【会報】ハーネスながの第26号


ハーネスながの 2007年 11月 第26号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3  TEL・FAX(0263)46-9611 
第26号 目次
《速報》
 『改正身体障害者補助犬法が成立』
《報告》
 『県障害福祉課/ハーネスの会懇談会の報告』
 『山梨ハーネス友の会・長野県ハーネスの会交流会実施報告』
 『交流会参加者の感想』
《特集》
 『盲導犬ユーザーのマナーについて考える』
 『犬のコントロールについて』
《盲導犬ユーザーの近況報告》
《リタイヤ》
《レクイエム》
《事務局から》
 『疾病治療費報告(申請)をして下さい』
 『2007年度会費の納入について再度お願い』
《会員の声》
《編集後記》
 目次終わり
《速報》
『改正身体障害者補助犬法が成立』
都道府県に補助犬の相談窓口を置くことや大規模事業所(従業員56人以上)に補助犬受け入れを義務付ける「身体障害者補助犬法」改正案は、11月2日(金)の衆議院本会議で可決され参議院に送られていたが、28日、参院本会議でも全会一致で可決され、成立した。
来年4月に施行され、同10月から企業の受け入れが義務化されることになった。
《報告》
『県障害福祉課/ハーネスの会懇談会の報告』
会長 原哲夫
8月17日(金)県庁議会棟405会議室で本会の盲導犬使用者と県の障害福祉課との初めての懇談会が行われました。これは盲導犬の使用に関わる現状と諸問題について補助犬貸与(給付)事業を担っている県障害福祉課の担当者に理解を深めていただくことが主たる目的でした。
ハーネスの会の出席者は盲導犬使用者16名と役員および付き添い者等で全22名。県からは障害福祉課から寺沢課長等4名と衛生部食品生活衛生課から係長1名の全5名でした。
懇談会の主たる内容を簡単に報告します。始めに、出席者全員の自己紹介から始まりました。使用者は盲導犬との生活の様子を中心に話しました。
実質的な懇談はハーネスの会から障害福祉課に提出した『補助犬(盲導犬)貸与事業、等に関わる要望書』に沿って進められました。
(1)県の補助犬貸与(給付)事業の進め方について
使用者からは昨年度、県が貸与頭数を当初予算の枠を越えて柔軟に対応してくれたことに対して感謝する発言が多くありました。更に盲導犬の予期せぬ健康状態の悪化などが生じた場合は、昨年同様に必要とする頭数を予算化して欲しいとの声が出されました。
障害福祉課補助犬給付事業担当の大日方さんからは、本年度は昨年より1頭多い4頭分を当初予算として計上しているとの説明がありました。また、代替え犬を希望する場合は、ある程度長期的な見通しをもってその時期を考え、早めに市町村の窓口に申し出て欲しいとのことでした。
(2)補助犬の健康管理に関わる県の公的支援について
ハーネスの会では、「混合ワクチンの接種を県による公費で実施して欲しい」という要望をしました。
これに対して寺沢課長からは、「どのような予算から支出できるのか全く当てがない」との回答でした。出席した使用者からの補足的な要望が聞かれず、この問題については議論が深まりませんでした。
(3)補助犬使用に伴うトラブル事象への対応窓口の設置について
ハーネスの会では障害福祉課内に上記のような窓口の設置を要望しました。これは身体障害者補助犬法改正案に明記された「都道府県は補助犬使用に伴うトラブルや苦情に対して適切な助言と指導を行う」という新しい段階を踏まえての要望でした。
使用者からはホテルのレストランで最近経験した盲導犬同伴の拒否事例などが報告されました。
要望に対して寺沢障害福祉課長は、改正補助犬法が施行される段階では県としてもトラブルや苦情に対応する窓口を設置する方向で検討したいという趣旨の発言があり、その際は意見を聴かせて欲しいとのことでした。
〔評価・感想〕25年を越える県の盲導犬給付事業の中で今回初めて盲導犬使用者と障害福祉課担当者との懇談会が行われました。また、多分16頭もの盲導犬が県庁に会したことも前代未聞のことと思います。ハーネスの会の行事ですらこれだけの頭数は初めてです。
