会報「ハーネスながの 第53号」


  ハーネスながの No.53  (2018年5月号)
発行:長野県ハーネスの会 池田純
〒380-0043 長野市吉田3-16-13 (株)Jハート内
 Tel.026-214-0802 http://www.harness-nagano.com
      振込み:ゆうちょ銀行00570-7-17991 「長野県ハーネスの会」
 ハーネスながの ~本号の内容~
 第3回運営委員会の報告
 『里枝子の窓から』
 連載/旅は犬連れ、世は出会い ⑫
 ユリスと歩いて ④
 会員紹介
 日本に補助犬がやって来る!?
 本ほどすてきなものはない! ③
 ギャラリーGAKOU”ガコー”から
 お知らせ・編集後記
『第3回運営委員会の報告』  広沢里枝子
長野市障害者センターにて第3回運営委員会が開催されました。 
日時 2018年3月4日(日)午前10時~12時
会場 長野市障害者福祉センター101・102号室
出席者 ユーザー5名、支援者3名
◆自己紹介、盲導犬の紹介
 支援者会員の宮秋さんが、初参加されたので、参加者全員で自己紹介をした。
【各チームから】
◆編集チーム (前野弘美)
  「ハーネスながの No.52」を発行した。
  今回から、カセットテープで会報を読んでおられた5名の方には、CD版に移行していただいた。
  また、「ハーネスながの」のテキストファイル版製作には、データの編集が必要なため、この作業は、ユーザー会員の原哲夫さんに協力をお願いする。
◆ ウエルカムチーム(丸山くによ)
  その1. 大阪のボランティアの方が、革製の盲導犬の形のストラップを作ってくださった。
  ウエルカムチームでは、これを1つ300円で販売している。300円のうち、100円が材料費で、200円が、ハーネスの会の活動費になる。
  プレゼントなどにもお勧めなので、ほしい方は、丸山まで連絡してほしい。
  送料は購入者にご負担いただき、ストラップの色は、お任せいただきたい。
  ≪写真≫ストラップの写真
  コメント:たて・4cmよこ・6cm。ハーネスもついてます。
  申込み・問合わせ 丸山くによ(0263-46-5378)
  その2. 新しく募金箱を設置してくれる人があったら、申し出てほしい。
  募金箱に集まったお金は、総会などのおりに持ってきていただけるとありがたい。
  その3. 新年度のハーネスの会の旅行は、8月か、9月に行いたい。
  前回の運営委員会では、東京のお台場にある「そなエリア東京」が、行く先の候補にあがっていた。
  しかし、話し合った結果、長野県各地から集まってそこまで行くことは、難しいだろうということになった。
  そこで、代案として、駒ケ根、菅平、美ヶ原高原美術館などの候補があがった。
  旅行の行先と日程等については、今後、それらの案に基づいて、ウエルカムチームで検討する。
◆ 事務局チーム(加藤久美・細田)
  その1. ユーザー会員の小田さんは、盲導犬が引退し、今年度で、ハーネスの会を退会されることになった。
  その2. ハーネスの会のホームページを通じて、市民からの投稿が一つあった。  それは、「犬を連れて散歩していたら、盲導犬が、こちらに寄ってきたが、大丈夫なのか?」といった内容だった。
  そこで、事務局からは、盲導犬に問題がある場合は、各訓練所で、フォローアップしていることや、視覚障害者には、相手が犬連れであることがわからない場合が多いので、見える人のほうから犬と一緒にいることを伝えてほしいと返答した。
  その後、この方からの連絡はないが、こうした投稿からも、盲導犬ユーザーは、厳しくても、甘くても、周囲から注目されていることを感じた。
  その3. 今年の3月末で、会員名簿を一旦整理する。
  2年間、会費の納入のなかった方は、会員名簿から除外させていただく。
  そのことにより会員数は、107名になる。
◆ 問題対策チーム (池田 純)
  《拒否事例》
  事例1. ユーザー会員の友人の盲導犬ユーザーが、安曇野市の日帰り温泉施設「安曇野しゃくなげの湯」で、入湯拒否にあった。
  その友人が、抗議したところ、施設の職員は、市と話し合って決めると答え、その後、市と話し合って盲導犬を受け入れることにしたと回答した。
  しかし、身体障害者補助犬法では、受け入れるのが当然なので、「しゃくなげの湯」は、法律について認識不足であった。
  事例2. ユーザー会員が、佐久市のパラダスキー場のレストランで、「盲導犬でも、ここは入れない決まりです」と断られた。
