ハーネスながの 2015年12月 46号
発行:長野県ハーネスの会 前野弘美
〒390-0871 松本市桐2-4-44-1
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「長野県ハーネスの会」
〜今号のおもな内容〜
第2回運営委員会報告
ハーネスの会ミニ旅行
デビュー スノー
もっと知りたい犬のこと ?
連載 ユリスと歩いて ?
ユーザー近況&レター
連載 東中南北 ?
事務局からお知らせ
編集後記
第2回運営委員会報告
松本市のMウイングにて今年度2回目の運営委員会
加藤久美
10月4日(日)、松本市のMウイングにおいて、今年度第2回運営委員会が開かれました。参加者は12名(盲導犬6頭)でした。
会の冒頭、前日10月3日に徳島県で起こった盲導犬ユーザーとパートナーの盲導犬の死亡事故について、情報を共有しました。その上で、視覚障碍者が安全に歩行できる環境を求め、ハーネスの会として長野県に対して緊急アピールを提出することを検討しました。
その後の情報交換では、対策チームの池田さんより提供された「差別解消法に基づく事業者向けの対応指針案の一部について」の資料が紹介されました。この中には、盲導犬を含む補助犬に関する記述もあります。
その後、10月18日の諏訪湖ミニ旅行について、会報”ハーネスながの”の編集について、全日本盲導犬使用者の会から打診のあった長野県内での交流会の開催について、担当チームからの報告があり、それぞれ検討をおこないました。
次回の運営委員会は、来年3月に長野市でおこなわれる予定です。会の活動に興味を持ってくださった方、私達と一緒に活動していただける方、ぜひご参加ください。お待ちしています。
諏訪湖にバスが飛び込んだ!?
◆ハーネスの会ミニ旅行
丸山訓代
ハーネスの会では10月18日(日)に諏訪へミニ旅行にでかけました。
高い階段を5段ほど上がるとそこは水陸両用バスの甲板?だった。
乗り込んだのはハーネスの会の一行17人と盲導犬4頭。ガイドさんに促されて他のお客さんと和やかに手を振って発車した。道路から湖畔に降りて運転手さんがハンドルを舵輪に持ち替え、「3、2、1」の掛け声と共にジャンブし水面に飛び込んだ。スイスイスイ。「これは面白い!」楽しんでいたら犬たちがそわそわ。水泳の大好きなラブラドールだから飛び込んでしまわないかとヒヤリとした。何しろ両横は窓がなく吹き抜けなのだ。しかし、それは杞憂であって、静かな水音とともに湖を一巡し、陸のバスに戻った。
その後バスはオルゴール博物館にも立ち寄り音色を楽しんだり作ることにも挑戦したりした。この博物館ではこの日のためにスタッフを大勢そろえてくださり、対応が行き届いていて有難かった。
車を用意していただいた坂田さんや片山さん、ボランティアをしていただいた皆さん、ありがとうございました。楽しかったです。
デビュー 下諏訪町 西山英敏さんとスノー
取材 北澤とも江
今年7月、西山英敏さんが、5頭目となる「スノー」(オス・2歳半・イエロー・アイメイト協会)に代替えとなりました。
西山さんは目下、スノーの歩行速度をゆっくりさせるためのトレーニングに没頭している毎日だそうです。アイメイト協会の訓練は、代替えであってもパートナーとしての呼吸を合わせるため、1頭目と同じ時間をかけるとのことで、スノーとも、4週間、東京の協会で合宿をし、修了時には、訓練士抜きで、帰りの電車の切符を自分で買い、スノーと一緒に自宅に帰ってきたそうです。
今回の共同訓練の内容として、西山さんが印象に残ったことは、駅などで、人間のトイレを犬に見つけさせることができるようになったことだそうです。「トイレ」との指示語で、うまく人間のトイレにたどり着けるのは愉快とのこと。犬は、水道の蛇口がいくつか並んでいること、人の出入りの様子、構造物の特徴などで判断ができるようになるのでしょうか。ユーザーの行動と指示語などで理解していくものなのでしょうか。練習による積み重ねがあってこそとはいえ、盲導犬は色々な可能性を持っているようです。
会員のみなさん、西山さんとスノーの応援、よろしくお願いします。
もっと知りたい犬のこと ?
