ハーネスの会“長野交流会”にご参加を
(実行委員長 内藤敦彦)
かねてから計画していました長野市での交流会が、来たる11月13日(土)に長野市ふれあい福祉センターで行われます。これは本会が発足しましてから1年が過ぎ、長野市や上田市を中心とする東北信の会員の相互の親睦と交流を深めることが目的です。
当日は、ユーザーやリタイヤ犬飼育者の講演を初めとしまして、ワンちゃん用トイレベルトの製作実習などを予定しています。お忙しい折とは思いますが、東北信に限らず多くの皆様のご参加をお待ちしています。
尚、事前に参加者数を知りたいと思いますので、ご参加いただける方は、下記の問い合わせ先までご連絡下さい。
〈日時〉 11月13日(土)午後1時~3時30分
〈会場〉 長野市ふれあい福祉センター4階研修室 (長野市役所隣)
〈内容〉
ハーネスの会の1年の歩み報告
体験者による講演
『アイメイトとともに』+尺八演奏 長野市 大沢本芳さん
大沢さんは現在3頭目の盲導犬クララと歩いています。鍼灸マッサージの仕事をされる傍ら、趣味の尺八でもお仲間とともに積極的な活動をされています。これまでのパートナーたちとの出会いを、尺八演奏を交えてお話していただきます。
『我が家のリタイヤ犬たち』 長野市 清水 栄さん
清水さんの家には現在5頭のワンちゃんたちが仲良く暮らしています。これまでに盲導犬を引退した3頭の老犬をはじめ、製薬会社で実験に使われていたハスキー犬の余生をお世話しています。今回は清水家とワンちゃんたちとの暮らしぶりをお話していただきます。
参加者による意見交換と製作実習会
参加者による懇談と、時間がありましたらコート縫製やトイレベルト製作の簡単な実習を予定しています。当日は6、7頭の盲導犬も参加します。
〈参加費〉 無料
〈連絡先〉 加藤久美
内藤敦彦
原 哲夫
【特集】
穂高温泉郷ハイクに40名参加─── 厳しい残暑の中を7頭の盲導犬と歩く───
去る8月29日(日)、穂高町しゃくなげ荘からガラス工芸館アートヒルズまでを盲導犬と一緒に歩くハイキングが行われました。当日は30度を越える猛烈な残暑にもかかわらず、会員と一般のみなさん約40名の参加がありました。そんな中には夫婦、親子、姉妹で参加された方も何組かありました。しゃくなげ荘駐車場で自己紹介などをした後、盲導犬を中心に4グループに別れて別荘地の中の松林を歩きました。小岩岳城跡や天蚕センターを廻ったり、しゃれた喫茶店やそば屋さんに入って休憩や食事をしながらグループごとに楽しいおしゃべりもできました。立ち寄ったお店で「盲導犬入店可」のシールを貼っていただく活動もしました。初めての「盲導犬と歩くハイキング」は予想外の大成功でした。ありがとうございました。(実行委員会 丸山訓代)
《参加者アンケートから》
ハイキング終了後のアートヒルズでの短時間の全体懇親会の席で、一般参加者のみなさんにアンケートをお願いしました。集約の結果をお伝えします。一般参加者の内訳は男性4人、女性12人、そして小学生2人でした。(実行委員 清水香代)
〈驚いたり感心した点〉
歩く速さにびっくりした(3人)。人の歩きやすい道を選んでいる(4人)。主人に忠実に働いていた(4人)。お店では決して人のじゃまにならない(1人)。段差がある所できちんと止まり主人を守る(2人)。指示にちゃんと従う(4人)。ハーネスを付けたときの使命感にかられた様子(1人)。 ハーネスをしているときは常に主人に従い安全を心掛けていた(1人)。
〈心配した点〉
歩いてみて交通量の多い道路の歩道の狭さ(2人)。歩道のない所では車が犬を見てもスピードを落とさない。歩行中に盲導犬がいるのでユーザーとどう接したらいいのかわからない。お店の反応、入店はできたがいつもそうなのかと考えてしまった。多くの店でこうあって欲しい(2人)。入れていただけないお店があった。こういう機会を持って周りに理解をしてほしい(3人)。 好意的に対応して下さりうれしく思うと同時に驚きもあった。
