの熱い思いがこもったものばかりです。
いろんな事を学ばせていただいてきました。
坂田雄之(たかゆき)
①長和町、男性、61歳
②犬は昔、飼っていました。
③マラソン。
昨年のホノルルマラソンで、16時間11分かけて、42.195km完走。
雫田知(しずくだち)夏子
①佐久市、女性、18歳
②特になし。
③趣味はピアノ、絵を描くこと。
最近、今までにないくらい勉強して、車の免許をとることができました。
水谷みく
①上田市、女性、19歳
②犬:ポメラニアンの14歳。
名前は「きゃら伽羅」です。
ご飯の時間が近くなると、吠えたり物をかじったりして催促します。
人が大好きで、来客があるとうれしくて吠え、客が帰る時は悲しくて吠えます。
③趣味は歌うこと。
カラオケもよく行きます。
小さな子供の世話をするのも好き。
これからやりたいことは、何か資格を身に着けて、仕事に活かしたいと思っています。
大澤里恵子
①松本市、女性、56歳
②猫:3匹、名前は、「きょん」13歳、「ごろた」8歳、「もみじ」6歳です。
3匹それぞれの個性があり、可愛らしいものです。
会話の少ない主人(!?)との間を取り持ってくれているのも、この猫達です。
③趣味は庭いじり。
一日終わってボーッとテレビを観る。
子供達も手を離れ、自分の時間が持てる様になりました。
春も近く、花の色や匂いに癒される季節です。
ハーネスの会に対しては、自分にできることがあれば微力ですが、お手伝いをしていきたいと思います。
細田寛子
①松本市、女性、50代
②犬:「ハル」と「コロだ太」の2匹。
「コロ太」はいたずらもので、ふとんをかじったり、充電器をかじったりするので、油断ができません。
カメ:ミドリガメで、その名も「みどり」。
只今は、まだ冬眠中です。
(3月7日現在)③趣味は特に無いのですが、いずれはローカル線の旅がしてみたいです。
増田美保子
①松本市、女性、50代
②ペット:日本スピッツ、13歳、メス。
人懐こく、犬の友達は居ませんが子供が大好きです。
作業着を着ている人を怖がります。
小さいときに電柱工事の人が大きな音をたてたので、それがトラウマのようです。
孫が遊びに来ると、自分がお母さんのような気持ちで見守っています。
③趣味は「松本山雅(やまが)」を応援することです。
10年前から熱く応援しています。
一人でも多くの方にアルウィンに応援に行ってもらえるように、広報活動を勝手にやっています。
吉澤浩子
①松本市、女性、50代
「すりすり」大好き「ナナ」
②犬:雑種2匹。
出会ったのが尋常じゃない雷の時だったので、漢字で「雷来る」で「ライラ」と、毛並みが、巻き巻きクルクルなので「マック」。
兄弟は貰われて行ったのに、残った2匹が我が家に来ました。
猫:雑種2匹。
納豆と焼きのりが大好きな「ぎん」と、スポーツ後の湿った靴下にすりすりするのが好きな「ナナ」。
7月生まれなので、「お七(しち)」になるとこでしたが洋風の顔なので「ナナ」です。
ほかには今までに、猫4匹とラブラドール1頭を見送りました。
③私は知的障がいの方々の施設でパート勤めをしています。
仕事で関わる人達と、ハーネスの会や他のボランティア先で関わった多くの人達と出会った事で、いろんな状況の中で頑張っている人達が、知り合う機会が持てて、つながりが広がっていけば良いなぁと強く思います。
私ができそうなことは、他の会や出会った人達とハーネスの会と少しずつでも繋げていく事かと思っています。
趣味というかは微妙ですが、「笑いヨガ」をやります。
今はスタッフ参加ですが演劇に関わっています。
(写真:吉澤さん宅猫のナナ)
馬場壮(つよし)
①伊那市、男性、69歳
②ラブラドール・レトリーバー(黒、♂、名前「アロマ」、6歳5ヶ月)食いしん坊でいたずら好き、お客様大好き、人の前ではとてもいい子ぶる。
名前のとおり癒されています。
猫(黒、♂、名前「チョコ」、1歳7ヶ月位・推定)「アロマ」が草むらから見つけ、交通事故にあったらしく、あまり動けなかったが、今ではとても元気。
最初は警戒心が強く、シャアシャア言っていましたが、だいぶ馴れて、お客様にも近寄って行くようになりました。
③以前はゴルフをよくやりましたが、今は脳梗塞を患い右半身の障害があり、無理です。
でもペットとの生活に癒されています。
毎日午後は、「アロマ」と妻と共に散歩しています。
これからもリハビリをがんばり、少しでも回復したいと思っています。
息子夫婦がシカゴに住んでいるので、今年の7月に行ってこようと思い準備しています。
留守の間は、商売を引き継いでくれた、もう一人の息子夫婦にお願いして行きます。
山口あかね
①伊那市、女性、40代
②飼っていません。
③趣味は和楽器(琴、三弦)の演奏と、娘の洋服作り。
伊那谷の農産物直売所めぐりも趣味です。
今年は、家庭菜園で野菜作りをしてみたいと思っています。
清水純子
①喬木村、女性、40代
②リタイア盲導犬2頭:9歳になった「あんず」(盲導犬のときは、「バイラル」という名前でした)。
「バル」は、あとふた月で15歳!猫は8匹います。
相変わらず仲良しの「あんず」と「バル」に、 今シーズン迷い猫から看板猫に昇格!?した「ゴン太」が仲間入り!犬と猫がこんなに仲良しなんだと、いちご狩りのお客様に喜んでいただいております。
もうじき15歳を迎える「バル」も、獣医さんオススメの最強サプリメントで、「あんず」もびっくりの元気っぷり!で~す!
