ハーネスながの 2005年 8月 第19号
発行:長野県ハーネスの会 会長 原 哲夫
〒390-0304 松本市大村492-3 TEL・FAX(0263)46-9611
第19号 目次
《総会報告》 『2005年度総会終わる』
《総会寸描》
《コメンタリー19》 『県動物愛護センターの補助犬支援事業への期待と問題点』
《リポート》 『身体障害者補助犬ユーザーのための研修会に参加して』
《シリーズ=ベストパートナー5》 『ゼーダーといつも一緒に』 (1)
《盲導犬ミニ知識5》 盲導犬誕生編(1)
《デビュー》 『広沢さん、新しいパートナーと歩き出す』
《レクイエム》 『さよなら、キュート』
《訪問取材》 『“ハーネスながの”第20号記念特別企画のお知らせとお願い』
《事務局》
《編集後記》
《総会報告》
『2005年度総会終わる』
本年度の長野県ハーネスの会総会と研修交流会は、6月19日(日)午後から松本市元町ふくふくらいずボランティアルームで会員20名の出席をいただいて行なわれました。
総会では、2004年度の取組と会計決算報告、会計監査報告が承認された後、本年度の取組と予算案、新役員の承認が行なわれました。その主なものを紹介します。
尚、2004年度の諸会計決算報告については、別紙の「2004年度会計決算報告書」をご覧下さい。
〔2005年度取組について〕
1.長野県動物愛護センターの補助犬支援事業への対応
(1)動物愛護センターが補助犬健康支援事業を始めたことを前向きに受け止める。
(2)動物愛護センターの補助犬支援事業についての考え方や具体的な内容について、知る。
(3)補助犬健康支援事業についての意識と要望について、盲導犬使用者(ハーネスの会会員)に対して調査を行なう。
(4)調査の結果をふまえて県の関係部署に要望を行なう。
2.ハーネス基金を運営し、盲導犬と引退犬の健康支援をする。
(1)健康管理費支援として、1頭当たり5000円を助成する。
(2)年間4万円を超える病気治療費に対して、超えた分の2分の1を助成する。
3.研修交流会について
(1)長野市または北信地区で行なう。
(2)ネイチャーフィーリング自然探索会と合同で計画する。
4.ハーネスの会の組織のあり方について研究をする。
(1)特定非営利組織(NPO)にした場合のメリットとデメリットについて研究する。
(2)検討結果を会報で公表する。
5.インターネット・ホームページの内容を充実させる。
(1)HPドメインを“harness-nagano”に変更して独立させる。
(2)古くなった内容を刷新する。
(3)会報の電子メイル配信を進める。
6.会報“ハーネスながの”を年間3~4回発行する。
7.盲導犬用コート類とグッズを製作販売する。
盲導犬用コート トイレベルト 敷物 盲導犬マスコット など
〔2005年度予算〕
本年度は年会費2000円、会員数170名で予算を組んでいます。年会費2000円の内、会運営のための一般会計に1000円、盲導犬と引退犬の健康管理や医療費助成のためのハーネス基金会計に1000円を充てています。
〈一般会計〉 収入は、合計46万946円を見込んでいます。内訳は、会費から17万円、前年度繰越金として26万9046円です。
一方、支出としては、事務費3万円、通信費6万円、印刷費4万円、県支援事業対策費3万円、総会費3万円、ホームページのドメイン変更費2万円、役員交通費2万円などを計上しています。
〈ハーネス基金会計〉 収入として、合計387万7269円を見込んでいます。内訳は会費から17万円と前年度繰越金370万7269円です。
支出は、32頭の盲導犬および引退犬の健康管理助成金16万円と高額疾病治療費への支援として20万円を計上しています。犬頭数の変動や疾病治療費支援の申し込み件数によって支出額は変わります。
〔2005年~2006年度役員紹介〕
長野県ハーネスの会第4期(05年~06年度)の役員として次の方々が承認されましたので紹介します。任期は05年6月19日から07年度本会総会日までです。
会員の皆様のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
