ハーネスながの 2001年3月 第9号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3
《お知らせ》
●総会と記念講演会を開きます
(とき)4月22日(日)午後1時30分~4時
(ところ)長野県視覚障害者福祉センター
(松本市旭2丁目)
[総会]午後1時30分~2時20分
平成12年度活動と決算報告 平成13年度事業案と予算案の審議
平成12年度ハーネス基金決算報告と平成13年度運営計画案の審議
役員改選
[記念講演会]午後2時30分~3時40分
演題:『ありがとう、盲導犬』
講師:ラジオ番組パーソナリティー 広沢里枝子さん
本年度の総会はこれまでより1ヶ月繰り上げて、4月に開催することにしました。時期を早めることにより1年間の活動を余裕をもたせて充実させるためです。
記念講演会には会員でもあり、SBCラジオ番組『里枝子の窓』のパーソナリテ ィーを担当されている広沢さんにお願いしました。
運営委員と会計監査委員の立候補を受け付けます
平成13年度は役員の改選期に当たります。
任期は平成13年4月から2年間で定数は10人程度です。
運営委員は年6回程度の役員会に出席して本会の運営に関わっていただきます。引き受けていただける方は、4月15日までに事務局までご連絡下さい。
《行政》
松本市で『盲導犬飼育管理費助成事業』をスタート
松本市は4月から市内在住の総ての盲導犬使用者に対して、盲導犬の飼育管理に要する費用の一部として月額3,000円を助成する事業を始めることになりました。これは2月19日に発表された平成13年度松本市一般会計当初予算案の中に必要予算額として約29万円が正式に盛り込まれて明らかになったものです。実施されると県内の自治体では長野市と須坂市につづき3番目となります。
長野県ハーネスの会と松本市盲導犬使用者会では松本視覚障害者福祉協会の協力を得て昨年10月に市福祉課に対して、「盲導犬が視覚障害者の積極的な社会参加に果たしている意義を認めて、使用者の経済的負担を軽減するために飼育や健康管理に要する費用の一部を助成して欲しい」との要望を出していました。 予算案では、市内8人の総ての盲導犬使用者に対して月額3,000円を助成し、総額288,000円が計上されることになりました。そして長野市や須坂市と同額になる見通しです。
尚、松本市内の盲導犬使用者の使用に要する実質的な負担をみますと、月額で平均6,500円程度の場合が多いようです。内訳として、餌代3,000円、医療・健康管理費2,500円、コート被服費1,000円が主なところです。金額面ではほぼ20年前に制度化された長野市と須坂市の開始時の金額(20年間据え置き)と同額で、必ずしも満足とは言えません。しかし、松本市が厳しい財政の中で新規事業として盲導犬の支援を明確にした意義は大きく、既に盲導犬と歩いている人はもとより視覚に障害のある人たち全体にとっても朗報です。
本会では、松本市や長野市、須坂市の事例を県内の他の自治体に対して積極的にPRするとともに、同種の事業の普及を広げる働きかけに取り組む方針です。
《ハーネス基金助成》
フィラリア予防のための助成に21万円
本年度ハーネス基金ではフィラリア予防費の助成として本会に登録している盲導犬と引退犬29頭に対して1頭7,000円を助成しました。フィラリア予防のための薬価は動物病院によって多少の差はありますが、5月末から11月末まで毎月1回投薬させた場合18,000円から22,000円ぐらいかかります。その意味では助成できた金額は実費の一部に過ぎません。
ハーネス基金は会員からの年会費の半分(1,000円)と寄付金を基に運営していますが、支えて下さっている会員と多くの皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
次の表のワンちゃんたちと使用者と飼育者に代わってお礼申し上げます。
盲導犬
No
盲導犬名
犬種
犬齢
使用者氏名
居住地
01 ビクセン ラブラドール オス12 大長 芳枝 上田市
02 クララ ラブラドール メス10 大沢 本芳 長野市
03 クララ ラブラドール メス 9 稲田 豊 穂高町
04 マックス ラブラドール オス 8 原 哲夫 松本市
05 ニック ラブラドール オス 7 池田 純 長野市
06 オマリー ラブラドール メス 7 関 喜の助 上田市
07 ラッシュ ラブラドール メス 7 上本 和男 小川村
08 ドロシー ラブラドール メス 6 広沢里枝子 東部町
09 ジギー ゴールデン メス 6 上原 弘三 丸子町
10 カナット ラブラドール メス 6 三好 英雄 須坂市