  そのユーザーが、身体障害者補助犬法について説明し、「あなたの上司は、この法律について知っておられると思うので、聞いてきてください」と伝えると、そのスタッフは、聞きに行き、認識不足だったことを詫びて、迎え入れた。
  事例3. ユーザー会員の知り合いの山梨のユーザーが、松本市内のホテルと居酒屋で入場拒否にあった。その後に行った店では、気持ちよく受け入れてもらえたそうだ。
  松本市内でも、郊外では、まだまだ理解が不足していると感じた。
  事例4. ユーザー会員が、群馬県のプチホテルへ行こうとして電話で申し込んだが、拒否された。
  ホテル側は、「螺旋階段が危険と思ったので断った」と理由を説明したが、不愉快だったので行かなかった。
  事例5. 問題は善光寺。全日本盲導犬使用者の会のメンバー6人で、善光寺へ行こうとしたが、お戒壇めぐり等、盲導犬同伴を断られた。
  そこで長野市に相談して、善光寺と話し合うことにしたが、善光寺がドタキャンしたため、話し合いは進んでいない。
  善光寺のことでは、他のユーザーも、宿坊で断られたり、賽銭箱付近で盲導犬について、いろいろ言われた経験があるそうだ。
  し、昔は、ユーザーも、お戒壇めぐりを盲導犬と普通にできた時期があり、何の問題もなかったそうだ。
  善光寺の入場拒否の問題には、これからも会として、取り組んでいく。
  事例6. 埼玉で、盲導犬ユーザーが、勝手に動画を撮られ、盲導犬を蹴っているように見えるということで、ネットで炎上した問題について。
  の事件をきっかけに、全日本盲導犬使用者の会の会長のほうへは、勝手に盲導犬やユーザーの撮影をしないように、意見書を出してほしいと、ユーザーからたくさんの意見が寄せられた。
  しかし、訓練施設の代表者等を含めて話し合いをおこなった結果、盲導犬使用者の倫理綱領を先に作る必要があるということになり、現在、全日本盲導犬使用者の会では、倫理綱領の原案を製作中。
 全日本盲導犬使用者の会では、肖像権についても、弁護士を招いて勉強した。基本的には、犬には肖像権はない。しかし、犬のコートなどから、その犬のユーザーが特定される場合などは、肖像権が発生することがある。
  人には肖像権がある。しかしながら、現実には、写真や動画などをネットに上げられたら、回収のしようがなく、状況は厳しい。
  このような状況の中で、私達ユーザーは、どのように盲導犬のしつけやコントロールをし、なおかつ大衆の眼から身を守っていったらよいか、さまざまな意見が出て、話し合いがおこなわれた。
  盲導犬を叱らなければならないときに叱れないと、どんどん悪くなってしまうこともあり、犬に命を託して歩くためには、叱る必要があることも伝えていくべきではないかという意見や、目だたないかたちでしっかり犬に意志を伝える方法を工夫する必要があるといった意見。
  訓練所のほうでも、使用者が、日常のどんなところで苦労しているのか、現実をもっと知ってほしいという意見も出た。
    《歩車分離信号問題》
  事例1. 上田市のサントミューゼに行く途中の三叉路にある歩車分離式の信号の問題について。
  昨年は、この信号機の近くの線路上で視覚障害者の死亡事故があり、この信号で道を間違えた可能性が指摘されている。
   その後、視覚障害の夫妻が、この信号で、赤信号に気づかずに渡っていたという知らせもあった。
  音がなければ、視覚障害者は、歩車分離式の信号とは気付かない。
  その上、三叉路は、方向がとりにくいため、非常に危険である。
  事例2. 松本市浅間温泉の歩車分離式信号の設置の問題について。
  新たに歩車分離式信号を設置する工事はしばらく延期して押しボタンの場所を知らせる音を出す機械か、歩行者が来たことをセンサーでキャッチできる機械が予算で確保できるまで現状維持となった。
  しかし、その後も、予算はつかず、状況は変わっていない。
  長野県では、このような押しボタン式の歩車分離式信号が安全だと思われて増える傾向だが、視覚障害者には不便で危険。
  都会では、このような信号機は、さほど増えていないのか、全国的な視覚障害者の運動に発展していないが、このまま歩車分離式信号機などが増えれば、視覚障害者の安全歩行は難しくなる。
  そこで、この件については、池田さんを通して、全日本盲導犬使用者の会に伝えることになった。
    〈電気自動車やハイブリッド車のエンジン音や走行音が小さいことに関わる問題について〉
  今年の3月8日から新車については車両接近通報装置の装備が義務付けられることになった。
【平成30年度の総会、運営委員会の日程が決まる】
  ◇ 総会 6月17日(日)松本市
  ◇ 運営委員会 10月21日(日)長野市障害者福祉センター
