【会報】ハーネスながの第25号


ハーネスながの 2007年 8月 第25号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3  TEL・FAX(0263)46-9611 
第25号 目次
《報告》
 『2007年度長野ハーネスの会総会終わる』
《現状報告》
 『身体障害者補助犬法改正法案の臨時国会への先送りについて』
《ユーザー・盲導犬近況》
  デビュー 『新たに2名の方が盲導犬ユーザーに』
  レクイエム 『キャロッタ急逝する』
  リタイア犬 『ゼノビアとの生活』
《募集》
 『リタイア犬飼育家庭を捜しています』
《お知らせ》
 『県福祉課・ハーネスの会懇談会に多くの会員のご参加を』
 『この秋、風林火山の山梨へ』
 『あやこ&セルシア さわやかコンサート』
《事務局より》
 『感謝録』
 『2007年度会費納入のお願い』
《編集後記》
《報告》
『2007年度長野ハーネスの会総会終わる』
運営委員会
本年度の長野県ハーネスの会総会は6月10日(日)、松本市の国際コンピュータビジネス専門学校で行われました。出席会員は15名。06年度の取り組みおよび会計報告、07年度の取り組み案と一般およびハーネス基金予算案の審議と承認が行われました。また、役員改選では、これまでの運営委員7名がそのまま再任されました。
1.総会で承認された07年度の主な取り組み
(1) 研修・交流行事を行う。
ア.6月10日(日) 「犬の毛の手入れのポイント」についての講義と実技講習。
イ.10月7日(日)、9日(日) 山梨・長野ハーネス交流会、1泊2日、甲府市。
ウ.会員による地域ミニ交流を活発にする。
(2) 盲導犬使用の現状と諸課題について県障害福祉課と懇談会を持つ。
(3) ハーネス基金による現役盲導犬と引退犬の支援を充実させる。
ア.疾病治療に要した医療費の半額をハーネス基金から助成する。
但し、07年4月1日~08年3月31日までの間に支払った医療費が対象。
イ.健康管理助成金として1頭5,000円を贈る。
ウ.犬が死亡した場合は見舞金として5,000円を贈る。
(4) 盲導犬使用に関わる県内外の情報を発信する。
ア.会報“ハーネスながの”を年3回発行する。
イ.HPを充実させる。
2.再任された運営委員の紹介
原哲夫(会長) 前野弘美(副会長)池田康子(会報編集) 伊藤正幸(医療)
宇田真理絵(ハーネス基金・医療)田中安子(事務局会計)
丸山訓代(研修・グッズ) 斎藤美枝(会計監査)
《現状報告》
『身体障害者補助犬法改正法案の臨時国会への先送りについて』(報告)
身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会
会長 竹前栄治
署名活動など、皆様のご協力のお陰で、補助犬法・改正法案がまとめられ、5月24日に開かれた補助犬議連・総会で承認され、委員長提案により、今国会(第166回通常国会)中の成立を目指すこととなりました。
その後、各党の党内手続きが行われ、衆参の厚生労働委員会、本会議で審議・可決されれば全会一致で成立するところまで来ていました。
しかし、社会保険庁、年金などの問題により、国会が空転し、委員会や本会議が開催されない状態が続きました。
補改使連としては、補助犬議連、衆参の厚生労働委員の先生方への働きかけを続け、先生方の事務所へも直接にお願いに回りました。
会期が延長されたので、なんとか成立するのではという期待があったのですが、与野党の調整がつかず、衆議院の厚生労働委員会は、6月23日以降、閉会日(7月5日)まで開催されることはありませんでした。
6月末には、補改使連メンバーで、補助犬議連をはじめ、衆参の厚生労働委員の先生方の事務所を訪問し、「与野党対立の重要法案が強行採決されて成立し、超党派で合意している補助犬法・改正法案が今国会で実現しないのは、当事者の立場からすると納得できない」とお願いしたのですが、「その通りなのですが、厚生労働委員会・本会議などの開催等は、国会対策委員会や議院運営委員会で決めるのでどうにもならない」との回答で、今国会での成立を諦めるしかありませんでした。
この訪問の際、補改使連から補助犬議連へ「次の臨時国会の早い時期に提出し、成立させてください」と要望し、「首相の所信表明、補正予算の審議が終ったら、直ぐに提出する」との回答を得ています。