懇談会の成果という点では、県の担当者に実際の姿を見ていただけたことだと思います。「どんな人たちにどんな犬が給付されているか?」、これまでは使用者の顔や姿はもちろん犬の様子も知っていただく機会はありませんでした。県では、市町村から上がってくる書面に基づき盲導犬給付の認定をし、予算を執行するシステムになっているからです。
もう1点は、寺沢課長から、「これまで県は予算を執行し補助犬を給付する段階までで終わっていた。今後は補助犬給付後の使用の状況にも関心を持つ必要がある」という趣旨の発言があったことです。この点こそ私たちが願うところです。
お忙しい中を準備し出席して下さった障害福祉課と食品生活衛生課の担当者の方々、ありがとうございました。また、炎暑の中を県内各地から参集して下さった使用者および協力者のみなさん、本当にお疲れ様でした。
『山梨ハーネス友の会・長野県ハーネスの会交流会実施報告』
前野弘美
平成19年10月7日・8日の両日に山梨県に於いて交流会が実施されました。実施の報告を致します。
交流会は両会の交流と情報の交換、盲導犬を使用している人・使用していない人などいろいろな立場や環境に生活している中での疑問や問題などの相談や対応の意見交換、山梨県の史跡の見学を目的として実施されました。
昨年に引き続き様々な立場の方の参加を頂き多くの意見交換が出来ました。
参加者は長野県より18名(内日帰り1名)、山梨県23名の計41名でした。
長野県からの移動につきましては坂田様のご好意でバスによる移動が出来安全で割安な費用で研修場所の移動などが出来ました。感謝申し上げます。
初日は山梨の参加者と一緒に昼食をとり舞鶴城公園での史跡見学をしました。ボランティアの方の史跡の説明を聞きながらの散策は気持ちの良いひと時でした。
研修会場となる石和温泉の保養施設(かえで荘)での懇親会は部屋ごとのテーブルで和気藹々と皆さんの自己紹介をしながら進められました。今年は本音を気軽に発言していただこうとの意向で懇親会の後で意見交換会が持たれました。盲導犬の使用者、使用していない視覚障害の有る方、獣医師さん、補助犬の支援団体、障害者の支援団体、大学生、両会の会員など様々な立場の皆さんが日頃の疑問を投げかけたり、問題についての意見の交換をしました。若い大学生の皆さんの意見も有り有意義な機会となりました。その後、飲物を飲みながらの雑談と交流をして初日を終わりました。
二日目が雨天のため予定していた武田神社参拝が出来ませんでしたが、意見交換の時間を長く取ることが出来ました。意見交換では昨日の課題を引き継ぎつつ今後の活動についての話もされました。
意見交換に関しては後日報告がされると思いますが、いくつかの項目を挙げておきます。
・まだまだ盲導犬に関して正しく理解されていない事が多い。・宿泊など施設の利用を断られる事はまだまだ多い。・山梨、長野での宿泊などにはそれぞれの会または会員に相談する事で良い施設や対応が受けられるので是非連絡を取りましょう。・盲導犬の知識を知りたくてもどこに聞いたら良いのか分からない。・盲導犬の育成団体間には交流は無いのか、また仲が悪いのではないか。・北海道で交流会をしたい。・交流会をさらに拡大して静岡県なども巻き込んだらどうか。・交流会活動の会に名前を付けて活動したら良いのではないか。・長野県ではハーネスの会と県社会部障害福祉課との懇談を持った。・パートナーとの別れはとても辛い。・盲導犬同伴可能のステッカーが有料なのはなぜ、ボランティアで貼っていただくのに費用が大変だ。・様々な立場の方が集まり意見交換をすることは有意義であり、今後も継続して行きたい。・歩いていても後ろから見ると盲導犬なのか分からないので何か良い方法はないか。・盲導犬同伴可能のシンボルマークを使ったベストとかヤッケあるいはザックなどは出来ないか。などでした。
意見交換の後昼食を取り最後の研修場所である風林火山博を見学しながら土産物を見たり買ったりして帰路につきました。