  ◇ 運営委員会 2019年3月3日(日)松本市
    『ラジオ番組・里枝子の窓から』 
  ≪視覚障害者にとっての歩車分離式信号≫    (広沢里枝子)
☆私が担当しております「里枝子の窓」は、SBC信越放送から、毎月1回放送されているラジオ番組です。メインは対談で、障害を持ちながらいきいきと暮らす仲間や共に働く人々を紹介しています。また番組の初めには、私が問題意識を持ったことや、経験したことをお話ししています。
  昨年11月の放送では、「長野県ハーネスの会」で、解決に取り組んでいる歩車分離式信号の問題について話しましたところ、大きな反響がありました。その概要を報告いたします。
 こんにちは!広沢里枝子です。上田放送局から、盲導犬のジャスミンと一緒にお届けしています。
 さて、今回は、歩車分離式の信号について考えてみたいと思います。歩車分離式の信号、実は、危険で不便なのです。なぜかと言いますと、まず目の見えない私たちは、車の走る音で渡る方向を判断しているものですから、車が全部止まると、渡る方向がわからなくなってしまいます。
 特に歩車分離式のスクランブル交差点では、渡る人がいろいろな方向に動くので、目の見えない私たちは渡る方向を間違えやすくなります。私もスクランブル交差点では人の動きに影響を受けて、方向を間違えて渡ってしまって、気付いたらぜんぜん違う所に来ていたということが何度かありました。
 特に困るのは、歩行者が道路に設置されているボタンを押さないと青にならない「押しボタン方式」の歩車分離信号です。
 こんなこともありました。2年前に、松本市に住む全盲のご夫妻の家の東側の信号機が歩車分離式信号機に変わって、歩行者はコーナーの4つの押しボタンのどれかを押さなければ交差点を渡れなくなりました。しかも、その4つのボタンがそれぞれまちまちの位置にあるのだそうです。それで全盲のご夫妻は、まずボタンの位置が見つけられなくなりました。仮にボタンを探し当てて押せたとしても、ボタンの位置が渡り口から離れているので、また渡り口に戻るのが難しいため、斜め横断になりかねない状況になってしまったのです。
更に今年は、このご夫妻の家の西側の信号機も同じ信号機に変わる旨の連絡があったのだそうです。こちらはバスの通る道で毎日利用するので、ご夫妻は大変困りました。そこで、「長野県ハーネスの会」の会長さんと、「松本市視覚障害者福祉協会」の会長さんに相談して、県警に出向いて文書を出していただいたり、働きかけをしていただいた結果、工事はしばらく延期して押しボタンの場所を知らせる音を出す装置か、歩行者が来たことをセンサーでキャッチできる装置が予算で確保できるまで現状維持ということになったそうです。
 以前、上田市では、「カッコー」と「ピッピ」の音で、東西南北がはっきりわかるように統一して音響信号が付けられていました。視覚障害者にとっては、そのかたちが本当は一番わかりやすいのです。どうしても押しボタン式の歩車分離式信号を付けなければならない場合には、ボタンの所に、「ポッポッ」と音の出る装置を付けたり、方向を間違えないためのガイドを横断歩道に設置するなどの工夫が必要です。
 長野県内でも、歩車分離式信号が各地で増えていますが、目の見えない私達にとっては、こうした危険や、不便さがあることをご理解いただきたいと思ってお話しました。  (以上)
 
  連載/旅は犬連れ世は出合い⑫
  リレーウォーク ≪天竜川に沿って遠州灘へ その4≫
                     飯田市  原 哲夫
    〔遠州路を行く〕 第1回
◆ 国道152号線と天竜川
  天竜川に沿って県道1号線を南へ南へと歩いてきた私たちは、北遠(ほくえん)
(浜松市天竜区北部)の佐久間町からは国道152号線を歩くことになります。
この国道は、長野県の赤石山脈と伊那山地の谷間を通り静岡県に入り、水窪町(みさくぼちょう)と佐久間町へと続きます。因みにこの狭くて南北に長い谷間は、中央構造線という国内屈指の大断層によってできた地形の典型的な区域です。
 一方、天竜川はこの断層とは異なり、伊那山地と木曽山脈に挟まれた盆地と谷間を北から南へと流れ下っています。そして佐久間町辺りで中央構造線を西から東へと、おおよそ斜めに横切ることになります。
 信州上田市を起点とする国道152号線が天竜川と初めて出会う地点が佐久間町大井という地籍です。ここからは中央構造線の谷間から離れてほぼ天竜川に沿って、浜松市中心部へと続くわけです。
 国道152号線は、長野県内では山間地域を走る交通量も少なく知名度も低い極めてマイナーな道路です。場所によっては『酷(こく)道(どう)「ひどいみち」という意味の漢字)152号線』とも揶揄されたりしています。