そのとおりになれば、10月末頃になるかと思いますが、次の臨時国会こそは、早期に成立するよう頑張りますので、よろしくお願いします。
〈解説〉
改正案のポイントは、次の2点。
1.障害者雇用義務のある事業所などは職場への補助犬同伴を拒んではならない。
2.都道府県などは補助犬受け入れに関わる苦情や相談に応じ、助言・指導する。
《ユーザー・盲導犬近況》
デビュー『新たに2名の方が盲導犬ユーザーに』
07年3月から5月にかけて2名の方が初めて盲導犬使用者としての生活をスタートさせました。ここに簡単に紹介します。
 ”西村安寿香さんとベン”
伊那市の西村安寿香(あすか)さんは3月下旬から盲導犬との歩行を始めました。パートナーの名前はベン、満2才(3月現在)の雄で、イエローのラブラドール。出身は横浜の日本盲導犬協会です。体重が31㎏と大型犬らしく、性格もどっしりと構えているようですが、やんちゃなところもあるとのことです。
西村さんは学生時代に友人が盲導犬を使用している姿を身近に接していて、自分も将来盲導犬と歩きたいと思ったそうです。実際にベンと生活するようになり、犬の優しさと愛らしさを実感しているようです。また、実際の歩行でも白杖歩行に比べてずっと楽に、しかも歩行範囲がぐーんと広がったと話しています。
 ”松尾寿美子さんとウィング”
上田市に住む松尾寿美子さんは5月に共同訓練を受け、パートナーのウィングと歩き始めました。ウィングはラブラドールの雌でイエロー。年齢は、この11月に満2才になります。体重はおよそ25㎏とやや小ぶりで、性格はお茶目な面もあるそうです。出身は大阪の日本ライトハウス行動訓練所です。
松尾さんは盲導犬と歩くようになってから周りの人たちが話しかけてくることが多くなったと言います。同様の体験は他のユーザーからもよく聞くことです。松尾さんは、これからパートナーと一緒にどんな出会いが待っているのか楽しみだと話していました。
レクイエム 『キャロッタ急逝す』
下諏訪町の西山英俊さんのパートナー、キャロッタが7月3日(月)の朝、亡くなりました。急な死でした。
前日の夕方、散歩から帰ると普段より少し呼吸が荒く感じたとのことですが、食欲もあり、それ以上の心配はしなかったそうです。翌朝の排便も通常で食欲もしっかりしていたそうです。しかし、西山さんは念のため主治医に診てもらうことにし、家族の車で動物病院に向かいました。車にもいつものように乗り込んだとのことです。
動物病院で診察を受けるため体温計を入れようとしたとき、急に崩れるように倒れ込み、診察台に上げられたときには、体温の温もりはあるものの心臓は止まっていたとのことでした。
その後、手術が行われ、心臓と肺に水が溜っていることが分かりました。
キャロッタは5才の雄、黒のラブラドールで東京のアイメイト協会の出身。西山さんにとっては3頭目のパートナーで、およそ3年間共に歩いてきました。
キャロッタを突然失った西山さんのショックと落胆を思うと慰めることばもありません。謹んでお悔やみを申し上げるとともに、改めてキャロッタの生前の働きに感謝したいと思います。
リタイア犬 『ゼノビアとの生活』
松本市  宇田 真理絵
昨年(2006年)7月に、丸山訓代さんのパートナーだったゼノビアが我が家の一員となりました。ゼノビアをお預かりしたことはそれまでに何度かありましたが、丸山家を発つ日のゼノビアは、何もかもわかっているような顔をして、お預かりの時とは明らかに違う表情で私の車に乗り込んできました。改めて犬の理解力、表情の豊かさに感心しました。我が家に着くと、顔見知り先住犬2頭に軽く挨拶し、とても自然に居間に寝転がりました。先住犬もまるでゼノビアが寝ているのが日常のことのように受け入れていました。
引き取ってすぐの頃、両後肢の跛行がひどく、お散歩は休み休みでした。しばらくすると負担のかかっていた右前肢もうまく動かなくなり、朝起きるとバタバタもがき、起立することすら困難になってきたので、歩行用の補助バンドを使用して歩かせ、いろいろな治療や投薬、マッサージを行い、無理はできませんがどうにか日常生活は送れるまでに戻りました。自宅の階段の昇降は厳しいので、私の寝室を一階に移動し、犬3頭、猫、うさぎ、フェレットと一緒に眠る楽しい毎日です。