犬のマイクロチップについて
犬の健康や行動についての豆知識を勉強するコーナー!
季節はようやく秋となり過ごしやすくなりましたが、毎日地震関連のニュースが多く報道されています。今回の東日本大震災では多くの動物たちも被災しました。阪神大震災の時と同様に、避難場所へ動物同伴では入れないため、行き場をなくした動物や、飼い主が見つからないため施設で保護されている犬や猫が多く見られました。災害時に動物が行方不明になった場合に、動物の身元確認をする方法の一つとして、マイクロチップがあります。
マイクロチップは1987年にイギリスで組織的な使用が開始されました。日本では海外に比べると普及が遅れていましたが、最近地震や火山噴火などの災害時や迷子の時の動物の身元確認の方法として注目され、捨て犬や捨て猫の減少にも効果が期待されています。
マイクロチップの内部はIC(電子回路)、コンデンサ、電磁コイルでできており、これらは生体適合ガラスで完全に覆われています。大きさはメーカーによって若干差はありますが、直径約2mm、全長11〜13mmの円筒形です。マイクロチップに専用の読み取り機(以下、リーダー)を近づけると、リーダーから発信される電波にチップ内のコイルが反応して電力を発生させ、これによりICチップが起動し、15桁の数字のデーターを発信する仕組みになっています。
この15桁の番号はISOによって規格化されているもので、世界で唯一の個体識別番号になります。15桁の最初の3桁が国コード、次の2桁が動物コード、次の2桁が販売会社コード、残りの8桁が個体識別番号となります。例えば392141001234567という番号なら、392が日本、14が伴侶動物(ペット)、10が冨士平工業、01234567が個体識別番号となります。今のところGPSは搭載されていないため、行方不明の場合に、遠隔地から居場所を特定することはできません。
マイクロチップは専用の埋め込み器を用いて、動物の皮下に埋め込みます。少なくとも30年程度の耐久性があるため、犬や猫の生涯にわたって使用できるように設計されています。
通常犬では生後2週間、猫では生後4週間から埋め込みが可能です。また、犬猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類に使用可能で、特定の外来生物に関してはマイクロチップが義務付けされています。
マイクロチップは動物病院等で獣医師に入れてもらうことになります。費用は動物病院によって異なりますが、平均5千円前後で、登録費用は1000円かかります。
マイクロチップの埋め込み用の針は、ワクチン接種の針と比べるとかなり太いものですが、犬猫ではほとんどの場合麻酔や鎮静は必要なく、痛みもあまり感じていないようです。埋め込んだ後に脱落防止のため、埋め込み部位に外科用接着剤の塗布を行います。リーダーで番号の読み込みが可能か確認したら完了です。
マイクロチップには番号の情報しかないため、埋め込み日、飼い主の名前、住所、電話番号と、動物の種類、性別、生年月日、色および獣医師の氏名、病院の住所、施設名、電話番号を登録します。登録情報はAIPO(動物ID普及推進会議)で一括して管理をしています。番号の照会は獣医師や行政に限り、一般の人が直接確認することはできません。
2009年3月以降、当訓練所では盲導犬としてデビューする時にマイクロチップを入れて、訓練所を卒業します。それ以前に盲導犬になった犬も、年1回の同窓会の時など機会があればマイクロチップを入れていっており、今後も継続していく予定です。
当訓練所では、AHBインターナショナル株式会社様(東京都江東区)よりマイクロチップのご提供と、登録費用のご負担をしていただいております。そのおかげで多くの盲導犬にマイクロチップを入れることができました。この場を借り、改めて日ごろの盲導犬支援活動に心よりお礼申し上げます。また、マイクロチップが普及することにより、災害で飼い主不明の動物や捨て猫、捨て犬が少しでも減っていく事を期待したいと思います。 【獣医師 橋本知也】
*本連載は「ホワイトハーネス第33号(日本ライトハウス盲導犬訓練所)」から転載しました。
盲導犬ユリスと歩いて ?