〈その他〉
とにかくとても楽しく貴重な体験をすることができて良かったと思います。このよう な機会を設けていただきありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
盲導犬を飼っている方のいろいろなお話が楽しく、またいかに犬との信頼関係が大切 か、それを築くために時間のかかることがよくわかり有意義でした。
盲導犬にふれあうのは初めてで、とてもよい機会を提供していただきました。ただ犬 が好きであるというだけの接し方ではなく、仕事のルールがあることを勉強させてい ただきました。
【盲導犬と共に】
《このコーナーでは盲導犬使用者をはじめ、いろいろな会員のみなさんからお寄せいただいたエッセイをご紹介します。様々な形で盲導犬と接していく中で感じたことやエピソードなど、どんな話が飛び出してくるでしょうか。》
『尺八とアイメイト』
長野市 大沢本芳
アイメイトを使用して、今のクララで3頭目です。前の犬種はシェパードでした。今のクララは性格がおとなしく、愛嬌が良くて盲導犬としては立派です。しかし、伏せた姿勢があまり良いとは言えず、骨盤が盛り上がったような体勢で横になりがちです。 2頭目はシェパードでシャーリーと言いましたが、動作が機敏で、特にクララと違って伏せた姿勢が実に綺麗で、かつ長く同じ姿勢を保持していることができました。 アイメイト協会でシャーリーと訓練中のことでした。私は以前から趣味で尺八を習っており、演奏会が間近に迫っていましたので楽譜の暗譜と大勢の合奏にシャーリーを慣らすために、訓練の合間に控え室で尺八を吹いて音に慣らすような努力もしました。でも若い訓練士には理解されず、いやな思いをしました。 何回かの手合わせをして慣れてきて、いよいよ本番となり、観客にわかる席に私も並び、幕が開き師匠が指揮台に立つとき、私が「シット」と命令して座らせ指揮者が挨拶をして指揮棒を上げるとき、「ダウン」と命令して伏せさせました。そして私が竹を構えると師匠が指揮棒を振り演奏が始まり終わるまでシャーリーは動きませんでした。演奏が終わり竹を下ろし、私が「シット」と小さな声で言うと座りました。師匠が観客に礼をすると万雷の拍手とシャーリーの見事さにどよめきが聞こえました。そして幕が下りて皆が師匠に挨拶をしてほっとしたところで、シャーリーも緊張が解けたかへたへたと座り込んでしまいました。
この翌年、今度は文化会館で演奏会がありました。廻り舞台であるので左側に椅子で座り、その左横にシャーリーを座らせました。いよいよ舞台が廻り出そうとするとき、舞台装置の係から挟まっては危険だから載せないように指示されました。しかたなく家内に手渡そうとしましたが動こうとしません。そこでやや厳しく言いますとしぶしぶ席を離れました。そんなふうに練習のときはシャーリー、またクララもいつも私の側におり静かに待っていてすっかりみんなの人気者になりました。ただクララは晴れの舞台にはまだ一度も出ておりません。 このように一般の人とアイメイトを通して交流が深まってきました。 (※ 大沢さんには長野交流会でもお話をしていただく予定です。)
【ドクター ルームから 第4回】
《愛犬たちの病気と治療についてのシリーズも第4回となりました。今回は松本市の伊藤動物病院の内藤先生にお願いしました。》
『犬のアトピー症』 獣医師 内藤ちずる
〈原因〉
犬のアトピーは、無害に思われる物質に対して免疫グロブリンが生産されるという、遺伝的素因に環境因子が加わることによっておこります。通常、若齢で始まり発症年齢のピークは1~3才です。アレルゲンの存在する時に発病するため、非季節性の場合もありますが、イネ科植物などの花粉が飛散する春から秋にかけ掻痒が繰り返されることが多くあります。これは次第に通年性へと変化することもあります。 テリア種、ゴールデンレトリバー、柴犬、等の好発犬種が報告されていますが、どの犬種に起こる可能性もあります。