③趣味は裁縫。
ず~っとやっていたいけれど、今は仕事に追われる日々です。
 伊藤睦子
①伊那市、女性、60代
②犬。
名前は「モリ」メスのウエストハイランドホワイトテリアの6歳です。
「モリ」はテンションが低いのが特徴です。
誰にでも抱かれる温和な犬です。
③趣味は、パン作り。
アニマルセラピーのグループ「長野県動物愛護会・伊那支部」のメンバーです。
老人ホームや、身体障碍者施設、精神病院などを訪れて、動物に触れてもらう活動をしています。
飼い主が高齢になり、それまで飼っていたペットを飼えなくなるケースが増えています。
ペットの一生をサポート出来るようにしていきたいと思っています。
そのためにも、家庭犬のしつけが大切で、しつけ教室に力を入れています。
松井芙紗子(ふさこ)
①松本市、女性、70代
②以前は猫がいました。
③趣味はピアノ、ハンドベル、映画鑑賞、ウォーキング(歩こう会の会員)。
私の妹は、広島で盲導犬(ローラ)と、全盲の夫と一緒に暮らしています。
私が「長野県ハーネスの会」と関わりを持つようになったのは、妹が山梨県の盲導犬ユーザーであった中島さん(故人)と友人だったことがきっかけでした。
中島さんと妹は松本盲学校時代、部活動が一緒で親しくしていたので、中島さんが松本へ来られた際は私の家に何回も宿泊されました。
中島さんの闘病生活中は、私が妹の代理で甲府までお見舞いに出かけたこともありました。
こうした縁もあって、長野県ハーネスの会に視覚障碍者のガイドヘルパーとして参加し、ボランティアとしてのお手伝いを続けてきました。
最初は妹の為にと点字の研修を受けたのですが、以後30年以上にわたり、点訳活動とガイドヘルパーが私のライフワークの一つになっています。
昨年ガイドヘルパーは引退しましたが、現在も皆さんのボランティアを続け、皆さんの目となってお役に立ちたいと思っています。
皆さんに喜んでいただくことが、私の喜びであり生き甲斐となっています。
皆様、ご寄稿有難うございました!(北澤)
四季おりおり 最終回 ~春に思う~
 ≪小さな出会いが、新しい自分をつくる≫
塩尻市 池田 康子
今から10年以上も前のことです。
以前、勤めていた職場の日帰り旅行で、山梨にあるワイナリーに行きました。
私は、目の不自由な同僚のTさんの手引きをしながら見学しました。
試飲会場でいろいろなワインを味見した後、Tさんに「いつも世話になってる妻へ土産に買っていきたいんだけど、どれがいいかな?」と相談されました。
普段、あまりワインを口にすることがなかった私は、味の違いがよくわからず、「さあ、人によって好みがあるから難しいですよね」としか言えませんでした。
「そうだよなあ」と迷った挙げ句、Tさんは試飲には出ていない
高価な赤ワインを1本買いました。
奥さんへの感謝の思いが伝わってくるようでした。
翌日、Tさんが私の所にやってきました。
「昨日買ったワインだけど、妻が渋くて飲めないって言うんだよ。
飲みかけで悪いけど、良かったらもらってくれないかな」と、ワインのボトルを差し出しました。
日を置いて飲んでみたらとすすめてみても、「飲めないから」の一点張りで、結局頂いて帰ることになりました。
自宅で夫と一緒におそるおそる飲んでみると、話の通りかなりの渋み、でも、美味しい。
渋みの強い赤ワインを「美味しい」と感じたのは初めてでした。
 それ以来、私にとってワインは身近なものになりました。
今では、夕食の献立に合わせて、合うお酒を選ぶのが楽しみのひとつになっています。
思えば、あの時の赤ワインとの出会いが、今の私の嗜好に繋がるきっかけでした。
 寒い冬を過ごす中で、ある日、ふと日が長くなっていることに気づき、光の強さを肌で感じる瞬間があります。
2月から3月にかけての早春の頃でしょうか。
そんなとき、私は決まって「地球は回っているんだ」と実感します。
そして、地球の上で暮らす自分を宇宙から眺めているような錯覚に陥ります。
不思議な感覚ですが、年に1回、自分を客観視している気分になります。
去年の私と今の私、大差がないようで、確実に何かが変わっています。