わたしの買い物術
上田市 成澤正行
早いものでユリス君に頼って歩くようになって15ヵ月が過ぎようとしております。乗り物ではバスを初めとして電車(北陸新幹線を含みます)・タクシー・地元周回バス・知人の車など乗せて頂いておりますが、盲導犬ユリス君を連れて行って不快な場面に出合った事は全くなく、強いて言えば周囲の皆様の優しさが感じる事の方だけと言っても、過言ではないと思っています。
そんな中、今回はお買い物の時にこんな事もしてると言うお話をさせて頂きます。バスを使わないで、お買い物に行ける範囲は限られてしまいますが、さあーっと見回して見るとコンビニ・ホームセンター・全国チェーンのクスリ屋・老舗のケーキ店・地元の酒屋などが浮かんで来ます。その中で、コンビニへ行く時、行った時の、お話をさせて頂きます。
我が家から1.2キロ程の範囲にスーパーマーケットを含めて4店舗有ります。近頃は自動販売機が減って来ている昨今、時には、あの泡の出るドリンクも飲みたくなる事だってあります。そんな時には、あちらのコンビニが良いか、そっちのコンビニが良いか、少々迷いますが直ぐに決まります。
お店が決まった所でPCを立ち上げてSDカードを開き“お買い物シート”で買いたい物を書き込んでプリントして、いよいよお出かけとなります。
ユリス君もコースによっては目的場所が分かるのだろうかと思うような働きをしてくれます。良く通院する鍼マッサージ院の傍なのですが、一瞬鍼灸院の方に顔を向ける事もあります
がコンビニへの誘導は、とてもスムーズで助かります。
オートドアを入ると店員さんが直ぐに気が付いてくれて「いらっしゃいませ」と挨拶してくれます。そしてプリントして来たメモを取り出しながら「お忙しい所でしょうがお買い物のお手伝いをお願いできますか?」とお話します。店員さんは笑顔で「はぁい、結構ですよ」と言ってくれます。プリントしたものを手にし、私にだけ聴こえる程度の声で読み上げて陳列棚の方へと小走りで向かって行くのです。そして店員さんが来るのを邪魔にならない所でユリス君と待ってるのですが、時間帯によっては、とても食欲を誘うような良い香りが鼻をくすぐることがあり、ついつい、その匂いに負けてしまい追加で買う事もあります。そして、お願いした物も追加した物も揃った所で計算して頂きレジ袋に収めて頂くのです。そして快く受けて下さった店員さんにお礼を申しオートドアの方へ歩を進めるのですが、他の店員さんからも「ありがとうございました。またお出でください」と明るい声が帰ってきます。
※このプリントしたメモが有るのとないのとでは店員さんの手を煩わせる量が随分と違うと言う事を体験の中から得ました。
ユーザー近況&レター
『青井貴世志さんとロージー』
取材 北澤とも江
立科町在住の青井貴世志さんのパートナーは、「ロージー」(メス・5才半・ブラック・日本ライトハウス)です。
青井さんのお宅は民宿を営まれていて、民宿の経営は専ら奥様の担当ですが、民宿で提供する新鮮野菜は、青井さんが、種まきから収穫まで、すべて担当している畑で作っているとのことです。「ピーマン、ナス、キウリは触れば、もぎどきがわかるが、トマトだけは色がわからないので、トマトの収穫はこちらの出番。」と奥様の方に顔を向けます。訪問した日は収穫した「花豆のさやむき」をご夫婦でされる予定になっていました。
青井さんは、週に5日、立科町の障害者就労施設「たてしな ふれ愛園」に勤務しています。ふれ愛園では、各種の団体や会社などから依頼された製品を製作するほか、園独自の取り組みとして、専用の農園で野菜を栽培し、立科町の小学校などの学校給食の食材として提供しているそうです。また、丸太を割って薪にし、束にして販売もしているそうです。青井さんは、これら農作業・薪作りの指導をはじめ、できあがった野菜や製品の納入先を探したりと、園の運営に必要不可欠な人材として活躍されています。