平日は私の職場である国際コンピュータビジネス専門学校ペットビジネス学科に他の2頭と共にゼノビアも出勤しており、広いロビーや実習室で、他の教師の連れてくるたくさんの犬友達と一緒にのんびりと過ごしています。ゼノビアのなによりの楽しみは、動物看護師やトリマーを目指すやさしく温かい学生達と触れ合うことで、大勢に囲まれて、大変ご機嫌な毎日です。
11才で「しらが」も目だってきましたし、歩行もいまひとつですが、いつも笑っているような幸せそうな表情を見ていると、こちらも心が凪いできます。学生にとっても、私にとっても、ゼノビアはなくてはならない存在になっています。
ゼノビアは盲導犬としてしっかりと役目を終え、そして今度は学生の心を育てる役目を担ってくれています。穏やかで充実した日々を送れるように、パートナーとして、獣医として、ゼノビアを守っていきたいと思っています。
《募 集》
『リタイヤ犬飼育家庭を捜しています』
運営委員会
県内で視覚障害者とともに歩いている盲導犬が近く仕事の一線から退きます。使用者は、できれば県内の家庭でペットとして余生を送って欲しいと希望しており、本会でもリタイヤ犬飼育家庭捜しに協力することになりました。
会員のご家庭で関心のある方はご連絡下さい。また、周囲の方や理解あるお知り合いにも、ご紹介していただければうれしいです。
リタイヤ犬飼育家庭では、犬がペットとして安心して穏やかに過ごせるようにお願いします。
リタイヤ後の飼育と健康管理に要する費用(食餌費や医療費など)は全てリタイヤ犬飼育家庭が負担していただくことになります。
〈引退を予定している盲導犬の紹介〉
犬種:ゴールデンリトリーバー、♂♀:雄 犬齢:13才 体重:38㎏
現在の健康状態は良好で、特に治療を行っている疾病はありません。
これまでも大きな疾病などの病歴はありません。
詳細についてのお問い合わせは、事務局にお願いします。
《お知らせ》
『県障害福祉課・ハーネスの会懇談会に多くの会員のご参加を』
本会ではかねてより、「県内における盲導犬使用の現状と諸課題」について理解を深めていただくため、県の障害福祉課との懇談会を持つことを希望していました。総会の決定を受けて県に対して申し込みをしたところ、前向きに受け止めていただき、下記のように開催することになりました。
できるだけ多くの盲導犬使用者や会員の方に出席していただき、日頃の盲導犬との生活や周囲との関係で感じていることなど、更には県への要望があれば生の声を伝えていただきたいと思います。
運営委員会では、懇談会内容に関わる県への意見と要望を整理するために盲導犬使用者へのアンケート調査を電話と電子メールで行い、現在その結果を集約しているところです。
〈日時〉
8月17日(金)午後1時30分~3時30分
参加者集合:12時50分 
(懇談会会場)
長野県庁 議会棟405号会議室
〈懇談内容〉
(1)県の補助犬貸与事業の進め方について
(2)補助犬使用に伴うトラブル事象への県障害福祉課の対応について
(3)補助犬の健康管理に関わる公的支援について
(4)障害福祉課の「県内における補助犬使用実態」の把握について
(5)その他
〈出席者〉
社会部 障害福祉課長 寺沢博文 氏
障害福祉課課長補佐兼在宅支援係長 西村卓也 氏
障害福祉課在宅支援係主査 横山浩明 氏
障害福祉課在宅支援係主任 大日方明実 氏
衛生部 食品・生活衛生課企画員 松沢寿次 氏
懇談会に出席していただける会員は8月11日(土)までに事務局までご連絡下さい。
その際、県庁までどのような交通手段で来られるか、また、ご自身の携帯電話番号もお伝え下さい。
尚、出席される全員の使用者に自己紹介を兼ねて自らの盲導犬との生活や体験の一端を1人2分以内で話していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
『この秋、風林火山の山梨へ』
運営委員会
長野・山梨両県のハーネス交流会が10月に1泊2日の日程で甲府市で行われます。
NHKの大河ドラマの風林火山で人気がある山梨県でもあり、この機会にみなさん一緒に甲斐地を歩いてみませんか。
観光シーズン最盛期の連休中ということで、ホテルは宿泊費がかなり高額となるため、山梨ハーネス友の会が、いろいろと探してくれました。その結果、石和温泉の保養施設で実施する事となりました。障害のある人も安心して利用できる施設ということで、しかも料金も格安で、風呂は温泉です。
