【会報】ハーネスながの第4号


1999年度定期総会終わる
本年度定期総会は、去る5月30日(日)に松本市の長野県視覚障害者福祉センターで、会員40名の出席を得て行われました。総会では、本年度から開始する盲導犬健康支援基金の運営計画を中心として、事業および予算案が審議されました。
総会終了後は、元ニュージーランド盲導犬協会指導員の川崎千里氏による記念講演会(次号『ハーネスながの 第5号』で特集として掲載予定)が行われ、ニュージーランドの盲導犬事情とともに視覚障害者福祉の現状を知ることができました。
《主な議決内容》
本年度は先ず、昨年の設立以来検討を重ねて来た会規約とハーネス基金(盲導犬健康支援基金)運営規則が定められました。これらによって本会の基本的な組織と事業の方向付けが明確になりました。
’99年度事業計画では、ハーネス基金の運営を開始することを決めました。そして本年度は会員の盲導犬と引退犬に対してフィラリア予防のための助成金を1万円助成すること、また疾病治療のために1カ月に10万円を越える治療費を支払った場合には年間1回に限り見舞金として2万円を支援すること、等を決めました。
今年は松本市と長野市で会員等に呼びかけて交流会を開きます。松本地区では、8月29日(日)にハイキングを予定しています。また長野地区では11月13日(土)に交流会を計画しています。
製作部では本会所属のボランティアにお願いし、盲導犬用コート2種類を製作し、希望者に販売します。また、トイレ用ベルトも製作販売します。
編集・情報部では会報『ハーネスながの』を年4~5回発行して、会員の皆様に会活動をお伝えするとともに、会員の声も紹介します。また、インターネットのホームページも準備しています。
新しい役員を承認していただきました。 ’99年度から2年間の会運営を担当します。新役員は次の10名です。
会長 原 哲夫
副会長 内藤 敦彦
会計 田中 安子
運営委員 伊藤 正幸、加藤 久美、斉藤 美枝、滝沢 英樹、田中 安子、内藤 敦彦、原 哲夫、前野 弘美、丸山 良三、丸山 訓代
      
ご挨拶 『発足2年目を迎えて』
会長 原 哲夫
例年になく長かった梅雨が明けるとともに急にいつもながらの酷暑がやって来ました。会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。どしゃ降りの雨の中も毅然として一緒に歩いてくれた我がパートナーも、この暑さにはいささか閉口気味か、家の中では涼しい場所を見つけて、だらしなく伸びきっています。凛々しくけなげな盲導犬にも外面と内面があるのです。
 さて、長野県ハーネスの会も発足して2年目を迎えようとしています。本年度からはハーネス基金による健康支援事業を開始できる運びとなりました。本会に登録した盲導犬と引退犬に対して、ささやかではありますが助成金を差し上げることになりました。
先の総会では、「フィラリア予防のための助成をするより、予期せぬ疾病治療に要する高額治療費の支援に重点を置いた方がよいのではないか」とのご意見もいただきました。会員からの限られた寄付金によって支えられているハーネス基金の現状を考えますと、全くごもっともなご意見だと思います。ハーネス基金による健康支援の具体的な内容につきましては、毎年の総会で収支を見通しながら決めることになっています。来年度以降につきましては、そのようなご意見も十分に参考にさせていただきます。
 ところで、5月の下旬に信濃毎日新聞でハーネス基金についての記事が掲載されますと、県内の多くの方々から本会への入会やご寄付についてのお問い合わせをいただきました。また、入会して下さった会員のご紹介や口コミで、更に新しい輪が広がっています。皆様の盲導犬に対する熱いお気持ちに感謝するとともに、本会の運営に対して身の引き締まる思いを感じています。会運営をより開かれた内容にするとともに、厳正で適正な会計処理をして参りたいと考えています。また使用者の立場としましては、これまで以上にパートナーの健康維持に留意し、積極的に社会参加していきたいと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
ハーネスの会安曇野穂高ハイキングへのお誘い
本会では第2回交流会として、南安曇郡穂高町で盲導犬と一緒に歩くハイキングを実施します。会員の皆様、一般の皆様の参加をお待ちしています。当日は車椅子で参加される方もいますので、現地での車椅子介助もお願いします。
【日時】8月29日(日) 10:00~14:00
【場所】南安曇郡穂高町『安曇野穂高温泉郷』
【日程】集合10:00 穂高温泉郷しゃくなげ荘駐車場 参加者自己紹介
出発10:30 コース別グループハイキング
昼食12:00 グループごとに好みのレストラン、そば屋さんで。
解散14:00 アートヒルズ ガラス館に集合後解散。
【ガイド】安曇野穂高温泉郷の別荘地区を中心に、戦国時代の小岩岳城跡公園、山岳美術館、絵本美術館、ガラス工芸館、しゃれたカフェテラス、レストランなどが点在しています。当日は残暑が予想されますが、木陰も多いとのこと、好みの2、3のコースに分かれてゆっくりハイキングを楽しみましょう。
 尚、雨天の場合は循環バスで安曇野巡りを予定しています。
【費用】参加費無料、昼食代など小遣いをご用意下さい。
【申込み】8月25日(水)までに丸山へ。
予め参加人数を知りたいと思いますのでよろしくお願いします。
〈緊急報告〉 今、こんなことが!