中途失明から25年、盲導犬と共に立科町の障害者の自立や福祉の向上に努めてこられました。盲導犬がいたからこそ可能になった、自宅から勤務先までのバス通勤でしたが、その相棒を務めてくれている盲導犬もロージーで4頭目になりました。
『デリカが引退しました』
佐久穂町 滝澤ケサミ
長野県ハーネスの会の皆様、大変ご無沙汰しております。この度、デリカ(9才)が家庭の都合により4月に引退し、松本の茅野様宅で余生を送らせていただいています。
皆様には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
『いつもは2頭、ときどき3頭と一緒に』
リタイヤ犬ボランティア 松本市 茅野永伯
ハーネスの会の皆様お久し振りです。いつもハーネス基金を通してご支援をしていただき本当に感謝しております。ありがとうございます。
ご支援のおかげで、初代マックス、アルスター、そして重い心臓病のパトリックと、脳腫瘍のジョーに、充分な治療を受けさせてあげる事ができました。充分に受けさせられたということは、「悔いのない看取りができた。」と言うことです。
お陰様で、私たちは「寛容さ」「優しさ」得も言われぬ「満足感」宝箱からはみ出しそうなくらいの人生の宝と愛を頂き、介護の知恵もつきました。
現在は、一昨年から大阪で引退した13歳の女の子ベラ、そして一時、我が家にショートステイしたことのある9歳の女の子デリカが引退し、二頭を引き受けております。また、時々利用者さんから依頼されてショート預かりも引き受けております。三頭になっても、それぞれにお互いの立場をわきまえて、仲良く過ごします。性格もそれぞれで、見ていて楽しい嬉しい日々です。
イベントや会議などなかなか参加できませんが、ショート預かりで協力させていただきます。
〜連載〜 『東 中 南 北』 ?
《お断り》前号からスタートした「地域ミニニュース」のコーナー名を「東中南北」と改めることにしました。文字通り東信、中信、南信、そして北信からとった略称です。それぞれの地域で行ったり聴いたり、そして見たりしたできごとを紹介していただきます。
東信から
◆上田市の日帰り温泉施設で同伴拒否
広沢里枝子
10月はじめに上田市にある日帰り温泉施設F館で、盲導犬が同伴を断られる問題が起きました。
あるNPO法人が、バスでの研修旅行で、松代大本営跡に行った後、F館で昼食と入浴をしたいと電話で問い合わせた折に、盲導犬が同伴すると伝えたところ、「それは無理。外につないでおいて。」と言われたとのこと。「身体障害者補助犬法」について話しましたが、「知っているがそれとこれとは違う。一般の方が困る。」と言って話にならず、利用を断念せざるをえなかったそうです。
この問題が「長野県ハーネスの会」の前野会長に伝えられたため前野会長はメーリングリストで会員に情報提供を求めました。それによって20年ほど前に盲導犬を同伴してF館を利用した会員もいたことなどのさまざまな情報が集まりました。
その翌日の10月8日。東信地区にお住まいで賛助会員の坂田雄之さんが、F館を運営している事業団に行き、課長さんと話しあってくださいました。その結果、課長さんから、前野会長に謝罪と今後の対応について電話をいただきました。謝罪の概要は「話を聞き、とても驚きました。大変申し訳ない事を致しました。今後はこの様な事の無いように致します。F館には補助犬の受け入れについて徹底するよう対処しました。職員の知識が足りず、申し訳ない対応をしてしまいましたことにお詫び申し上げます。事業団として改善に取り組んで行きますのでよろしくお願い致します。」というものでした。