体調を崩す方も居らず無事終えられたことは皆様のおかげと感謝しております。
また、日本福祉大学の学生さんが4名参加してくださったことはとても良い機会を私たちにも与えてくださいました。参加できず志を頂いたり、交流会の準備にご協力を頂いたり交流会の実施に当たり手助けを頂きました皆様ありがとうございました。参加していただきました皆さんお疲れ様でした。今後の交流会の実施などご意見をお寄せくださいませ。
長野県ハーネスの会・山梨ハーネス友の会交流会会計
項目金額摘要
参加費合計 245,500 17名、日帰り1名
牧田さん志 5,000 参加の皆さんへとのお気持ち
○収入計 250,500
交流会参加費 193,000 山梨の実行委員会へ支払い
燃料・有料他 30,000 バス燃料、通行量他
菓子・飲物 5,000 バス中での副食他
運転謝礼 10,000 坂田様
学生謝礼 12,500 日本福祉大学学生4名
○支出計 250,500
○差し引き 0
『交流会参加者の感想』
山梨・長野交流会に参加して
佐久穂町 滝沢ケサミ
私は盲導犬を使用するようになって10数年になりますが、これまで時間がなくて皆さんと接することもなく過ごしてきました。今回の山梨県への二日間の旅は、今までの空白を埋めるいい機会となりました。バスの中、食事の時間、見学をしながら他のユーザーの皆さんと接することができたことはうれしいです。名前と声が一致できましたことは収穫でした。
出かける前に年齢を聞かれ、『なぜ』と思いました。甲府の舞鶴城のガイドさんの『やぐらの階段が高く、40cmの高さです』と説明を受け年齢の件は納得しました。無事、階段を登り、座りながら説明を聞き、見学し手すりにしっかりとつかまり、降りることができました。一人ひとりにボランティアさんがついてくれて何にも心配することがなく不安を感じませんでした。幸せな気分で石和温泉の宿に着きました。
交流会では山梨の皆さん方も同じご苦労をされていることを知りました。長野・山梨ハーネスの会の力で盲導犬に対して更に理解が広がる日が来るだろうと信じて、またエミーと歩きたいと思います。
運転手の坂田さんには家まで送っていただきました。ボランティアをして下さった日本福祉大の学生さん、古田さんのご夫婦から励ましの言葉をかけていただき大変力になりました。本当に楽しく二日間の短い旅を終えることができました。皆さん本当にありがとうございました。来年は、もう少し鍛えて参加したいです。
参加学生の感想
長野・山梨ハーネス交流会に参加して
日本福祉大学3年 斎藤梓
私は今までのゼミの研修などで訓練中の盲導犬やユーザーと歩いている仕事中の盲導犬は見たことがありました。しかし、今回の研修に参加させていただいて一日ユーザーの方と盲導犬と一緒に行動することで、食事のとき、お風呂に入るとき、寝るときに盲導犬はどうしているのかということが分かりとても興味深かったです。また、ユーザーの方と話す機会というのは今までほとんどなかったので、いろいろとお話を聞くことができて有意義な時間を持つことができました。今回私にこのような貴重な体験をさせていただき、原先生をはじめハーネスの会の方々に深く感謝しています。滝沢さんにはあせるあまりについ引っ張ってしまったり、強く腕をつかんでしまったりとご迷惑をおかけしました。でも、たくさんお話ができてとても楽しかったです。また、機会がありましたら是非誘ってください。
同 芳賀治佳
私達のゼミでは、人間と共に働く動物たちについて学んでいます。今まで、盲導犬協会や聴導犬の施設などいろいろと見学させていただきました。今回は、どの施設見学よりもユーザーの方との交流もあったので深く学んだ1日半でした。盲導犬ユーザーの方と初めて旅行をし、周りの状況を上手に言葉で伝える難しさを知りました。そして、補助犬法ができてもなお、入店拒否がある現実にはとても驚きました。知多半島ではそのようなことがないように、私達も協力していかなくてはいけないと感じました。今回一緒に行動をさせていただいた丸山さんには、ことば足らずで何かと迷惑をかけてしまいました。先ずは日本語の勉強を1からやり直さなければと思いました。また、機会があればお会いしたいです。その時までには、以前よりも日本語を上達させておきたいです。