11 ピート ラブラドール オス 6 前野 弘美 松本市
12 アルスター ラブラドール オス 5 丸山 良三 松本市
13 マック ゴールデン オス 5 玉野 育子 松本市
14 アルター ラブラドール メス 4 竹内 克 長野市
15 ルクリア ラブラドール メス 4 加藤 久美 長野市
16 オリビア ラブラドール メス 4 滝沢 英樹 松本市
17 ゼノビア ラブラドール オス 4 丸山 訓代 松本市
18 マイケル ラブラドール オス 3 福崎 直昭 松本市
19 ゼーダー ラブラドール オス 3 北沢 智恵 岡谷市
20 エルマー ラブ・ゴール オス 2 青井貴世志 立科町
21 エミー ラブ・ゴール メス 2 滝沢ケサミ 佐久町
22 ジョージー ゴールデン メス 3 戸田 泉 松本市
23 アトラス ラブラドール オス 2 西山 英敏 下諏訪町
24 クローブ ラブラドール オス 3 平澤 輝彦 塩尻市
引退犬
No 引名 犬種 犬齢 飼育者氏名 居住地
R1 サリー ラブラドール メス15 大長 芳枝 茅野市
R2 ユール ラブラドール オス14 大沢 本芳 長野市
R3 ジェミー ラブラドール メス12 稲田 豊 御代田町
R4 ネリー ラブラドール メス10 原 哲夫 長野市
R5 キュート ラブラドール メス13 池田 純 長野市
尚、引退犬飼育者の近藤さんと竹原動物病院さんからは助成金のご辞退がありましたのでハーネス基金への寄付金として扱わせていただきました。ありがとうございました。
《ハーネス基金寄付》
皆様ありがとうございました
今年も多くの会員や学校の児童・生徒会、またはいろいろな団体やサークルからご寄付をいただきました。ハーネスの会では、年会費2,000円を振り込んでいただいた際に会費分を越える額につきましては総て寄付金としてハーネス基金に入れさせていただいています。
本号ではそれらの内、学校と団体に限って紹介します。
(メッセージ欄)
長野女子高校2年D組 6,000円
文化祭のクラス企画として1円玉アートに取り組んだそうです。そこに集められた全額をハーネスの会に寄付して下さいました。同クラスでは昨年度(1年D組)も文化祭で募金活動をして本会に寄付をして下さっています
北安曇郡美麻小中学校児童会生徒会 40,651円
美麻小中学校は小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ全校児童生徒が約80名ほどの学校です。そして今年の総合的な学習の時間では盲導犬をテーマに選び学習を続けてきました。10月には、マックスと原が子どもたちから招かれて盲導犬についてお話をさせていただきました。自分たちが調べて疑問に感じたことや、わからないことを原に質問する形で集会が進みました。講演会では講師が一方的に話して終わることが多いのですが、美麻では参加した生徒たち一人一人が様々な質問を浴びせてきました。ユーモアに溢れた大変に和やかな楽しい集会に招かれてうれしくなったひとときでした。
愛知県知多市粕谷地区盲導犬応援団 7,465円
知多市南粕谷の新井さんのご近所の方々や音訳サークルのメンバーが本会特製のリサイクル募金箱(ビール空き缶)に小銭を集めて送って下さいました。この募金箱には主婦、お年寄り、パチンコ帰りのお父さん、チャパツの高校生など、様々な人たちが協力して下さったそうです。
南安曇郡三郷村社会福祉協議会 9,040円
今年も三郷村社協の主催で開かれた「福祉広場」では盲導犬コーナーが設けられ、本会運営委員の滝沢がオリビアと一緒に出席しました。この集まりに参加した皆さんが思い思いにカンパしてくださいました。
(お願い)
長野県ハーネスの会では長野市リフレッシュプラザの盲導犬コート製作グループにお願いしてビールなどの空き缶を利用した募金箱を用意しています。空き缶を布製のかわいらしいカバーで覆ったもので犬のマスコットが付けられています。
会社やお店、またはご家庭に置いていただける方がありましたら、事務局までご連絡下さい。
《コメンタリー No.3》「アイメイトは使用者の眼」
財団法人 アイメイト協会
『アイ メイトってなあに?』にお答えします。
アイは日本語の私・Eye(眼)・愛(Love)を集約しています。「アイ メイトは私の愛する眼の仲間」と理解してください。
盲導犬というと「利口な犬が盲人を連れて歩いている」と思っている人が多く、スポットは「犬」だけに当たり主人である視覚障害者が従の存在に見られています。アイメイト協会は視覚障害者にとって歩行問題が解決すれば、視覚障害者の抱える問題の半分は解消すると考えているので『アイメイト』という名称に拘っています。アイ メイト使用を希望する時、他人の手を借りず、積極的に何でも自分でやる・単独で歩行しようと言う意欲のある人が成功します。勿論、自分の眼としての犬の健康管理も自身でやることです。アイメイトと共に歩くのはメンタルな面が非常に重要で、我々は「心で使う」と考えます。