『スーパーで入店拒否か?』
最近、全国ネットのテレビで、「介助犬が初めてスーパーへの入店を認められる」という、うれしい報道がありました。国内各地に300店も展開している大手スーパー“ジャスコ”での決断です。今後、盲導犬に限らず、必要な訓練を受け障害者の基本的な社会生活を支える介助犬や聴導犬の働ける場が広がって行くことを期待します。
そんな中で、私たちハーネスの会には大変ショックなニュースがあります。松本市内のある地元スーパーで盲導犬の入店が拒否されていることです。今回は、その状況の概略をお知らせします。
Fさん(男性)は今年の2月に盲導犬ユーザーとなりました。それ以前から近くのスーパーで食料品を中心に日常生活物資を購入していました。盲導犬と生活を始めてから何回かパートナー同伴でそのスーパーを利用していました。しかし、ある時、店員さんから「盲導犬は入れないで欲しい。必要な物があるときは、予め電話で伝えれば用意しておくので店の入り口で渡すから」と伝えられました。納得できないFさんはその後店長さんと話し合いを持ちました。盲導犬を入店させられない理由として、「1.食料品売場もあり犬を近づけると衛生上問題がある」、「2.盲導犬の入店を認めると普通の犬も断れなくなる」等のようです。現在Fさんは感情的な対立になることを避けるために、かなり離れた別のスーパーを利用しているとのことです。
ハーネスの会では、先日の第9回運営委員会でこの問題を話し合いました。視覚障害者の基本的な社会生活を営む上で重大な問題を含んでいること、会としても、この問題に冷静に取り組むことを確認しました。そして先ず、このスーパーの店内での売場配置や商品陳列方法を実際に見聞してから、今後の対応を決めることにしました。松本市内には現在8名のユーザーがいますが、スーパーで入店が拒否された例はこの数年1件もなかっただけに、この事例には大きなショックを感じています。
【ドクタールーム】
《今回は、松本市の獣医師伊藤正幸先生に、春から秋にかけて犬の大敵“フィラリア症”について解説していただきました。》
犬のフィラリア症
伊藤動物病院長 伊藤正幸
フィラリア症とは、フィラリア(犬糸状虫)が蚊を介して感染することにより起こる病気です。感染したフィラリアは犬の体内で約15~25cm程度まで成長し、右心房、右心室、肺動脈に寄生し、心臓、肺、腎、肝、などの機能障害をつくります。特に障害を受けやすい臓器は肺とされています。感染すると運動機能の低下、咳、痩せ、毛づやの低下などが起こり、慢性に移行すると腹水、胸水までつくる恐ろしい病気です。フィラリア症にかからないように予防することは大切なことです。予防期間は6月~11月ないし12月といわれていますが、蚊は平均気温16℃7日間で発生するとされており、松本周辺の過去10年間の平均では5月中旬~10月中旬に当たります。予防薬は、蚊から感染し犬の体内で7~46日間かかって成長したフィラリア子虫に100%駆虫効果を示すので、蚊の発生しなくなった11月ないし12月も予防が必要なのです。尚、フィラリア症は最近では減少傾向にあり、これは飼い主の方々の理解が進んだ結果と考えております。
【盲導犬とともに】
《このコーナーでは盲導犬使用者をはじめ、いろいろな会員のみなさんからお寄せいただいたエッセイをご紹介します。様々な形で盲導犬と接していく中で感じたことやエピソードなど、どんな話が飛び出してくるでしょうか。》
私のパートナー“マック”の紹介
松本市 玉野 育子