日々の暮らしの中の小さな出会いが、絶えず新しい自分を創っていくのでしょう。
 自然の息吹が泉のように湧き出る季節、春。
新しい出会いに胸を膨らませています。
※今回をもって私の連載は最終回です。
拙い文を読んでいただき、ありがとうございました。
旅は犬連れ世は出合い⑨ リレーウォーク
≪天竜川に沿って遠州灘へ その1≫
 飯田市  原 哲夫
私は昨年2月から12月にかけ、天竜川沿線を静岡県の遠州灘河口まで16回に分けて
歩きました。
その沿線で体験したり感じたりしたことを本号から何回かに分けて紹介します。
◆天竜川は原風景
 私の小学生のころは学校にはまだ泳ぐためのプールはなく、高学年の体育で水泳の授業は専ら天竜川でした。
高台にあった小学校から河原までは15分ぐらい。
午後は炎天下をぞろぞろと子ども達が列をなして歩いて行ったものでした。
夏休みも毎日のように天竜川の決められた区域に出かけて泳ぎました。
思えば泳ぐというより流れに身を任せて上流から下流にかけて下っていただけのことでした。
危険防止とか安全衛生が声高に叫ばれる今どきではとても考えられないほどの
のどかな時代だったと思います。
◆なぜ歩くのか
そんな私の少年時代の原風景というべき天竜川については諏訪湖から飯田市付近までは
生活圏の内ですから川の流路や周辺の地形などについてはある程度分かっていました。
しかし、下伊那郡南部から県境を越えて愛知県や静岡県に入ると全く未知の領域でした。
天竜川は県境付近から先はどんな場所をどのように流れて海に注いでいるのだろうか。
こんな漠然とした興味が実際に歩いて触れて感じながらその姿をとらえたいという動機につながりました。
◆天竜川のあらまし
天竜川は諏訪湖に源を発し長野県南部、愛知県北東部を抜けて静岡県遠州灘まで全長は約215㎞で国内第9番目に長い河川だそうです。
上流部に当たる岡谷市から上伊那郡と飯田市にかけては川の形状もその周辺の風景にも大きな変化はありません。
中流部の下伊那郡南部から県境地帯の奥三河と北遠州は山間地の渓谷を成して流れ風景は一変します。
下流部の遠州平野北縁からは蛇行しながら広々とした河川敷の中を悠悠と遠州灘へ向かいます。
◆歩いた流域
 私は秘境地帯とも言われ地形的にも変化に富み3県の県境地域にも重なる天竜川中流域から河口までを歩くことにしました。
飯田市時又付近から静岡県浜松市の遠州灘河口までは143㎞となっており、沿線道路距離では170㎞ぐらいになったかも知れません。
◆リレーウォークのかたち
私は相棒のガイダの他に同行援護者でもある友人Kさんを伴って歩きました。
毎回歩く距離は平均10㎞ほど。
長いときは15㎞ほどのときもありました。
リレーウォークでは毎回その日の出発点から目標地点まで歩き、復路は電車やバスで帰る。
またはその日の出発点まで公共交通機関を使い出発点から目標地点まで歩いた後は再び電車やバスを利用して戻ってくるという繰り返しでした。
16回のリレーウォークは全て日帰りでしたので初回は4時間ぐらいで帰宅できたのですがウォーキングする地域が飯田から離れるにつれて徐々に時間もかかり帰宅までに12時間を超えるようにもなりました。
◆先ずは長野県の南端まで
(つづく)
 昨年2月15日に第一歩を踏み出したときは遠州灘河口まで必ず到達するのだというような見通しも自信もありませんでした。
事前にインターネットを使ったり道路を管理している建設事務所を訪ねたりしてルート情報を集めました。
この地帯は地理的にも物流的にも中部山岳地域の空白部にあたり、道路はつながっているようだが行ってみないと分からないという状況でした。
そんな訳でとにかく長野県と愛知県の県境の下伊那郡天龍村の南端までを当面の目標としました。
(写真:①ウォーク中携行した「旗」②愛知県と静岡県境の天竜川に架かる鷹取橋で2人と1頭)
もっと知りたい犬のこと ⑨
     ≪犬の見え方について≫
                 日本ライトハウス盲導犬訓練士 くわ桒き木ゆう雄すけ介
◆犬の健康や行動についての豆知識を紹介するコーナー!