犬は代償なしに、人間に尽くす忠実性があります。上手くやったからと食物をやったりする事は逆効果です。いい仕事をした時には「ありがとう」とか「Good」と心を込めて言えばしっかり受け止め、プライドを持って主人の安全を守ります。アイメイト歩行を始めてから海外旅行や留学をする人・乗馬や水泳や運動・通学等々思いがけない拡がりを見るのは、協会関係者にとって最も嬉しいことなのです。アイメイト歩行には介助者も白杖も不要です。アイメイト使用者は基本に則ってマナーを守りつつ社会参加します。吠えたり飛び付いたりすることはありません。排泄も使用者自身が始末します。
身近にアイメイトを見たなら、
アイメイトには声を掛けない。
犬に触らない。
食べ物を与えない。
の三点を守っていただきたいのです。
ハーネス(胴輪)を付けている時は仕事中ですから。
またアイ メイト使用者に方向を教える時は、使用者の右後ろから「右」「左」「まっすぐ」等と声で指示を出してください。狭い所などで特別に誘導が必要な場合は、使用者の右側に立ち、貴方の左肩或いは左肘を持たせてください。アイメイトで歩いている人にも、白杖で歩いている人にも、視覚障害者には勇気を持って声を掛けていただきたいのです。「おはよう」とか、「こんにちは」「いい天気ですね」等、そんな日常の声掛けが「バリアフリー」の第一歩だと思います。
アイメイト協会は全盲者が安全に、目的地へスピーディーに到着し、社会とのコミュニケーションを活発に交わすことを願い、更に技術に工夫をしていきます。アイメイト協会のモットーは『視力はなくても心の視野の広い、明るく積極的な社会人になりましょう』です。
犬に対して、
可愛がると甘やかすとは違う。
叱る(教育的)と怒る(感情的)は違う。
アイ メイトを持ちたいと使えるは違う。
と言うことも皆さんに理解していただきたいことです。
当会のホームページアドレスは
財団法人 アイメイト協会
〒177-0051 東京都練馬区関町北5-8-7
《デビュー》
『初めまして、どうぞよろしく!』
昨年8月以降に盲導犬として第一歩を踏み出した頼もしいニューフェイスのワンちゃんたちを紹介します。
〈クローブ〉
塩尻市・平澤輝彦さんパートナー。ラブラドールリトリーバー、オス2才。ブラック、体重30kg。
日本ライトハウス行動訓練所卒業。大阪の訓練所で2週間の共同訓練、更に地元の塩尻市で2週間の現地訓練を終えて8月28日にデビューしました。平澤さんにとっては初めての盲導犬。歩き始めて8ヶ月、平澤さんとクローブの呼吸も次第に合い始めたようです。
〈アトラス〉
下諏訪町、西山英敏さんパートナー。ラブラドルリトリーバー、オス2才8ヶ月、薄いイエロー、体重26㎏
昨年11月25日に東京アイメイト協会からデビュー。性格は陽気で物おじしないワン君だそうです。西山さんは同年5月に第1頭目のシンシア(雌11才)を老齢化にともない引退させ新しいパートナーとの出会いを待っていました。10月27日から4週間の共同訓練を受け、下諏訪町に戻りました。アトラスは性格が陽気なため、パートナーとしてははしゃぎすぎないように心がけているそうです。
〈ジョージー〉
松本市、戸田泉さんパートナー。ゴールデンリトリーバー、雌3才、体重26kg
昨年12月25日に日本ライトハウス行動訓練所からデビュー。性格はたいへん穏和ですが人見知りするところがあり、やや気むずかしい面もあるようです。動きは柔らかで仕事はきっちりとしているとのことです。
戸田さんは昨年8月に最初のパートナーだったアンリー(オス4才)が病気により急死したため12月中旬から2週間の共同訓練をしていました。
《訃報》
ありがとう、安らかにお眠りなさい
〈アンリー〉
松本市、戸田泉さんのパートナー。ラブラドールリトリーバー、オス5才。8月9日、熱中症により死亡。
〈ジェミー〉
御代田町、山本美津子さん一家飼育の引退犬。ラブラドールリトリーバー、メス12才。約1週間の病気療養中の1月24日死亡。
(手紙で紹介)
盲導犬として仕事半ばで天国へ旅だったアンリー、そして勤めを終えて余生を送ること3年で逝ったジェミー、ほんとうにありがとう。どうぞ安らかにお眠りなさい。
《手紙》
ジェミー 愛をありがとう
御代田町 山本美津子
この度はご丁寧なる御香料と心温まる御手紙をいただきまして大変恐縮しております。本当にありがとうございます。