生後2カ月の時にイギリスから日本盲導犬協会に来ました。日本盲導犬協会では犬舎増築するとかで手狭になるというので、日本ライトハウスにもらわれて来ました。私は去年の8月に訓練所に行きました。マックの第一印象は頭の賢い顔をしているなあと思いました。愛情を降り注いでくれる特定の人を欲しがっているなあと思いました。性格は大変な甘えん坊です。鼻先を私の手にすりつけてくるのです。首をさすってあげると目を細めてころりと倒れます。駅の待合い室でもそれを要求してくるのです。犬種はゴールデンリトリーバーです。ラブラドルより毛が長く、一番長いのでは15cmもあります。歩くと尻尾の毛がふさふさ揺れます。毛の質は綿毛の部分が多く、シャンプーした後乾かすのに時間がかかります。訓練所で初めてマックを触った時には、「この子は病気じゃないかしら」と思いました。毛がパサパサで光沢がないのです。蚤とり櫛が通らないのです。初めの頃は両目櫛で手入れをしました。3カ月ほどしてから蚤とり櫛が通るようになり、艶も出てきてしっとりとしてきました。訓練所にもらいに行った時の年齢は3才10カ月でした。1才10カ月ぐらいで出すのが通り相場なのに、2年間のブランクがあるのです。癖は首を掻く。訓練所にいる頃から時たま思い出したように一生懸命掻きます。咬む楽しみはライトハウスで買った1個350円のプラスチックのような骨の形をしたものです。かみちぎった細かいくずを食べないでそこへ置いておくからゴミになったり、私が踏みつけたりして困っています。
【会員からの一言】
《このコーナーでは、会員の皆様から寄せられましたメッセージや意見をご紹介させていただきます。編集の都合上、少し手直しさせていただいた文面もありますが、ご了承下さい。》
私の友人にも、盲導犬とともに生活している方が何人かいますが、私自身は実はあまり盲導犬のことを知りません。勉強させていただければと思っています。よろしくお願いします。
(諏訪市 河野美恵子)
盲導犬が多くの人たちに幸せを運んでくれることに感謝します。
(波田町 鈴木英子)
会が益々発展して盲導犬が健康で安心してお役目が果たせますようお祈り致しております。
(松本市 三村惇子)
久しぶりに梅雨らしい日々となりました。「県ハーネスの会設立」信毎に記事が出ました時、直ぐに入会しようと思っておりました。我が家にも、犬、猫(野良 10匹ぐらい)がおりますので、引退後の盲導犬はどうなるのだろうと心配しておりました。できる範囲で協力させていただきたく思っております。事務局の皆々様、お体に気をつけて頑張って下さいませ。
(長野市 多田艶子)
緑美しい良い季節です。この度新聞で知りました。犬、猫たちと生まれた時から暮らして参りまして、現在も何匹かと生活しております。人と情けの中で生きていくものを、大切にしてやりたいと思います。心ばかりですが、お役に立てれば幸いと存じます。
(長野市 竹田美代)
先日は早速入会案内等お送り下さり、ありがとうございました。現在リタイヤ犬ジェミーと生活しております。ジェミーは平成10年6月7日、中部盲導犬協会より我が家へ来ました。他に犬も猫もいましたが、皆仲良く楽しく毎日過ごしております。
(御代田町 山本美津子)
※ 係からのお願い
『ハーネスながの』への感想やご意見をお寄せ下さい。匿名はお断りします。ファックス、Eーメイル(CYN02200@nifty.ne.jp)でも結構です。
【ハーネスの会からのお知らせ】
【感謝】
新年度になり会員の皆様から会費の他にハーネス基金にご寄付をいただく例が何件もあります。中には大変高額をお寄せいただいたり、催し物会場で募金箱を用意して下さったりする方々もいます。また、未使用の切手やはがきをたくさん送って下さった方もいます。本当にありがとうございます。
【プレゼント】
松本ドッグセンターを経営している小池ふみ子さん(会員)から盲導犬用レインコート2着のプレゼントの申し出がありました。既製品ですので首のつけねの周囲、首つけねから尾のつけねまでの胴の長さなどのサイズをお知らせ下さい。
 緊急にお入り用のユーザーは、事務局または小池さんまでご連絡下さい。
【長野交流会】
〈1999年8月号〉

PAGE TOP