運営委員 池田康子 伊藤正幸 清水 栄 清水順子 田中安子
原 哲夫 前野弘美 丸山訓代
会計監査 斉藤美枝
(会長)原 哲夫 (副会長)前野弘美 (事務局・会計)田中安子
《総会寸描》
穏やかな日曜日の昼下がり、会場の松本市の「ふくふくらいず」3階ボランティアルームには、会員20名と8頭の盲導犬、1頭の引退犬の皆さんが集まりました。部屋に入ったワンちゃんたちは、久しぶりに会った仲間が気になるのか、それぞれに鼻先を合わせてクンクンとしばしの挨拶。その後は、席についたユーザーの足下に静かに伏せて総会が始まりました。
第1部の平成17年度活動方針案の審議では、「長野県動物愛護センターの補助犬健康支援事業」に対する意見が多く出され、突然の支援事業に戸惑うユーザーの心情が浮き彫りにされました。今後は、支援事業に盲導犬ユーザーの意見や要望が反映されるよう、ハーネスの会としても要請活動を行っていくことが確認されました。
第2部の交流研修会では、長年に渡って引退犬の飼育を行っている上田市の清水さんや引退犬マックスとその飼育者の茅野さんご夫妻を交え、「パートナーの引退とその後の飼育」というテーマで交流研修会を行いました。
飼育者の茅野さんご夫妻の引退盲導犬の飼育に至るまでのいきさつ、生活の様子をお話ししていただいた後、参会者による自由な意見交換がなされました。
「離れるのがイヤでつい引退を先のばしにしてしまった」という経験談から、引退時期については早めの判断、タイミングが肝心であること。「犬は人間が考えるよりずっとわきまえていて、順応性がある」「犬にとってどうしたらいいかを一番に考えることが大事」など、体験をもとにした意見が多く出されました。また、引退犬の引受先については、「飼い主の状況をよく知っている動物病院の先生に橋渡しをお願いしたらスムーズに進むのではないか」というアイディアも出され、身近なところで信頼できる飼育者を探すことができるよう、ハーネスの会としても輪を広げる活動をしていく必要があるのではないかという意見でまとめられました。
このほか、ユーザーが入院したり、海外に旅行に行ったりするときに盲導犬をどうしているかなどの情報交換もなされ、和やかな中にも有意義な交流会となりました。
《コメンタリー19》
『県動物愛護センターの補助犬支援事業への期待と問題点』
松本市 原 哲夫
6月始めのことだが、小諸市にある県動物愛護センター“ハローアニマル”から県内の盲導犬(補助犬)使用者に対して、「補助犬ユーザー支援定期健康診断等の実施について」という通知とそれを希望するかを問うアンケートが送られてきた。この通知には盲導犬使用者の多くは少なからず戸惑いを感じたことだろう。それは、これまで使用者団体(長野県ハーネスの会)としても、また個々の使用者もその種の支援の要望を県に対して行なったことがなく、かなり唐突に感じたからである。更に、県動物愛護センター“ハローアニマル”なる機関についても全く知らない使用者もいたほどであったからである。
支援事業の内容は、健康診断に関わる触診、検便、血液検査と身体障害者補助犬法で定められた混合ワクチンの接種、そしてリタイヤした高齢犬のホスピスケア(老犬ホーム)、等である。
県の事業として盲導犬をはじめとする補助犬の健康支援をスタートさせてくれることは歓迎すべきことである。更に、盲導犬という仕事を退いたリタイヤ犬に対しても支援の一歩を踏み出したことは画期的なことだと思う。
しかし、不明な点や問題点もある。それは定期健康診断をどの程度またどのように実施するかということである。県内の盲導犬使用者は南は上伊那から北は須坂市と広い地域に点在している。健康診断にしてもワクチン接種にしても個々の自宅への訪問支援が必要になる。県東の小諸市から県内各地の使用者のところへの支援がどの程度までしてもらえるのか未だ見えてこない。また、居住する地域の広域性に加えて使用者の健康支援に対するニーズも多用である。都市部に住んでいる使用者の中には動物愛護センターの支援事業には関心の薄い人もいる。一方、獣医師のいない地域に住んでいる使用者は訪問支援に大きな期待を持っているようだ。更にこのような定期健康診断を有効に活かすためには日常的にケアを受けている地元の獣医師との連携も必要になると思う。