今回は山梨ハーネス友の会が企画し長野県より伺います。多くの皆さんの参加を、是非お願いいたします。
期日: 平成19年10月7日(日)・8日(月)
場所: 甲府市
参加: 長野県ハーネスの会会員とそのサポーター、山梨ハーネス友の会会員とそのサポーター
宿泊: 山梨県石和温泉 保養施設(温泉)
費用: 宿泊および懇親会参加費、およそ8,000円
他に現地までの交通費が必要です。
参加申し込み締め切り: 9月20日(木)
申込先: 前野、または事務局
〈概要〉
●10月7日(日)午後  舞鶴城見学
つかまり隊(ボランティアグループ)の案内。班に分かれて行動。
●宿泊研修 山梨県石和温泉 保養施設
・懇親食事会など
●10月8日(月)午前
・武田神社参拝、遊歩道散策
・県民情報プラザ風林火山博を見学、買い物
●昼食後解散。
〈お問い合わせ〉 副会長の前野まで
『あやこ&セルシアさわやかコンサート』
盲導犬ユーザーのソプラノ歌手、大石亜矢子さんのコンサートが下記のように開催されます。
まだまだ残暑が続く8月末の夕暮れ時、さわやかな歌声を聴きに出かけてみませんか?
〈と き〉
8月30日(木)
開場 18:30
開演 19:00~
〈ところ〉
あがたの森文化会館講堂
〈入場料)
おとな: 1000円
高校生: 500円
中学生以下 無料
〈主 催)
大石亜矢子コンサート実行委員会
〈出演者略歴〉
“大石亜矢子” ソプラノ歌手
静岡県沼津市出身、武蔵野音楽大学声楽科卒業
1998年 武蔵野音大 静岡県東部新人演奏会出演
1999年 第1回コンサートを静岡県裾野市市民文化センターにて開催
2001年 国際芸術連盟オーディション合格
2002年 第2回コンサートを沼津市ギャラリー「レマーニ」にて開催
     オリジナルCD「My Letter」制作
2003年 第3回コンサートを韮山時代劇場にて開催
     現在 セロシア(盲導犬)と活躍中
“大石 セロシア”
2005年 10月28日生まれ
2007年 (財)アイメイト協会(東京の盲導犬協会)卒業
     アイメイト協会が50年間に育成した
     1000頭目の盲導犬。
《事務局より》
『感謝録』
 昨年(2006年)度も大勢の会員および地域の皆様に支えていただき、無事に一年間活動ができましたことを感謝申し上げます。
会費の他にご寄付いただきました会員のお名前を報告させていただきます。
小田道子様 北澤とも江様 滝沢ケサミ様 中沢医様 井川さゆり様 市橋利子様
伊藤正幸様 奥原泰子様 金井修司様 倉石千枝子様 小池フミ子様
小林房江様 小山尚子様 近藤順子様 篠崎由起子・芽以様
清水純子様 杉本宣子様 多田艶子様 田中淑子様 茅野永伯様
轟輝子様 橋本英昭様 原智彦様 古内みづほ様 三村惇子様
宮澤藤貴子様 甕健子・正幸・奉邦・秀行様 山口宰四郎・裕子様
弓田渉・香織様 横関恭子・昌子・良子様 渡辺実香様
また、非会員の上田市ボランティア連絡協議会様より5万円のご寄付をいただきました。
本当にありがとうございました。
尚、ご寄付の合計は、129,000円となりました。
『2007年度会費納入のお願い』
本年度の年会費2,000円を同封の振り込み用紙を使ってご送金下さい。
2,000円の内、1,000円は会運営費(一般会計)に、1,000円は盲導犬および引退犬の健康支援(ハーネス基金会計)として使わせていただきます。
できましたら8月中にご送金いただければ幸いです。
(会計:田中安子)
《編集後記》
梅雨明けが8月にずれ込んだ今年の夏。ようやく夏がやってきました。それにしても、毎年ながらの九州地方の豪雨や新潟中越沖地震による被災。自然災害の恐ろしさを改めて感じています。
さて、盲導犬ユーザーの皆様には、県障害福祉課との懇談会に向けてのアンケート調査にご協力いただき有り難うございました。8月17日の懇談会には、多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。
向暑のみぎり、身体には十分に気をつけて、元気に過ごしましょう。(池田)
(編集係 原)

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