 ところが静岡県の北遠地域では、主要幹線道として道幅も広く交通量も多くなり、県内の主要地域に出る唯一のルートになっています。
 とは言え、北遠地域は静岡県内でも有数の山間地域ですから天竜川の両岸は傾斜地や山林地帯が続きます。佐久間ダム上流部分と異なるところは、谷間が広がってきていることと、河岸(かがん)を中心に集落のまとまりが見られることです。佐久間町大井辺りからは天竜川を挟んで左岸には県道、右岸には国道が通っており国道に沿って小集落が点在します。
 佐久間町大井から南の龍山町(たつやまちょう)にある秋葉ダムまでを歩いたときは、交通量の多い国道を避けて対岸の県道を選びました。右側の天竜川は既に秋葉ダムのダム湖となっていて、ほとんど流れは感じられないほどゆったりとしていたようです。県道は緩やかなカーブを繰り返しながらも路面は平坦で、足腰に感じる負荷は全くありませんでした。対岸からは行き来する車の騒音が聞こえるのですが、広い空間に吸い込まれて消えていくようで、あたかも遠くの風景を音を通して見ているような気分になりました。
≪写真≫秋葉ダム堰堤にて (筆者と友人、そしてガイダ)
  秋葉ダムから最後の船明(ふなぎら)ダムまでは20㎞ぐらいあったと思います。この間に、北遠山間地から遠州平野に地形が変化していく様子を実感することができます。国道と県道に沿って流れる天竜川は、秋葉ダム下流からはやや深い渓谷を刻みながら谷川となって流れます。右岸の県道も傾斜がきつくなりカーブしながら下って行きます。対岸を走る国道はトンネル部分が多いようでした。
 船明ダムは山間地から抜け出した谷の出口に当たるような場所で、そこまでの上流部分とは明らかに異なり、急に広い平坦な河川敷や農地が広がりました。やっと南信州、奥三河、そして北遠と続いた山間地が終わりつつあることを感じました。私たちは河川敷に近い農家や住宅の点在する村中の道を選んで進みました。ある農家の周りに茶畑が広がっていました。長野県の天竜村や北遠の水窪町では斜面を利用した茶畑でした。船明地区は遠州平野の北縁に当たる農村地域です。
 この辺りから国道152号線は、天竜川河岸からかなり離れた山裾を通って浜松市の市街地に入っていくことになります。
◆ 飯田線と遠鉄バス、遠鉄電車を乗り継いで
 リレーウォークの回数を重ねて静岡県内の遠州路を歩くようになる第8回目以降は、毎回の出発点まではJR飯田線と遠州鉄道バスを乗り継いで向かいました。
 更に浜松市中心部や天竜川河口に近い出発点へは、遠鉄西鹿島線という郊外電車にも乗り継ぎました。
 ウォーキングの朝、飯田線最寄駅を7時30分発の豊橋行きに乗車します。そして静岡県佐久間町の相月(あいづき)駅に9時10分に着きます。この相月駅は中央構造線の水窪川がつくる谷間にあります。電車ホームと並ぶように国道152号線が通っています。階段を10段ほど下りると「遠鉄バス相月駅前」というバス停があるのです。
待つこと10分、9時18分発西鹿島行きの路線バスに案配よく接続するのです。
 この西鹿島行きバスは約6㎞北の水窪(みさくぼ)本町(ほんまち)が始発です。北遠地域最北の水窪町と浜松市郊外の西鹿島の間は1時間40分ほどかかります。午前午後それぞれ2往復していて、文字通り地域住民の脚となっています。
≪写真≫相月駅前バス停にて 「相月駅を背景に階段下でバスを待つ)
 私たちは行きは朝9時台、帰りは夕方5時台のバスの常連客となりました。バスの車中で隣り合ったお客さんと話すこともありました。気づいたことがあります。客は高齢の女性が多いこと。既に始発の水窪辺りで座席は6割ぐらいうまっている模様。終点まで乗っていく客は多くなく、最初の市街地域である二俣町辺りで降りる客が目立ちます。整形外科などの専門病院があるそうです。「週1回通院してお昼を食べて買い物して1日がかりよ。」と話してくれたおばあさんもいました。車窓からの風景には縁のない私は、自ずから車内の客同志の会話に耳ざとくなります。「どこそこの誰々さんが亡くなったって知っている?」のような知人の安否情報を交換する場にもなっているようでした。
 国道152号線を天竜川に沿って歩くリレーウォークは、1回おおよそ10㎞を目処に町や集落のバス停を選び区間を決めました。ですから飯田線と相月駅そして遠鉄バスはワンセットとして、水窪川沿いと天竜川沿いを152号線で何回となく往復したものでした。
≪写真≫ウォーキングツアーの旗 毎回旅のお供をした名刺代わりの「旗」。Tetsuo・Gaida・Tatsujiの頭文字でTGTクラブ。いよいよ次号は、最終回です。乞うご期待!