この事業が真に補助犬の健康管理に成果を上げ使用者の支援に繋がるかは多用な使用者の要望に応じたサービスがどこまで実施できるかにかかっている。県動物センターの都合を優先させるような進め方ではなく、使用者の要望を聴きながら支援事業を進めてくれることを切に願うものである。
《リポート》
『身体障害者補助犬ユーザーのための研修会に参加して』
前野弘美
身体障害者補助犬法が施行されて3年目となる本年は補助犬の使用者にとって大事な年となります。その様な折、長野県の主催で研修会が開催されました。参加した感想などをご報告致します。
4月30日に小諸にあります「ハローアニマル」にて9時45分より16時30分まで昼食を挟むだけで、みっちりと研修のプログラムが実施されました。
補助犬の使用者の為の研修会を県が実施する事は国内でも初めてではないでしょうか、初夏の好天の信州へ県外からも多くの方が参加しておられました。
障害のある人の社会参加を支える為に、良質な補助犬が社会に正しく理解され、受け入れられ、その働きが常に最良であるように、使用者、育成団体、行政がそれぞれ果たす役割を明確にして責任を果たして行くことが大切に思われます。そんな事を思いながら講演や対談を聞いてまいりました。
研修の表題としては次の様なものがありました。
①長野県における補助犬への支援について
大木正行氏 長野県衛生部食品環境課
②対談 補助犬ユーザーのために「自己選択」「自己決定」の重要性
成瀬正次氏 全国脊髄損傷者連合会副理事長
池田純氏 長野障害者自立支援センター「マイ・ステップ」所長
③補助犬ユーザーへの「自律」と「オーナーによる追加訓練」の可能性
ボニー・バーゲン教育学博士
④対談 身体障害者補助犬法と障害者差別撤廃法
吉田真澄氏 帯広畜産大学教授
竹前栄治氏 東京経済大学名誉教授、法学博士、
身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会会長
⑤補助犬の医療 どこにでも一緒に入る補助犬だからこその医療検査と、長く一緒にいたいからこその予防医学
柴内裕子氏 赤坂動物病院院長、(社)日本動物病院福祉協会・HAB(Human Animal Bond)常任アドバイザー、(福)日本聴導犬協会監事
講師陣にすばらしい方々がお名前を並べたプログラムに驚き! 内容も濃かったと思います。
長野県は補助犬のユーザーの支援をハローアニマルを中心として提供して行くことを考えているとのことでした。構想では各地域へ出かけて補助犬の健康診断などを無償で行うなどが挙げられていました。今後の支援のあり方などに関してアンケートを実施してその方向を決めてゆくことになるのではないでしょうか。
「自己選択」「自己決定」と題した対談では使用者の意志が大切であり、意思表示をしないでいるといつまでも待たされてしまうこともあるということが言われていました。長野県では盲導犬を始めとした補助犬の育成団体の選択は使用者に任されています。他県にもこの様な形で当事者の意志が少しでも反映できる形になって欲しいと思います。
ボニー・バーゲン教育学博士の講演では犬の可能性に関しての新しい研究が披露されました。文字や絵を書いた紙を見せることで犬がそれに対応した行動をするものです。犬の能力はまだまだ解明されない部分があるようです。それは今後の可能性を大きくしてくれそうでした。ユーザーが必要に応じて訓練をする、自身の身体状況など変化に合わせ追加の訓練が出来ることは使用者にとって安心にも繋がりそうだと思いました。
補助犬法に関する対談では海外の状況、現在の日本の状況、補助犬法の構造などが説明されました。
補助犬の健康管理に関しての話では予防の大切さと補助犬の使用者の果たす役割について話され、犬を清潔にそして健康に管理していれば人に害を及ぼすような病気などはまずないとのことでした。補助犬の使用者がそれを実践して社会に更なる理解を広めて行けることが望ましいと感じました。