同 高梨翔
今回はこのような会に参加させていただき、大変勉強になりました。実際にこの目で盲導犬の働きを見ることで、抱えている悩みや問題点を知ることができました。私たちができることをこれから検討して一つずつ力になれればいいなと思います。ありがとうございました。
同 山中哲平
今回はじめてハーネスの会に参加しました。急な参加にも関わらず大変よくしていただき、本当にありがとうございました。一緒に回らせていただいた滝沢先生からも、とても優しくしていただきました。実際に盲導犬とそのユーザーさんと行動をして、机の上ではできない学びをすることができました。盲導犬の特徴をより広く伝えることの必要性を感じました。実際に学内でも企画をしていきたいと思います。また、今回の経験を家族や友人などの近い人たちにもたくさん伝えていきたいと思います。
《特集》
『盲導犬ユーザーのマナーについて考える』
長野市 加藤久美 樋口あゆみ
私たち盲導犬ユーザーがパートナーと共に社会参加するとき、世の中の人が皆犬好きであればよいのですが、なかなかそうはいきません。犬が苦手な人は、ほんの少しの抜け毛や臭いも「我慢できない!」と感じるのではないでしょうか?また、犬のコントロールができていないと、他人に迷惑をかけたり、トラブルになったりする可能性もあります。私たちユーザーが外出するとき、1人でも多くの人に気持ちよく受け入れてもらえるように、トラブルにならないように、1人1人ができる限りの努力をしていきたいものです。そこで、今回は盲導犬ユーザーとしてのマナーについて考えてみました。長野市のユーザー加藤と樋口が日頃実践していることを、あると便利なグッズと共にご紹介します。また、一番大切な犬のコントロールについて、(財)アイメイト協会の歩行指導部長中野さんに原稿を寄せていただきました。ベテランユーザーのみなさんにとっては「当たり前」と思われることもあるかと思いますが、一つでも参考になれば幸いです。
文中に出てくるグッズやお店の紹介は、最後にまとめました。
まずは犬の手入れについてです。みなさんも毎日ブラッシングをされていることでしょう。どんなブラシを使い、どのようにブラッシングされているでしょうか。私たち(加藤&樋口)のブラッシング方法をご紹介してみます。
まずは、ラバーブラシをかけます。毛並みに逆らってごしごし…。次はファーミネーターです。ファーミネーターというのは、T字型のカミソリを大きくしたような形をしたコームです。毛並みに沿って軽くかけるだけで、アンダーコートが驚くほどとれるという優れもの。しかも、とれた毛はコームにまとまって付いていて飛び散りません。少々値は張りますが、半永久的に使えるということですし、ぜったいおすすめのグッズです。次に、両目櫛や蚤取り櫛のような目の細かいコームでとかします。最後に、お湯に浸して堅くしぼったタオルで全身を拭きます。こうすることで、ブラシをかけにくい手足や顔の細かい毛がとれてすっきりします。そのときに、お湯の中にオレンジエックスやハーバルオイルなどを少したらすと、ほのかに良い香りがして臭い対策にもなります。
特に冬場はブラッシングの際にぱちぱちと静電気が起きて嫌なもの。ブラシをかける前に犬の体にしゅしゅっとブラッシングスプレーをかけておくと、静電気防止効果があります。ブラッシングスプレーとして、「サンディーズ・ティーツリーケア」やバンガードの「マザーネイチャーグルーム潤(じゅん)」を使用していますが、ペットショップやホームセンターにいくと様々な商品が販売されています。安全で室の良いものを選んで使用するとよいと思います。ブラッシングスプレーを使用すると、静電気が起こりにくくなるだけでなく、毛の汚れが取れて体臭が軽減されたり、スプレーのほのかな香りがのこるので、これまた臭い対策になったりします。
それから、ブラッシングとは関係ありませんが、耳のお手入れもお忘れなく!