『ユリスと歩いて ④ ≪まさゆき&ユリスの珍道中≫』
               上田市 成澤 正行 & ユリス
 「今年は、どこへ。北に行こうか、南に行こうか!」
◆初詣
 今年の初詣は、正月も半ばを過ぎた平日に善光寺に行きました。この日は、善光寺裏手のつばめ池(善光寺北)から境内に入りました。平日で10時頃と言う事もあり境内は、参拝者も少なく鳩の羽ばたきが耳に届くほどの静かさでした。
 そんな穏やかな善光寺の本堂階段を上がり、下賓頭盧〈おびんずる〉様に触れて、お費銭箱の前に進み頭(こうべ)を垂れ、お寛銭を入れた直後の事でした。私の斜め後方から男性の声が聞こえてきたのです。軽く指を肩に触れる感じで、「こんにちは私は、社務所の職員〇〇と申します。ご参拝ありがとうございます。この位置よりもやや左の方がご本尊様の真正面になりますので少しずられてはいかがでしょうか?」と優しく声を掛けて下さいました。
 「あ、ああそうですか。ありがとうございます。」とお礼を言い左に寄り、ご本尊様に深く頭を垂れ本年の無事をお願いしたのです。この時ユリスは、マナーコートを着用して私の脇にいました。
 お守り、破魔矢を買い、仁王門を抜け大門を通りバス停に向かいました。〇〇職員さんは仁王門辺りまで危険が有ってはいけないと見守って下さいました。とても爽やかな初詣となりました。
 
◆斎場、火葬場体験
 先日、長野市内で不幸が有り、お通夜から葬儀、お斎(とき)と参列してきました。
ユリスも同行しました。喪主様から訃報の知らせがあり、葬儀に参列する事に躊躇していたところ、喪主様は、斎場、火葬場への盲導犬立ち入りを確認して下さり、盲導犬の立ち入りに問題ないことを知らせて下さいました。斎場、火葬場ともに盲導犬利用者の受け入れ経験がまだ無いとの事でした。ユリスも通夜、納棺、告別式からおときの席まで一緒に参列しました。特に困ることはありませんでした。
 斎場、火葬場共に職員さんは、優しく見守ってくれていました。また笑顔で会釈をしてくれていたと家族から聞いたことが心に残っています。斎場、火葬場の方々のご理解ある対応に感謝と共に、喪主様のお心遣いにも感謝した二日間でした。
 私にとってユリスは、大事なパートナーと言う事が周囲の人に理解されているのだと強く感じました。これからもユリスは、私の目となり共に歩んでくれるでしょう。
≪写真≫ユリスと。「有名な真田石の前だよ。堀には鯉やどじょうもいるんだって!」
『会員紹介コーナー!』
◆縣ひろこ(あがた ひろこ)さん
 みなさま!初めまして!東御市(とおみし)在住歌手のあがたひろ子と申します。
 平成10年、今から20年前、第6回御代田町「きなんしまつり」で広沢里枝子さんとご一緒に出演させていただいて以来のご縁(えん)で、「長野県ハーネスの会」に入会しました。
 東京での歌手活動の中で盲導犬育成のチャリティーコンサートなどに参加させていただきました。大好きな本「盲導犬クイールの一生」とともに大切な思い出です。命の大切さ、尊さ、若さとは気が付けばあっという間、年を重ねて来ますと心身共に生活や動きひとつに不自由さを感じます。この度の入会、運命を感じています。生きるということは大変なこと、しかし、素晴らしいこと、幸せなこと!
 入会にあたり、信州のさわやかな風が人と盲導犬にやさしく吹き続けますようにと願い祈るばかりです。かわいい花、やさしい風、青い空、ありがとう!