 今回は「犬の視覚(見え方)」についてです。
今回から橋本獣医師よりこのコーナーのバトンを受けて担当することになりました訓練士の桒木です。
これまでは健康管理を中心としたお話でしたが、これからは犬の体や行動についてお話していこうと思います。
初回は五感のひとつ「視覚(見え方)」についてです。
犬と生活をしていて不思議な行動を感じる方は多いと思います。
ひょっとしたらそれは今回のお話が関係してるかも。
*犬種によって多少異なります。
あくまでラブラドールについてのお話です。
 先ずは見え方です。
犬は色の識別が苦手。
何故かというと色を感知するすいじょうたい錐状体細胞が人の10分の1程度しかなく、
基本は白黒で見えていると言われています。
ただし全く色がわからないわけではなく、青と黄色はわかるとか…。
となると青信号は?いえいえ、青で渡るのは人間社会のルールです。
それに信号を利用する場合、青になれば盲導犬が勝手に渡っているわけではなく、
ユーザーが青になったかどうか音響信号の音、車や人の流れで判断しています。
ですから、皆さん、信号無視は止めましょう! 話しは戻りますが、光の強弱を感知する桿状体(かんじょうたい)細胞が多く、暗いところでも物を把握することができます。
電気を消した部屋でおやつを隠してもバレている…。
また見え方の影響として溝蓋やマンホールなどを嫌がるということがあります。
白黒状態に見える犬たちは溝蓋などをどう認識するのでしょうか。
落とし穴?不気味な空間?また網目状のものは実際に足も落ちますし、肉球の感触も違和感だらけ。
そうなると避けたくなる気持ちもわかるような気もしますね。
 次に視力。
数値は0.2~0.3と言われています。
特徴としては近くの焦点調整が苦手。
その分、遠くのものはピントが合いやすくなっています。
何故かというと犬の水晶体は人の倍の厚さ(8㎜)があり、遠くのものしかピント調整ができないのです。
至近距離で目が合っていると思っていても、実は違うかも…。
犬が遠くの鳥や猫など動いているものに素早く反応するのもこの見え方が影響しています。
犬にアピールするときは少し離れてちょこちょこ動き回るといいのかな。
 最後に視野についてです。
250~290度と人(180度)より広いです。
眼が横に離れてついているのでその分、視野は広がります。
犬の背後でおやつを隠しても、これまた犬にはバレている…。
 ズバリまとめると・・・『色の識別は苦手で白黒で世界を見ている。
でも暗所では物が見える。
視野は人よりも広いが近くのものをはっきり見るのは苦手。
ただ遠くの物(特に動いている物)を発見するのは得意!』といった感じです。
 いかがだったでしょうか?われわれ人間の見え方とは幾分、違います。
視覚(見え方)の影響から人には何でもないものでも犬にとっては不安になることもしばしば。
 犬を理解し、よりよい関係を築いていただければうれしいです。
   (ホワイトハーネス43号より転載)
『2016年度(H.28)支援報告』
 ハーネス基金は会員の使用する盲導犬と飼育する引退犬の疾病治療費の一部助成と健康管理費助成などの支援を行っています。
(1)疾病治療費支援
 2016年1月1日から12月31日までの1年間に動物病院で疾病治療を受けた盲導犬の内、使用者の申請に基づき支払った治療費の半額を助成しました。
◇パートナー/ライク (飯嶋正昭さん)
 治療費合計 59,746円  助成 29,873円
◇パートナー/オルト (小田道子さん)
 治療費合計 21,900円  助成 10,950円
◇引退犬/あんず (清水純子さん)
 疾病治療処置内容 左側上眼瞼マイボーム腺腫切除術
 治療費合計 70,090円 助成 35,045円
◇引退犬/デリカ (茅野永伯さん)
 病名  肝機能障害
 治療費合計 68,234円 助成 34,117円
◇引退犬/ベラ(茅野永伯さん)
 病名  胃拡張、耳と皮膚の炎症治療