多くの内容になかなかまとめは難しいのでさわりと感想を書きました。研修内容は墨字媒体の「補助犬研究」Vol.2(日本補助犬研究所発行)と、CD、どちらも1500円(送料300円)で販売されます。関心がある方は以下に問い合わせて下さい。
社会福祉法人 日本聴導犬協会
電話:0265-85-4615 Fax:0265-85-5088
E-mail : inf@hearingdog.or.jp
以上です。
《シリーズ:ベストパートナー5》
『ゼーダーといつも一緒に』
岡谷市 北沢 とも江
犬は人間をはるかに超える聴力の持ち主だそうです。 また、大きな音を調節する機能も持ち合わせているようです。それでも、ゼーダーと一緒に出かけている時、突然の大きな音に思わず自分の耳ではなく、ゼーダーの耳をふさいでしまったこともあります。
日本盲導犬協会で合宿訓練を受けていた時、こんな説明を受けました。盲導犬たちは子犬のとき、部屋の中でおもちゃで遊ばせながら、テープに吹き込んだ様々な音を聴かせ、音に慣れさせておくのだそうです。雷や、花火、工事の音、楽器、飛行機の爆音等、騒音と思われる音に慣れさせておくことで、人間と外を歩いているときに、音におびえて、暴れたり吠えたりしないようになっていくそうです。
それでも、盲導犬によって個性があり、苦手な音があります。雷を怖がる犬や、突然の機械音にびっくりして吠えてしまった犬もいました。
ゼーダーの苦手な音は、飛行機のエンジン音です。初めて飛行機に乗った時のことでした。航空会社では、予約の際、盲導犬同伴であることを告げておけば、最前列のスペースに少し余裕のある席を用意してくれます。ゼーダーは床でいつものように寝そべっていましたが、離陸の際のエンジン音と床の振動音におびえて、突然通路に飛び出していきそうになりました。吠えはしないかと、私はハラハラして、必死にゼーダーを抱きかかえました。ゼーダーはふるえながら、よだれをダラダラたらして、いかにもつらそうでした。1時間半の飛行機の中、ずっとこんな調子で、私は本当に困ってしまいました。帰りもまた、飛行機に乗らなくてはならないからです。
それで、いろいろと考えた末、帰りの飛行機には、ゼーダーの好物のチーズを買って乗り込みました。ゼーダーがそわそわし始めると、チーズを出して、においをかがせてあげたり、少しずつ食べさせてあげたりしながら、1時間半を何とかやり過ごしました。
ゼーダーがこんなに飛行機のエンジン音を怖がるには何か訳があったに違いありません。オーストラリアから、一度は飛行機で日本に来たはずです。でも、その時はきっと貨物室だったのでしょう。怖い思いをしたのかも知れません。
その後、何度か飛行機に乗せるうち、ゼーダーも段々慣れてきて、チーズも必要なくなりました。
飛行機の出来事が合ってから、私は音に対して神経質になってしまいました。それで、最初に言ったように、大きな音がすると思わずゼーダーの耳をふさいでしまうという行為をしてしまうのです。
冠婚葬祭の時も、ゼーダーはいつも私と一緒です。そうはいっても、ケースバイケースで、畳の時にはゼーダーは私の姿が見える入口付近に待機させておくこともあります。椅子式の時には足元にいます。
お葬式の時にこんなことがありました。お坊さんの読経や、木魚の音には、ゼーダーは何も反応しませんでしたが、カネの音がした時に、思わず立ち上がって困ったようにウロウロし始めました。見かねた家族がゼーダーを建物の外に連れ出してくれました。少し歩かせたり、土の匂いをかがせたり、トイレをさせたりすれば落ち着きます。
結婚式にも2回出席しました。神式の時には静かですから、ゼーダーも神主さんの祝詞や、新郎新婦の三々九度を、珍しそうに聴いたり眺めたりしていたようです。親族の写真撮影の時には、ゼーダーは写真には入りませんでしたが、カメラの側に寝そべって、みんなを見ています。この日、初めて親類縁者となった人たちが、ゼーダーに見られてなんとなく和んでいます。