これで手入れはばっちり!!さあ、お出かけです。外出時、みなさんはパートナーにコートを着せていらっしゃいますか?犬のコート着用については賛否両論あると思います。着せなくてよいのなら着せたくはありませんが、少しでも毛を落とさないようにしたい医療機関やスーパー・レストランなどにいくときには、やはりコートを着せた方がよいのではないでしょうか。コートといっても、4本脚に袖が付いたもの・前足だけ袖があるもの・袖無しのベストなどいろいろなタイプがあります。行き先に応じて使い分けています。
コートの製作については、各出身協会ごとにボランティアの方がいらっしゃると思いますし、ハーネスの会にもボランティアさんがいらっしゃいます。また、ペットショップなどでも既製品を扱っています。
次に、外出時の持ち物についてです。タオルやビニール袋は必須ですね。でも、荷物はできるだけ少なくしたい…。というわけで、私たちのバッグの中身をご紹介します。
まずは足拭き。予定外によそのお宅に上がることになったり、外食しようと思ったら畳の部屋しか空いていなかった…なんていうこともあるので、足拭きは必ず携帯しましょう。雨の日の泥んこ脚はしっかりとタオルで拭く必要がありますが、お天気のよい日のちょっとしたお出かけなら、キッチンペーパーを何枚か折りたたんで持っていきます。ノンアルコールの携帯用ウェットティッシュも便利です(ペット用のウェットティッシュもあります)。そして、畳の部屋などに上がる際には、敷物をしきましょう。お出かけ用の敷物として、アイアンバロン(大型犬用の洋服や様々なグッズを扱っている店)で購入した「どこでもマット」や「防水タオル」を便利に使っています。どこでもマットはキルティング素材で犬の足跡模様付き。滑り止め加工もしてあります(洗濯を繰り返している間にこの加工はとれてしまうのですが)。防水タオルは表地がタオル地で、ウラにラバー加工がしてあるものです。板の間に敷いても滑らず、その上で水やフードを与えれば、防水加工になっているので床を濡らすことがありません。旅行のように荷物がかさばるときには、ペットシーツを持参して敷物代わりに使い、使い捨てにして旅先で処分してしまいます(ただし、かじり癖がある犬の場合には、シーツを破ると粉だらけになってしまうのでご注意を!)。ペットシーツの大きさもいろいろありますが、新聞紙見開き代のスーパーワイドサイズ以上のものがよいと思います。
敷物をたたむときには、表の面を内側にたたみ込み、その後ささっとお掃除します。(敷物をたたむときにはけっしてぱたぱたしないで、できるだけ毛を落とさないように)。その際に便利なのが粘着テープを巻いてあるローラーブラシです。ころころ転がすだけで簡単にお掃除できます。ローラーブラシにもいろいろな種類がありますが、100円ショップで売られているものが小さくてかさばらず便利です。また、ガムテープを小さく折りたたんで持っていくのもいいと思います。このお掃除をするのとしないのでは、お店の人の印象もずいぶん違うでしょう。
それから、外出先でパートナーが排泄をしたときのことを書いてみます。ワンツーベルト(トイレベルト)を使って排泄をさせる場合、ビニール袋に予めおしっこを固める薬(粉末でアラソープという名前)を入れておきます。するとおしっこがゼリー状に固まるので、可燃ゴミとして捨てることができます。次にうんちですが、とったうんちをトイレに流すまでの間とても臭くて…という経験はありませんか?うんちの入ったビニール袋を密閉容器にいれてみたり、茶筒にいれたり、ジッパーのついたフリージングバッグや湿布薬の袋に入れたり…、いろいろ試しました。今はとても便利なグッズがあります。巾着型になった消臭ポーチです。これに入れておけば匂わず、バッグの中にしまわなくても、バッグの外に出して持ち歩けますし、外から中身が見えることもありません。
いかがでしたか?ちょっとした心遣いで、パートナー共々気持ちよく受け入れてもらえるはず。もし参考になることがあればお試しください。そして、どんなに手入れが行き届いていたとしても、犬のコントロールができていなければトラブルの元になります。もう一度初心に戻って、犬のコントロールについても考えてみましょう。そこで、東京の(財)アイメイト協会で長年、歩行指導をされてきた中野薫さんからのメッセージです。
『犬のコントロールについて』
(財)アイメイト協会 歩行指導部長 中野薫
長野の加藤久美さんからの依頼があり、犬のコントロールについて書かなくてはならなくなってしまいました。今までにこのような物を書いたことがないので、歩行指導中ミーティングの中で生徒さんに話しているコントロールのことを中心に、また、卒業生との間でよく話題に上がることの中から、感じるままを書いてみることにしました。