歌手 あがた ひろ子(東御市滋野乙在住)
《プロフィール》
1979年 フジテレビ系「君こそスターだ」長野県大会優勝 
1983年 東ひろ子としてビクターより歌手デビュー
1985年 安藤ひろ子へ改名
1998年 竜鉄也&安藤ひろ子 デュエット曲「父娘川」・ゲームソフト「爆走デコトラ伝説」挿入歌「お七」「夢桜」
2000年 安藤ひろ子から縣ひろ子(あがたひろこ)へ改名
2005年 第1回東御市民祭りにゲスト出演、以降毎年出演。東御市民祭りの歌「ハートつないで~TOMI、to me!」小坂明子作詞・作曲 縣ひろ子歌
◆ 宮秋智子(みやあき ともこ)さん
 ハーネスの会の皆さま、初めまして!私は東御市在住の宮秋智子と申します。4年前、東京から東御市に移住してきました。
 東京では34年間公立図書館の司書をしていました。移住後は、ドッグトレーナー、「FMとうみ「パーソナリティ、日本語教師などをして信州の生活を楽しんでいます。
 ハーネスの会を知ったのは、同じ東御市(とうみし)在住の広沢さんとのご縁でした。太古の昔から、犬は人のパートナーでした。犬と共に人も進化してきたという研究もされています。犬は人と暮らすのを自ら選択した唯一の動物です。そして、長い時間の中で人の手により品種改良されてきた動物でもあります。小さなチワワから超大型犬のセント・バーナードまでその種は800近いと言われています。そして盲導犬のようにその本能・特徴を生かして多くの犬たちが人のために働いています。
 聴導犬・介助犬・警察犬・災害救助犬・麻薬探知犬、読書犬(識字障碍のある子が本を読むのを横で聞く犬)・ガン探知犬などです。どの犬たちも厳しい訓練を経て仕事をしています。
 訓練や仕事が犬には苦痛、寿命を縮めているのではという見方をする方もいますが、本来犬は人と共に働くのが大好きです。人からのコマンドを忠実に行い、そのご褒美として人から褒めてもらう(おやつやありがとうの一言)、それが犬の喜びなのです。
 そして、血の通った温かな身体は私たちにぬくもりと安心感を与えます。今後ロボットやAIが発明され便利になっても人のために働く犬たちの仕事はなくならないのではないでしょうか。犬とのパートナーシップがある限り。ハーネスの会でたくさんの盲導犬と知り合えることを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。
 ≪写真≫うちの4柴です。赤柴・秀吉13歳、黒柴・乱太郎10歳、黒柴・雫12歳の3頭と9歳の時緑内障で眼球摘出した赤柴・さつき14歳です。目が見えなくても東御の森を元気にお散歩しています。
『日本に補助犬がやって来る!?』 池田 純
 2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの準備として、外国からの補助犬の受け入れについて、厚生労働省を中心に検討が進められています。私も、委員として1月31日と3月15日の会議に出席しましたので、その様子を報告します。
 議論のポイントは、大きく二つに分けられます。第一は、日本の身体障害者補助犬法のような法律を持たない国がほとんどで、補助犬の定義があいまいだということです。アメリカでは、盲導犬、介助犬、聴導犬の他にも、てんかん発作を予知するアラート犬、精神的な不安定さを有する人々のためのセラピー犬等も多く活躍しています。加えて、使われているのは犬だけではなく、猿・豚・蛇・クジャクと多岐にわたっています。それらの動物も「サービスアニマルだ」と主張すれば、動物料金を支払うことなく航空機を利用できてしまうため、虚偽の申告をする人もいます。
 第二は、補助犬であると証明された後に、日本に入国してもらっても問題ないとの判断を誰がどのようにするかです。
 会議に参加した育成団体の中で、外国からの補助犬受け入れの判断をしたことのある日本盲導犬協会と日本聴導犬協会からも報告がありました。
 そして、会議の結論としては、IGDF(国際盲導犬連盟)、ADI(国際アシスタンスドッグ協会)の認定した犬であれば受け入れようという方向です。もちろん、その前提として動物検疫を通過する必要はあります。それらの犬に対して「期限付入国許可証」のような物を携帯してもらうことになりそうです。
 ただ、私が懸念するのは、悪名高き日本の動物検疫制度のことをしっかりと英語その他の外国語で発信しておかないと、国際問題にもなりかねないということです。
 『連載 本ほどステキなものはない! ③』  池田 純
◆『撮ってはいけない』 ~ 知らないとあなたも犯罪者に!? スマホ時代のルールとマナー~ 飯野たから著 紺野礼央監修 自由国民社
 この本では、動画を撮影する際のマナーについて書かれていますが、盲導犬という撮影する側からすると大変に魅力的な被写体と共に歩いている私たちが、知らなければいけない基本的なことがやさしく説明されています。
 ポイントは、肖像権とは何か?私たちが同意せずに撮られた動画を削除するには?の2点です。
 「肖像権」とは、憲法13条で保障されている権利の一つで、個人の尊厳、幸福追求権・公共の福祉が規定されている条文から発生する権利です。
 ある個人を特定できるような写真や動画をみだりに撮影して公開することは肖像権を侵害する行為です。しかし、その行為を刑法の名誉棄損の罪に問うためにはかなり高い壁があります。写真や動画を撮影し公開することは、表現の自由を保障する憲法によって保障されている権利だからです。
 ただし、写真や動画を撮影した人に対して民法上の損害賠償を請求することは可能です。「知らない間に写真を撮られ、それを公開されることで安全な生活が脅かされたこと」に対する慰謝料の請求ができるのです。ここで注意しなければいけないのは、犬には肖像権はないことです。それはたとえ盲導犬であっても同様です。しかし、盲導犬と共に個人を特定できるユーザーの姿が写っていれば肖像権の問題が生じます。
 次に肖像権を侵害するような写真や動画がネット上で公開されてしまった後に、その写真や動画をどうすれば削除できるのでしょうか?