事業団として対応を約束していただきましたので、《ハーネスの会》の会員で近いうちにF館を利用して対応を確認したいと思います。なお、これは人権に関わる問題ですので、長野県補助犬相談窓口、上田市福祉課、上小圏域障害者自立支援協議会の人権擁護部会等に報告しました。
中信から
◆目の見えない人たちのバス旅行
古田綾夫
安曇野の古田です。10月の末に、我が安曇野市の視覚障害者の《にこにこの会》が、一泊のバス旅行で、能登半島の能登島に一泊をしてきました。全員約20人、半数が見えない人たちで、盲導犬は古田だけです。ベテランのバスガイドさんに見えるように案内を頼みました。
梓川の渓流を遡りながら、ガイドさんのもみじの説明にみんなの頭の中が紅葉に染まったようでした。バスガイドさんは、慣れないのでしょう。ときどき分かりにくい説明もありましたので、会員がそれぞれ「ここは住宅地ですか」、「どれほどの先ですか」、「ちらっと見えたのはどんな物ですか」、「ループ橋の直径は」、「大きさは」、「色は」などと大声で質問しながら案内の補足をしてもらいました。目の見えない人たちならではのバス旅行でした。
合掌造りの家では、「階段が狭いなあ」などと言いながら登りました。戦時中に版画家棟方志功さんが疎開していた家屋の前では、「漫画のさざえさんの家くらいだぞ。」などと知ったか振りをしたり、砂浜を走る道路では下車をして焼き蛤やいかなどを味わったりしました。また、海辺の砂浜では、実際に砂に触れて「なぜ海岸の砂の上を車が走れるのか?」などを研究しました。
宿泊は小さい宿でしたのでその夜は貸切でした。カラオケ装置はなかったのですが大音楽祭、大舞踊会となり、床が揺れたように感じました。貸切の宿でよかったと思いました。簡単に言いますと、大騒ぎをしてしまったと言う事です。
次の日に、富山県へ入ると道路の両側に警察官が並んでいて、交差点にも警察官が群がっていました。天皇陛下が、行事で来られるとのことでした。赤信号の先の道路では、警察官がゴミを拾っていました。そのきれいになった道を我々のバスが走ったのはまあ良かったのですが、富山市の周りまでどこから出てきたかと思うほどの多数の警察官が延々と並んでいて、見物予定の駐車場も利用できませんでした。
うろうろしながら、駐車可能な《きっときと市場》に向かいました。問い合わせたところ、「盲導犬は嫌いな人もいるかも知れない」などと魚売り場への立ち入りや食堂の使用を断られました。次に、ます寿司の製造販売の店に行きましたら、ここでも盲導犬の入店を断られました。理由は特に無かったです。その場所での交渉はガイドさんがしてくれました。当日の古田の交渉は面倒そうなのでやらずに、帰宅後に富山県庁の盲導犬係職員と相談をして、古田が確認を含めて、事前交渉をして、良い感触を得ました。その後の交渉は、県の職員に任せましたら、数日後には、2箇所とも「盲導犬使用は可能」との返事をもらいました。
富山県には盲導犬が7頭しかいないため馴染みはなさそうでしたが、補助犬法は会社の上部の人たちは知っているようでした。おまけですが、富山県庁の女性の係の方が、以前長野県におられたとかで世間話が楽しかったです。
この旅行は、我が会員から「古田さん、一生で最後の見えない人たちの一泊バス旅行を計画してよ。」と頼まれたのですが、帰りの車内では「年金を貯めて来年もやろう!」ということになりました。
南信から
◆どんと行こうよ、どんとね!