盲導犬使用者の中にペットでなく、使役犬を使っているという自覚に欠けているのではないかと思われる人を、時々目にすることがあり、また、人から聞くことがあります。自分の犬が鳴いたり、ときには吠えることがあっても気にしなかったり、他の犬の臭いをかいでウロウロしているのを、気がついていても叱らない、中には犬が離れてしまっているのに、それが犬だから仕方がないと言い出す人がいるとも聞いたことがあります。
使用者が歩行の問題を解決するために、犬たちは多くの人々の手によって育てられ、そして訓練されました。犬達は使命を持ち、それぞれの使用者の方々と縁あって出会ったと思います。
確かに、犬と生活を共にすることによって、自分自身の生活だけでなく周りの人々の生活までにも良い変化をもたらした事でしょう。
しかし、それは使用者が自分自身の歩行の安全を、確保してはじめて継続できることです。可愛いといっては、犬のわがままを許して犬の言いなりになっていたのでは、決して安全な誘導はしません。安全な歩行をするためには、しつけの面を使用者本人が自覚しなければなりません。コントロールを継続して努めない限り、しっかりした誘導をしないだけでなく、社会的にも認められなくなり、真面目に取り組んでいる人にも迷惑がかかります。
犬をコントロールするには、自分の心もコントロールする必要があります。いつも、自分の心の状態を意識的に変える努力をすることが、犬達と良い関係を保つ上で大切なことと考えます。
もうひとつ忘れてならないことは、少し、しつけの話から離れますが盲導犬は、アクセサリーではないということです。
たくさんの人々によって育てられた盲導犬と歩くなら、単独で歩行出来るように、努力しなければ意味がないと思います。もちろん、目を借りなければならない時もあると思いますが、いずれにしても大切なことは、犬と共に自由に歩きたいという強い思いの、持ち方ではないでしょうか。(2007.10.12)
お店&グッズ紹介
レトリーバー専門生活雑貨SHOP「アイアンバロン」
http://www.retriever.org/
快適・健康わんライフ「アイアンバロン」inRAKUTEN
http://www.rakuten.ne.jp/gold/oyatsu/home.html
TEL:03-5752-7117
営業時間、11:00~19:00。火曜日・水曜日定休。電話注文可。10000円以上購入で送料無料。
アイアンバロンで扱っている商品
ファーミネーターブルーツール
価格:8800円(税込9240円)
サンディーズティーツリーケア
価格:2200円(税込2310円)
オレンジエックス
価格:2900円(税込3045円)
ハーバルオイル
価格:2000円(税込2100円)
不織布消臭クリーンバッグ
価格:800円(税込840円)
布製消臭マナー巾着
価格:1200円(税込1260円)
どこでもマット(S)
価格:4500円(税込4725円)
サイズ:90×73cm
防水タオル(L)
価格:2800円(税込2940円)
サイズ:90×65cm
※その他、大型犬用の洋服やレインコート・食器・ベッド・シャンプー・サブリメントなどなど、様々な商品を扱っています。
株式会社バンガードインターナショナルフーズ
http://www.webvif.com/webvif/9.5/
TEL:043-498-8410
営業時間、9:00~18:00(平日)10:00~16:00(土・日・祝祭日)
電話注文可。
バンガードで扱っている商品
マザーネイチャーグルーム潤*JUN
価格:3990円
※その他、オリジナルフード・サブリメント・シャンプーなどを扱っています。
ケンコーコム楽天支店
http://www.rakuten.co.jp/kenkocom/
TEL:0120-225566
携帯から:03-3584-4157
3000円以上購入で送料無料。
※ネットショップのドラッグストアです。ペット用品の品揃えも豊富で、ペットシーツ・シャンプー・ブラッシングスプレーなども取り扱っています。
おすすめグッズ
マナーとは関係ありませんが、私たちが使ってよかったと思えるグッズです。
犬用ベッド丸洗いベッド(エブリベッド)
楕円形に縁のついた形のベッド。季節に応じてボアの面・綿の面両方が使えます。洗濯機で丸洗いできて便利。アイアンバロンで取り扱っています。
素材:表:ボア(アクリル100%)裏:コットン100%
M:60×50cm
価格:3600円(税込3780円)
L:70×50cm
価格:4800円(税込5040円)
2L:80×53cm
価格:6000円(税込6300円)