〈症状〉
主な症状は、舐める、掻く、咬むというかゆみ“掻痒”です。かなり初期の場合、皮膚病変は少ないのですが、顔面、足、耳、腹部のような部位が赤くなり、掻痒の程度により、脱毛やすり傷、出血等の皮膚剥離が生じます。長期化により、皮膚は黒ずみ、次々に厚く増殖してきます。多くの場合、細菌等の二次感染を受けるため、ニキビのような丘疹ができたり、乾燥あるいはベタついたフケ症のような皮膚になることもあります。
〈治療〉
治療としましては、アレルゲンの回避、減感作、対症療法が挙げられますが、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の投与、皮膚の状態に合ったシャンプー療法、二次感染の治療等が一般的です。 掻痒は、ダニ等の外部寄生虫を初め、多くの皮膚疾患で頻繁に認められるごくありふれた症状です。“アトピー”という耳慣れた病名が原因でないことも多くあります。診断には、詳しい病歴、身体検査、種々の試験、薬剤に対する反応などを総合的に評価することが必要となりますため、疑わしい症状がみられた場合、獣医師の診断を受けることを薦めます。また、長期に続くこの病気との“つき合い方”を、家族で考え、健康状態のバロメーターの一つとして見守ってあげて下さい。
(参考資料:最新獣医皮膚科学)
【事務局だより】
長野女子高等学校1年F組(39名)では、クラスとして文化祭にバザーをやって、売上金をどこかに寄付しようということになったそうです。ホームルームで担任の富山先生を交えて、被災地の義援金になどと、いろいろと話し合いました。テレビで盲導犬のことを知り、少しでも力になればと、皆でハーネスの会に送ることを決めて、ご寄付して下さいました。(F組のみなさん、貴重な売上金をありがとうございました。
会計 田中
【会員からのメッセージ】
私どもは74才と70才の老人夫婦でリタイヤ人間。25年前、大阪在住時に、和歌山 県田辺市の日本ライトハウス盲導犬訓練所の日紫喜所長と知り合い、2頭のラブラドル レトリーバの2~3才の不合格犬を引き取りました。そして当地、飯綱で7~8年間を 一緒に過ごし、彼らの人間に対する信頼性と愛情を、毎日の生活を通して実感してきま した。私どもの今の生活条件ではリタイヤ犬の世話は不可能です(本当はやりたいので すが)。パピーウォーカーも1年で別れるのは辛いと思いますが、これはまだできると 思います。何れにしろ、盲導犬の育成とこの事業の拡大には全面的に協力したく、私ど もでささやかにでもできることを致したく思っています。(長野市 大井健二郎)
8月にハーネス基金によるフィラリア予防の助成金をいただきました。盲導犬に厚い思 いを寄せていただいた皆様に感謝いたします。ありがとうございました。 (丸子町 上原弘三)
今年の気温の異状には閉口しました。秋の収穫も終わりに近づいてまいりました。ハーネスの会のみなさま、お変わりなくお過ごしでしょうか。僅かな支援金ですが、少しでもワンちゃんの健康管理に役立てていただければこんなうれしいことはありません。これからもお身体に気をつけて頑張ってくださいませ。(長野市 多田艶子)
【編集後記】
10月に入り夏から急に冬がやって来たのか、早朝には霜が降りる日も多くなりました。愛するパートナーの身だしなみを整える早朝のブラッシングも少しずつ億劫になり始める頃です。本号では「穂高ハイキング」の様子を特集しました。次号、第6号は延び延びになっています「ニュージーランドの盲導犬の現状」を特別号としてお送りします。 寒さもいよいよ本格的になってまいります。皆様、どうぞご自愛下さい。
(編集長代理)
〈1999年11月号〉