 治療費合計 119,767円 助成 59,884円
◆疾病治療費助成総額 169,869円
(2)健康管理費助成
 盲導犬23頭と引退犬4頭のそれぞれの使用者および飼育者に健康管理費助成として
1頭5,000円を送りました。
 健康管理費助成は
フィラリア予防のための飲み薬またはワクチン接種の費用の一部に充てられます。
 ◆健康管理費助成総額 135,000円
(3)死亡お見舞い金
 2016(平成28)年度は盲導犬にも引退犬にも死亡はありませんでした。
◇2016(平成28)年度ハーネス基金支援総額 304,869円
リタイア『盲導犬の務めが終わりました』
長い間、お仕事がんばってくれてありがとう
第二の犬生も楽しく健康に過ごしてください
1 引退年月日  2016年10月18日
名  前   オグ
性  別   メス
引退年齢   8歳
引退先    静岡県下田市
所属協会   日本盲導犬協会
ユーザー名  上条君子(松本市)
2 引退年月日  2017年2月16日
名  前   チャールズ
性  別   オス
引退年齢   12歳5ヶ月
引退先    飯山市
所属協会   アイメイト協会
ユーザー名  木暮 恒男(長野市)
『感謝録』平成27年度寄付・募金箱の報告
◆会員からのカンパ
 ※年会費以上の金額を下さった会員のお名前です。
敬称は略させていただきます。
広沢里枝子 井原通雄 茅野永伯 相場光子 宮澤籐貴子飯嶋悦代 伊藤正子 川崎博子
古内みづほ 奥原泰子 金井修司 倉島憲代 堀内今朝義小平正八 小林鈴美 鈴木聡子
山口宰四郎 関喜之助 久島和実 三村惇子 村嶋育子 百瀬鏡子 山上愛子 横関恭子
弓田渉
 以上、25名から合計額 91,000円をお寄せ頂きました。
有難うございました。
◆一般の方々から
募金箱、街頭募金への寄付(単位:円)
4月 堺市 藤川満希子様      5,000
6月 長野市 てんとう虫様      2,000
〃 田中徳也様 1,000
7月 長和町 坂田様募金箱 23,102
松本市 レストランストリーム様募金箱 5,105
〃 寺島音楽教室様募金箱 9,730
〃  丸山治療院様募金箱 6,800
〃  小田道子様募金箱 8,000
10月 長野東急前募金活動 69,889
12月藤沢市盲導犬使用者サポートクラブ様
 100,000
3月 松本市 松本駅前募金活動 62,847
伊藤動物病院様募金箱 28,397
鈴木満男様募金箱 3,987
上田市 松尾寿美子様募金箱 2,000
松本市 丸山治療院様募金箱 5,022
  東御市広沢里枝子様預募金箱 6,860
合計額 339,739円
◆2016年度寄付金等総額430,739円
 これはハーネス基金として盲導犬と引退犬の支援に使わせていただきます。
皆様本当に有難うございました。
     (田中)
事務局から
◆2017年度会費の納入をお願いします
 同封しました振込み用紙をご利用下さい。
尚、前年度分が未納のユーザー会員の方、なるべく7月中にお納め下さい。
ご不明な点がありましたら、事務局前野までお願いします。
◆2016年度振込用紙に添えられた一言
・大阪府堺市 藤川様 些少ですが、活動に役立てて頂ければ幸いです。
・岡谷市 飯嶋様「ハーネスながの」楽しく拝見しました。
・上田市 横関様 暑い毎日、スタッフの皆さま大変ですが、お体大切に頑張って下さい。
仕事をしているワンちゃんたちもガンバレ!
・千曲市 古内様 連日の酷暑、盲導犬が熱中症で急死、とても心が痛みました。
今夏もこのような事故を案じております。
会報「ハーネスながの」読みやすいです。
(掲載が遅れましたこと、お詫びいたします。
)
編集後記
 今号も盛り沢山の内容で、楽しく編集作業ができました。
我が家にも茶トラが2匹…、続きはまた。
本年度もよろしく!(片山)

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