 ネット上に大量にアップされる情報についてそれを管理するプロバイダーに過度な責任を負わせると、情報の提供がスムーズに行われなくなるおそれがあるのでプロバイダーの責任を軽減しようとする法律が「プロバイダー責任制限法」です。
 しかし、この法律によって肖像権を侵害するような写真や動画を投稿した人を特定することができ、法律的に権利侵害の事実を証明することができれば、写真や動画を削除させることができます。これらは、「発信者情報開示請求」と「送信防止措置請求」と言われています。
 このように、プロバイダー責任制限法は、ネット社会の実情に応じて、プロバイダーの責任を制限するとともに、ネット上で権利侵害を受けた被害者救済をも目的としている法律です。
 盲導犬と共にこのネット社会を生き抜くためには、「自分の身は自分で守る」という気持ちを強く持ち続けたいものです。
 『清里の森彫刻ギャラリー GAKOU ≪手で見る小原二三夫 X 目で見る桑山賀行(くわやまがこう)展≫』
 今年は一足早く清里にも春が来たようです。清里の森で彫刻ギャラリーを開館して8年目を迎えましたが、自宅のある藤沢とギャラリーのある清里で二回のお花見が味わえる幸せを感じています。
 森のプラザ2階にある「清里の森彫刻ギャラリーGAKOU」では毎年素敵なゲストの作品と共に5月から10月までの半年間お楽しみ頂いています。
 今年は大阪府茨木市在住で幼い時に視覚障碍者になられた小原二三夫さんの作品を展示します。2013年に桑山の勧めで木彫を始めた小原さんが、どの様に形を頭でイメージして、手の感覚だけで彫刻刀を使いこなしているのか。その作品は年を重ねるにつれ大作になってきています。
毎年藤沢市で開催している「東山賀行と土曜会 手で触れて見る彫刻展」では桑山の作品以上に注目を集めています。
 今年は清里でも是非多くのみなさまにご覧いただいて「いいね!」というおことばをいただけたら嬉しいです。小原二三夫さんも大阪から来館予定がありますので、直接お話しになりたい方がいらっしゃいましたら、桑山(090-3048-3648)までお問合せ頂ければ幸いです。
 ギャラリーでは盲導犬を支援するためのグッズ(Tシャツ・ハンカチ・クリアファイル他)も販売しています。みなさまとお目にかかるのを楽しみにお待ちしております。
末筆乍ら、みなさまのご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
2018年 春 藤沢市白旗3-12-4  桑山賀行
 「手が生み出す木彫の世界 手で見る小原二三夫 × 目で見る桑山賀行展」
会場: 清里の森・彫刻ギャラリ”GAKOU” (清里の森 森のプラザ 2F)
住所:〒407-0301山梨県北杜市高根町清里 3545-1清里の森管理センター
Tel.0551-48-3151
会館日: 2018年5月2日(水)~6日(日)6月から10月までは、第1週の土・日開館
*ご入場の際に、このギャラリーの維持費としてお一人様300円のご協力をお願いしております。(中学生以上)
『インフォメーションあれこれ』
◆ ミニ旅行
 ウエルカムチームでは今年のミニ旅行を次のように計画しています。
 目的地:東御市(とおみし)にある《海野宿(うんのじゅく)》とチーズ料理の有名店《アトリエ・ド・フロマージュ》
《雷電クルミの里》
 日時:平成30年9月30日(日)
 日程: 信濃鉄道田中駅 10時15分集合 15時30分解散
 総会の折に話し合いますが、当日は坂田さんのバスをお願いしてバスで現地まで移動します。海野宿ではボランティアの方に案内や説明もしてもらえます。チーズフォンデュやチーズケーキなど、シャレた料理を味わってみませんか。
◆ 平成29年ハーネス基金支援報告
◇健康管理費 140,000円 28頭分(1頭5千円、現役21・引退7)
◇疾病治療費助成金 314,172円 3頭分 2名に
《内訳》