最近あった結婚式は教会式でした。教会に入るとトランペットが高らかな演奏をしていました。エレクトーンの伴奏で賛美歌を歌う歌手もいました。音がかなり大きいので私は少し心配しましたが、ゼーダーは椅子の下でこんな結婚式を楽しんでいるようです。披露宴が始まるといろいろな出しものがあります。 御柱の木遣りを披露する方がいましたが、ゼーダーはテレビで聴きなれていますから余り反応はしません。でも、クラッカーの音にはびっくりしたようで、テーブルの下から飛び出してきて、困ったように身体をブルブル振りました。また、家族が会場の外へ連れ出して気分転換をしてくれました。この日はおやつを持っていってありましたので、それを頻繁にあげました。その日は長い時間になることが予測されましたので、水と食事も用意していきました。トイレもいつもより回数を多くしました。
《連載:盲導犬ミニ知識5》
このシリーズでは前回まで世界と日本の盲導犬使用と育成の歴史やリタイヤ犬について紹介してきました。本号から4回はいよいよ盲導犬誕生までの具体的なプロセスを、日本ライトハウス指導員の亀山さんにお願いしました。
盲導犬誕生編(1) 『繁殖からPWまで』
(社福)日本ライトハウス行動訓練所 亀山知生
盲導犬の繁殖はほぼ自家繁殖で行っています。盲導犬としての、稟性の適している犬同士を交配させて行っています。一般的に使用しているラブラドールレトリーバーは一度に6~8頭の仔犬を産みます。
産まれた仔犬達は、生後50日位まで母親と兄弟達と共に生活をします。この期間に、犬社会の勉強をします。兄弟と共によく遊びよく喧嘩をし、犬社会のルール、どの程度噛んでよいものか相手の降参のポーズ等を学んでいます。兄弟喧嘩の最中に母親が間に入り、仔犬を鼻で押す等の光景を見掛ける事もあります。
50日を過ぎるとPW(パピーウォーカー)と呼ばれている里親の元での生活が始まります。パピーとは仔犬という意味で、直訳すると仔犬と歩む人となります。約1歳まで(人間で言うと18歳位)の間に、今度は人間社会の勉強をします。どの様な事かというと家の中で排泄をしない、人のベッドやソファーに乗らない、家具を噛まない等です。それともう一つ重要な事が、「人が好きである」という事です。
《デビュー》
『広沢さん、新しいパートナーと』
3月の下旬から三頭目の盲導犬ネルーダと歩き始めました。ネルーダという名前はチリの詩人、パブロ・ネルーダからいただいた名前だそうです。
雌犬で2才。イエローのラブラドールレトリバーです。性格は明るく臨機応変。この子となら、更に可能性を広げて行けそうで、わくわくしながら歩いています。
(広沢里枝子)
《レクイエム》
『さよなら、キュート』
長野市の加藤久美さんの初代パートナー、キュートは6月6日に老衰のため亡くなった。キュートは盲導犬をリタイヤした後は、長野市浅川の竹原動物診療所のペット犬として家族や病院スタッフに囲まれて穏やかな余生を送っていた。体調を崩す直前まで特に病気もなく安定した健康状態だったようだ。この梅雨期を乗り越えれば満18才を迎えることが期待されていて、県内のリタイヤ犬としては最高齢の記録を残す寸前のことであった。
キュート、長い間本当にありがとう。お疲れ様。そして、竹原動物診療所の皆様と加藤さんご家族に心からお悔やみ申し上げます。
(以下に、キュートの訃報についての加藤さんからのメイルを本人の了解を得て紹介する。)
先日のメールでキュートが元気にしていると書いたのですが、先週体調を崩して寝たきりになり、6月6日(火)の夕方息を引き取りました。17歳10ヶ月でした。リタイヤ以来約8年間、竹原先生はじめ病院のスタッフのみなさんや病院を訪れる人たちに愛され、幸せだったと思います。キュートに関わってくださったみなさんに、今は感謝の気持ちでいっぱいです。
キュートとの最後のお別れの時にも、遺体の周りにたくさんの花束やキュートが好きだったおやつを置いていただいていて、キュートはほんとにみんなから愛されて幸せだったなあと思いました。一昨日キュートの遺骨をいただいて帰りました。
松山・東京・松本と私とともにいろいろな場所で暮らしましたが、長野での生活が一番長かったので、その長野で埋葬できればと考えているところです。
簡単ですが、ご報告させていただきました。
(6月10日、加藤久美)
《訪問取材》
『“ハーネスながの”第20号記念特別企画のお知らせとお願い』
編集部