3L:88×56cm
価格:7200円(税込7560円)
ハイドロボウル
防水ビニール製の携帯用ボウル。小さく折りたためるので、旅行に便利です。
アラソープ
おしっこの凝固剤。ベルトを使って排泄させるときあらかじめビニール袋の中に入れておくと、おしっこがゼリー状に固まるので可燃ごみとして捨てられます。
※各商品の詳細については、お店のサイトの商品詳細ページをご覧いただくか、お店に直接お問い合わせください。ハイドロボウルとアラソープの購入先については、長野市のユーザー加藤
habachan_968@yahoo.co.jp
にメールでお問い合わせいただくか、事務局まで電話でお問い合わせください。
《盲導犬ユーザーの近況報告》
今年初めて盲導犬ユーザーとなり、パートナーと歩き始めたお二人から近況報告が届きました。
はじめまして
上田市松尾寿美子
こんにちは。上田に住んでいます、松尾寿美子と申します。
この度、ようやく盲導犬「WING」を我が家に迎えることができました。WINGは、2005年11月5日生まれのラブラドールです。色は、イエローで濃い黄色、こんがりトースト色だそうです。日本ライトハウス大阪出身です。お調子者で甘えん坊ですが、元気いっぱいの女の子です。
WINGと私は、スーパー、銀行、郵便局といったありきたりの所にしか行きませんが、皆さんどこでもとても好意的なので助かります。WINGとの歩行もたまには迷ったりしますが、ほとんどの場合順調に歩いています。一人で歩くよりずっと楽になりました。
私は旅行が好きなので、これからはWINGと一緒に出掛けられるのが楽しみです。これから、WINGと二人三脚で頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
初めまして
長野市木暮恒男
初めまして、私は長野市に住んでいます木暮恒男と申します。アイメイトの名前は、チャールズです。3歳の雄のラブのイエローです。誕生日は9月3日でドラえもんと同じです。体重は26kgです。
私は今年の8月からアイメイトユーザーになりました。8月17日にハーネスの会と県福祉課との懇談会に参加させていただいたのが公式デビューとなりました。
チャールズは茅ヶ崎で育ち海が大好きだったそうです。それが何の巡り合わせか海なし県に来てしまいました。
今は、長野市の運動公園にお散歩に行くことが1番の楽しみになっています。私が言うと親ばかのようですが、なかなかのハンサムのようです。でも、若い女性を見かけるとふらふらと寄っていったり、通り過ぎた後も何度も振り返ったりするなどのプレイボーイぶりを発揮しています。私がけしかけているのではないかと誤解されそうで気恥ずかしい思いをしています(ひょっとしたら私の心を読みとった行動かも)。
こんなワンペアですが、これからお仲間としてどうぞよろしくお願いします。
《リタイヤ》
『丸子のジギー、安曇野で余生を』
上田市丸子の上原弘三さんのパートナー、ジギー(ゴールデンリトリーバー、雌13才)は盲導犬としての仕事を退き安曇野市の仁田妙子さんの家庭犬として余生を送ることになりました。ジギーはニュージーランドで生まれ、盲導犬としての訓練を受けた後3才まで現地の女性のパートナーを務めました。悲運にも急に主人が亡くなり、再び盲導犬協会を経て大阪の日本ライトハウス行動訓練所に迎えられました。日本の道路事情や住宅環境に慣れながら盲導犬として再訓練を受け、上原さんと出会いました。上原さんは果樹園経営を中心とする専業農家。ジギーは果樹園内や畑へ主人を誘導する日本ではユニークな盲導犬として仕事に励みました。上原さんとの生活も10年近くになり最近では白内障が進み狭い場所や段差を安全に誘導することが困難になってきたようです。
リタイヤ後のジギーを迎える仁田家は引退犬飼育は2頭目。ジギーは既に10月中旬から安曇野で新しい生活を始めています。穏やかでゆったりとした余生を送って欲しいと思います。
《レクイエム》
『リタイヤ犬大助逝く』
上田市の清水栄さん宅で飼育されていたリタイヤ犬の大助が10月12日(金)に永眠しました。15才6ヶ月の犬生でした。大助は横浜の日本盲導犬協会出身のラブラドールで、盲導犬としての現役時代は山梨県内で男性主人とパートナーを組み10年近く仕事に励みました。
清水さんの家庭に迎えられたのは3年前のこと。大助は清水さんにとっては8頭目のリタイヤ犬になりました。心臓病を患っており療養をしながらの余生でした。亡くなる前日には元の主人との面会を果たし、最期は眠るように逝ったとのことです。
お疲れ様、大助!ありがとう。
《事務局から》
『疾病治療費報告(申請)をして下さい』