原 哲夫
飯田下伊那に住む全盲6人と盲導犬2頭(男5人、女1人)が10月16日、17日の一泊二日で阿智村の昼神温泉に出かけました。飯伊視覚障害者福祉協会の研修・懇親旅行です。さみしいことですが、近年はわが協会でも高齢化と会員数減が進み、日常的な活動に参加できる会員はこれぐらいです。
今回は身近な小旅行とは言え、目の見える手引き者は誰も同行せず全員全盲だけで「どんと行こう」ということになりました。とかく視覚障害のある人たちのお泊りや旅には「付き添い」と言われる目の見える同行者についてもらうことが多いのです。ホテルのマイクロバスがそれぞれの自宅に近い場所まで送迎サービスをしてくれて足の心配が全くなかったことも助かりました。
阿智村では毎日早朝6時から「昼神温泉郷朝市」が開かれており、この見学と買い物のときは地元の社協のボランティアさん4名にガイドをお願いしました。
全盲旅行者の中にはホテル内の移動を心配する人も少なからずいます。食堂へ、そして温泉地のホテルでしたらやはり大浴場へと。私たちの部屋は3階、宴会場兼食堂は2階、大浴場は6階でした。夕食と朝食の際には部屋付きの仲居さんが案内からお膳の説明までやってくれました。私は温泉地では、必ず露天風呂と朝風呂主義者です。夜朝の2回以上入らないと損をしたような気持ちになります。大浴場へは最初の1回だけホテルスタッフに案内をお願いし、脱衣場のロッカーの位置から浴室の中のオリエンテーションをしてもらいました。その後は毎回5人が縦に5連結の電車のように連なって廊下を進んだりエレベーターを乗り降りしたりしながら行きました。困るようなことは全くなく、正に「行け行け」でした。傍から見ていれば珍しいちょっと異様なお客さんたちに見えたかも知れません。
ホテル内の移動では我が相棒の盲導犬はしゃきっとして格好いいところを見せてくれました。トイレをさせるために滞在中3回エレベータを使って1階に下りロビーを通って屋外にでました。トイレを終わってからも玄関ドア、エレベータホール、そして自室へと確実に案内してくれました。実は、1階でエレベータに乗り合わせた初老の夫婦がいました。私と相棒が3階で降りるとこっそりと後をつけて来たようです。角を2回、右折と左折して進み、自室のドアを開けて入るまで見ていたとのことでした。チェックアウトのとき、ロビーで話しかけてきました。「これが盲導犬ですか?偉く賢いもんですなあ!初めてこんなに近くで盲導犬を見ましたよ。お宅、ほんまに目がみえないんですか?」と。神戸市から車で信州を訪れ、その日の午後には帰途につくとのことでした。
全盲の諸兄諸姉のみなさん、「どんと行こうよ、どんとね」
『事務局からお知らせ』
◆疾病治療費助成の申込みをお忘れなく
事務局 田中安子
ハーネス基金では会員の使用または飼育している盲導犬と引退犬の疾病治療費の一部を助成しています。平成27年1月1日から12月31日までの1年間に動物病院で病気やケガの治療を受けた場合、支払った医療費の半額を支援するものです。助成を希望する会員は、治療内容(病名など)、支払金額、獣医師の領収書を添えて事務局までお申し込み下さい。
提出締め切りは平成28年1月20日厳守でお願いします。
編集後記
いよいよ師走。1年の過ぎるのがなんて早いこと!よく聞く「年を取ると1年の経つのが早い」のはなぜ?と思って、調べました。
5歳の子にとっての1年は、5分の1。60歳なら、60分の1。よって、分母が大きくなればなるほど1年は短い。これって、“なーんちゃって話”のひとつと思いきや、フランスのジャネさんという哲学者の法則なんだそうです。
私の場合は、○○分の1の、今年はあとひと月だからさらに12分の1に感じる時間で、あれもこれもそれもやらなきゃ、お正月にならない!! でも、走り過ぎてお正月はダウンてわけにも行かないので、早足で歩きましょう。
ハーネスの会の皆様、1年間有難うございました。良いお年をお迎え下さい。 【片山】