・デリカ 肝機能障害と皮膚の治療 73,290円
・ベラ 胃拡張症投薬治療、膵炎及び多臓器不全の入院治療 221,492円
・オルト 皮膚炎 19,385円
◇ 死亡弔慰金
・ベラ 2017年12月2日 15才6カ月 10,000円
◇送金手数料(1頭)      5,050円
◆盲導犬の異動
 お疲れさま ディライト引退 4月7日
◆ 感謝録
 平成29年度中、ご寄付・募金にご協力いただいた個人・団体の皆さま(敬称略)
 ありがとうございました。
(相場光子(あいばみつこ)・飯嶌悦代いいじまえつよ)・井川さゆり・池田純
池田康子・伊藤正子・伊藤睦子・井原通雄・今村邦彦・大月崇喜(おおつきたかよし)
大友寿美子・小田道子・金井修司・木暮恒男・坂田雄之・小平正八・黒澤美那子
鈴木満雄・鈴木聡子・林正範・鈴木眞沙子・寺島仁美・茅野永伯・多田艶子
酒井美穂子・北澤とも江・馬場壮・久島和実・古内みづほ・村嶋育子・三村惇子
百瀬鏡子・堀内今朝義・両角幾雄・横関恭子・吉川敞子・前川えりか・宮澤藤貴子
てまり時計まつり・ストリーム・鈴木学習塾・盲導犬使用者サポートクラブ・上田社会福祉協議会丸子地区センター
 『会員からのメッセージ』 (振込通知書から)
 伊藤正子様:「ハーネスながの」の充実した内容を読ませていただいて皆様方のご活躍に感謝いたしております。
 横関恭子様:暑い日が続きます。お仕事をしているわんちゃん頑張れ。応援しています。
 鈴木眞沙子様:皆様お元気でお過ごしください。
 古内みづほ様:会報50号拝読いたしました。こんなにも多い人たちの協力で私たちの手に届く事を始めて知り、こちらの方々に感謝申し上げます。
 百瀬鏡子様:わずかですが、ワンチャンの治療費になればうれしいです。
 宮澤藤貴子様:盲導犬の事で大変ご活躍なさっている方々に心から感謝とお礼を申し上げます。体が不自由で高齢の為、何の協力もできず大変心苦しく思っております。
(三村惇子様:皆様とワンちゃんのご健康をお祈りいたします。
 川崎博子様:会報有難うございました。記事内容も色々工夫されていて楽しく読ませて頂きました。
 黒澤美那子様:皆様のご活躍をお祈りいたします。
 松村敬様:ハーネスの会所属だった、ヤヤを含め、我が家は引退犬が3頭となりました。すべての盲導犬が快適に、そして幸せに過ごせる事を願ってやみません。
◆ 事務局からお知らせ
◇ 平成30年度長野県ハーネスの会総会のお知らせ
『2018(平成30)年度長野県ハーネスの会定期総会』を行います。
 日時:6月17日(日)午前10時から午後2次まで。
会場:松本市Mウイングの視聴覚室3-Bです。
住所:長野県松本市中央1丁目18-1 電話:0263-32-1132
◇会費納入のお願い
今年度分会費の納入をお願いいたします。同封の振替用紙にて、2000円をご入金ください。
 9月末日までにご入金いただきますようご協力をお願い申し上げます。
 なお、振込のひかえを領収書とさせていただきます。
◇ メーリングリストのご案内
長野県ハーネスの会では、会員同士の交流や情報交換を目的として、メーリングリストの運営を行っています。
 会からのお知らせもいち早くお届けしています。ぜひ、ご参加ください。
 参加希望の方は、事務局までお名前とメールアドレスをお知らせください。
 事務局メールアドレス:jimu@harness-nagano.com
◇その他
住所や電話番号・メールアドレスなどの変更がありましたら、事務局までご連絡ください。また、盲導犬ユーザーと引退犬ボランティアの皆様は、パートナーや引退犬の状況に変化がありましたら(代替え・死亡など)、必ず事務局までご連絡いただきますようお願いいたします。以上、よろしくお願い申し上げます。(加藤)
『編集後記』
 ハーネス53号お届けします。今号は14ページもの力作!これからは梅雨の季節、お出かけされない時に、じっくり読んで下さい。 (片山幸子)
 【以上おわり】

PAGE TOP