本年度は会員の盲導犬使用者および引退犬飼育者が支払った「疾病治療費」の半額をハーネス基金から補助することになりました(総会決定)。疾病治療費の金額の大小に関わらず支払った額の半分を補助するものです。
遅くなりましたが盲導犬使用者と引退犬飼育者に対して申請用紙(疾病治療報告書)をお送りしました。
2007年4月1日から2008年3月31日までの間に支払われた疾病治療費が対照となります。但し、フィラリア予防薬、混合ワクチン接種代は対照となりません。また、引退犬で盲導犬協会から医療費を受けている場合も対照には含まれません。
ハーネスの会で用意した「疾病治療報告書を動物病院に持参し、受診日、受診概要、治療費の金額などを記入してもらい証明を受けて下さい。また、受診概要の分かるレセプトを報告書の裏面に添付するだけでも結構です。
申請する際は事務局宛の返信用封筒を同封しますのでそれをご利用下さい。
ハーネス基金の医療費助成事業を推進させるためにも、是非、疾病治療費補助の申請をして下さい。
『2007年度会費の納入について再度お願い』
本年度の会費を未だ納入されていない方はお振り込みをお願いします。改めて振り込み用紙を送らせていただきました。年額2000円を郵便局でお振り込み下さい。送金手数料は本会が負担します。
手違いで既にお振り込みしていただいた方に用紙が同封されていた場合にはお詫び申し上げます。破棄して下さい。
よろしくお願いします。
《会員の声》
『8月から今月までに寄せられた会員のメッセージ』
◇法案の先送りの報告を読み、心が痛みました。
何よりも先にこのような法案を審議成立させ、住みよい社会にしていく、それが政治では
ないでしょうか。一日も早い成立を願っております。(千曲市 古内さん)
◇役員の皆様、ご苦労様です。(岡谷市 飯嶌さん)
◇涼しい信州にも例年に無い猛暑が続いて居ります。原会長様はじめ事務局の皆々様、本当にご苦労様です。「ハーネスながの」を読ませていただきました。たくさんの楽しみ、喜び又思いがけない悲しみ、いろいろありましたね。どうぞ暑さに負けず、頑張って下さい。(長野市 多田さん)
◇この会がもっと発展して、盲導犬が安心して生活できますようにと切に願っております。(松本市 三村さん)
◇ハーネスの会の発展を心からお祈り致しております。(諏訪市 伊藤さん)
◇この夏の殊の外の猛暑で、皆様如何お過ごしですか。盲導犬さんにとっては寒さより、この暑さがこたえるのではないかと心配しております。早く涼しくなってほしいですね。「ハーネスながの」いつもありがとうございます。いつも心待ちにして見ています。
引退されたゼーダーちゃん、ゼノビアちゃん他本当に長い事ご苦労様でした。これからはゆっくりとのんびり生活していると思います。そこにいたるまでのユーザーさんの心情を思うと頭が下がります。北沢さんのところにもビルボちゃんが来て、丸山さんのところにもラピート君が来て、陰ながら応援しています。
キャロッタちゃん、お悔やみ申し上げます。(松本市 市橋さん)
◇「ハーネスながの」いつも楽しみに読ませていただいています。ほんの少しですが、残りの分は何かにお役立て下さい。皆様のお働きに感謝しております。(佐久市 黒澤さん)
◇ハーネスの会、会長様はじめ編集なさって下さる皆様方、猛暑の今年は本当に大変ご苦労様でございました。会報でいろいろお知らせを頂き、参加できぬ私は盲導犬の活躍がよくわかり、又悲しい事もありますがどうか無事に元気で活躍してくれる事を心から祈っております。私も飼い犬が17才今は介護の日々で大変さを痛感しております。お体を大切に御活躍下さい。(生坂村 宮澤さん)
◇西山さんのパートナー・キャロッタちゃんが亡くなった記事を読み、悲しい気持ちでいっぱいです。でも西山さんは本当に辛く切ないと思います。でも3年間西山さんといつも側にいられたキャロッタは幸せだったと思います。早く元気になって下さいね。(上田市 横関さん)
◇皆様お元気でお過ごし下さい。(松本市 鈴木さん)
◇ご発展をお祈りします。(松本市 今村さん)
《編集後記》
「ハーネスながの26号」いかがでしたか?今回は、長野市のユーザー加藤と樋口が編集を担当しました。
前回の会報を皆様のお手元にお届けした頃には大変な猛暑で、人も犬もすっかりまいっていました。残暑も厳しかったけれど、信州の秋はあっという間に深まり、今年も残すところ1ヶ月足らずとなってしまいました。パートナーと歩くにはとても良い季節です。雪が積もるようになる前に、晩秋・初冬を楽しみながらたくさん出かけたいですね。それでは、次号27号をお楽しみに!(加藤)

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