長野県ハーネスの会はこの10月で発足7周年を迎えます。そして発足以来会員をはじめ県内外の関係機関にお送りし親しまれてきました会報“ハーネスながの”は、第20号という記念すべき節目を迎えることになります。
そこで、編集部では記念特別企画として、「県内の盲導犬たち」という特集を組むことになりました。この企画では、盲導犬ユーザーで“ベストパートナーシリーズ”を書いて下さっている北沢とも江さんが県内の盲導犬ユーザーを訪問し、お会いして直接お話を聞き、パートナーのワンちゃんの写真を撮らせていただくことを考えています。そして聞かせていただいたお話と写真を中心に“ハーネスながの”で紹介させていただきたいと思います。
どうぞ訪問取材にご協力いただけますよう、お願い申し上げます。 「県内の盲導犬たち」訪問取材について
1.訪問取材者 北沢とも江さんと写真撮影ボランティア
2.盲導犬ユーザーの自宅、あるいはユーザーが指定する場所で直接お話を聞かせていただきます。
3.パートナーの写真を撮影させていただきます。
4.訪問取材は7月下旬から10月下旬を予定しています。
5.次のような質問をさせていただきます。
(1)パートナーの名前・生年月日・性別・いつから一緒に暮らしているか・
出身地・犬の性格・種類
(2)パートナーとの出会い・盲導犬を持った動機・苦労したこと、楽しかった こと
(3)今の生活について
(4)ハーネスの会についての要望
6.その他
ア.個人情報保護の立場から使用者のお名前の表記についてはご希望に沿って 配慮します。
イ.居住地域の表記については、できるだけ広域名を使用するようにします。
ウ.撮影させていただいたパートナーの写真は目的以外には使用しません。
エ.事前に電話でご協力していただけるか否かの確認を、北沢さんからさせて いただきます。
《事務局》
◇2004年度ハーネス基金による高額治療費助成報告
昨年度は1件の申請がありました。
松本市の丸山良三さんのパートナー、アルスター(ラブラドール、雄、9才8ヶ月)の断尾手術、外耳炎、等の治療費として、合計93,890円に関わる申請がありました。
4万円を超えた分の半額である26,945円がハーネス基金から支払われました。
(お願い)
ハーネス基金による高額治療費助成は、1年間の疾病治療費総額の内、4万円を超えた分の半額を助成するものです。
動物病院に支払った治療費の領収書を事務局にお送り下さい。
◇2004年度の寄付・カンパ者ご芳名録
昨年度に会費以外にカンパしていただきました会員のお名前を紹介させていただきます。
尚、敬称は略させていただきます。
飯本加代子 井川さゆり 市橋利子 伊藤正幸 今村和久 今村邦彦
上原弘三 大蔦吟与 奥原泰子 小田道子 金井修司 木島千寿子
倉石千枝子 倉島憲代 黒澤美那子 小池フミ子 小林房江 小林操
小山尚子 近藤順子 篠崎由起子・芽以 清水とき子 滝沢ケサミ
竹原和孝 多田艶子 田中綾 田中淑子 轟輝子 中原和子 中村尚文
西綾子 西村由記子 福崎直昭 福澤昭司 古内みづほ 三村惇子
宮坂昌水 宮澤藤貴子 甕奉邦 弓田渉・香織
◇2005年度会費納入のお願い
長野県ハーネスの会の会費2000円のお振り込みをお願いします。2000円の内、1000円は運営費に、1000円はハーネス基金として長野県ハーネスの会に登録されている盲導犬と引退犬の健康管理費の一部として使わせていただきます。
同封の郵便振り込み用紙をご利用される場合は振り込み料金は不要です。
8月中にお願いします。
(田中)
《編集後記》
いよいよ猛暑がやって来ました。ワンちゃんにとっても厳しい季節です。とりわけ歩くことを仕事としている盲導犬たちには大変です。暑さ対策として、今年は
“さわやかティーシャツ”というコートをオーダーメイドしました。生地は気化熱を利用して熱を下げる素材からできており、人間のスポーツウェアに使われているようです。着用時にコートに水を含ませておくと水分が蒸発するときに熱が奪われて涼しくなるようです。憂鬱だった日中の歩行が少しだけ楽しくなりそうです。
本号も遅れてしまいすみません。次号にご期待下さい。
どうぞお身体に気をつけられてこの夏をお過ごし下さい。
(原)
(編集係 原)