三年前 名古屋の盲導犬協会よりジェミーが来た時は、慣れない所に来て心細いかと2週間ほど添い寝をしました。体調も良く、病気ひとつせずずっと過ごしました。山へ登り、海に行き、木曽路を散策し、松本城を散歩し、昨年12月には、長生きしますようにと善光寺に御参りにも行きました。三年間片時も離れず雨の日も雪の日も散歩をし、日誌を1日もかかさずつけ、体調には気を配っていたのに、1月18日突然腰が立たなくなり、この日より毎日先生の所へ点滴に通いました。この日より添い寝をし、夜も見守りました。24日、家に来て初めてウンチをしませんでした。26日吐血し、日に2回、先生に往診していただきました。じゃことおかかの入った炒り豆腐をおいしそうに食べたのが最後の食事になってしまいました。27日 寝たきりになって3日目、夜7時、先生に点滴をしていただき先生がお帰りになって僅か1時間経たないうちに、9時53分家族皆の見守る中、大きな息を3回し、静かに息を引き取りました。穏やかなきれいな顔でした。しばらく、せめて初七日はジェミーと一緒にいたかったので、少し遅れてしまいましたが2月12日名古屋へ納骨に行きました。中部盲導犬協会へ行きますと、リタイア後協会で余生を送っているジェミーのお兄さんが出迎えてくれました。今、ジェミーは、お母さん、姉妹そしてあのサーブと共に同じ慰霊碑に眠っています。
大雪の降る夜、愛犬ジェミーが家族皆に見守られ静かに神様の元へと帰りました。とてもきれいな顔でした。偉大なる盲導犬ジェミーは、我が家の愛犬ジェミーとして生涯の幕を閉じました。ジェミーにはたくさんのことを教えてもらい、たくさんの愛をいただきました。ジェミーは皆の心に生き続けることでしょう。ジェミー、愛をありがとう。今頃神様の所でみんなと思い切り楽しくとび回っていると思います。ジェミーの存在はとても大きく、いつまでもジェミーのぬくもりを忘れられず涙が止まらなくて困りましたが、人も犬もどのくらい生きたか、ではなく、どう生きたかが大切で、最後本当に幸せな気持ちで神様の所へ帰っていったのだと思うようにしました。
私は、命ある限り、このボランティアを続けたいと思っておりますので、何卒これからもよろしくお願いいたします。
皆様 お体に気をつけてお過ごしくださいますように。寄付金を同封させていただきます。本当にありがとうございました。
(山本さんのご了承を得て、原文のまま掲載させていただきました。ありがとうございました。)
《メッセージ》
昨年9月以降に振り込み用紙の通信欄などにお寄せいただいた会員、その他の皆様からのメッセージをご紹介します。 年末になり多用のため大分遅くなりました。皆様が懸命に努力していられることを 思い、心から応援させていただいています。いよいよ二十一世紀2001年が目前 に迫りました。皆様の一層のご健勝をお祈りしています。(木島千寿子さん)
会報をいつも楽しみにしています。(藤川満希子さん)
セラピードッグの会に入っています。どうぞ犬と共に皆さん頑張って、明るい人生 を歩んでください。心の中で見守っております。(宮坂昌水さん)
会の皆々様にはお変わりなくご活躍のことと思います。「ハーネスながの」8月号を読ませていただきました。長野でお会いしたワンちゃんの様子が分かりうれしく 思います。お元気で頑張ってください。(多田艶子さん)
ハーネスの会が全国に広まるといいですね。役員の皆様、ご苦労様です。(古田節 子さん)
お手伝いできなくて残念です。現役を退いた犬の面倒をみさせていただきたいと思 います。(小林房江さん)
私共 長野女子高校2年D組は、本年度文化祭のクラス企画として1円玉アートを作成し、後利用として本年度も貴団体への募金に充てることを決定しました。僅か な額ではありますが、受け取っていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いい たします。(長野女子高校2年D組一同)
原先生にはいつもお世話になっております。温かな交流をありがとうございます。 子どもたちにとってすばらしい経験になっています。遅くなりましたが、寄付をさせていただきたいと思います。アルミ缶収集、カブトムシ売り上げ、募金活動など をして得たお金です。少ないですがお役に立てれば幸いです。(北安曇郡美麻小中 学校児童会・生徒会)
会費の送金が大変遅くなってしまいすみません。ハーネスの会の発展とワンちゃんたちが健康で活躍することをお祈りします。(今村和久)
【編集後記】
昨夏発行した第8号からこんなにも時間がかかってしまい、すみません。本号では結果的にお金にまつわる記事が多くなってしまい少し反省しています。
4月22日の講演会には多くの皆様のご出席をお待ちしています。講師の広沢さんはいろいろな所でお話をされており大変好評です。ご期待下さい。(原)